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第4章:【BATTLE】イツキ vs ナナ
第34話:待ち伏せ
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「つぎは、東小金井。東小金井。右側の扉が開きます。」
「The next station is Higashi-Koganei. The door on the right side will open.」
考え事をしていると、いつも長く感じる帰り道も馬鹿に早く感じた。イヤホンをすることさえ忘れていたことには、さすがのイツキも自分で驚くほどだった。
駅前のコンビニでアイスコーヒーを買い、家の前に帰ってくると、アパートの入り口にもたれるようにして誰かが立っているのに気がついた。イツキは近づくと、すぐにその正体がわかった。
スタイル、オーラ、ジャスミンの香り。そこには、腕組みをしたナナが立っていた。
「あーっ!! やっと帰ってきたっ!! 結構、待ったんですけどっ!笑」
ナナの髪は浴衣用のセットのままであったが、服装はいつもの私服に戻っていた。表情は笑顔ではあったが、いつもより少し控えめだった。
「え!? ナナさん…? こんなところで、どうしたんですか?」
イツキは急な出来事に驚き、頭の整理が追いつかないままにナナに質問をした。
「どうしたも、こうしたも、ここでイツキを待ってたんじゃんっ! まっ、ゆーてわたしもさっき帰ってきたとこだから、まだ20分くらいしか待ってないけどっ! そろそろ帰ってくるんじゃないかなーって!」
ナナは手に持ったイツキと同じコンビニアイスコーヒーをしゃかしゃかっと振った。
「そ、そうなんですね。なんか、すみません…。」
ナナが自分を待っていたことはわかったが、それがなぜなのか。イツキは、目の前で起こっている状況自体が全然飲み込めていなかった。
「えっと、、何か用事がありましたか?」
「用事ってか…、イツキ最近さ、なんかわたしのこと避けてないっ?」
イツキの問いに対して、ナナは単刀直入に答えた。ナナは話題の切り込みこそ早かったが、声色は決して怒っているわけではなかった。
イツキはナナの答えにとても驚いた。たしかに、ナナのことを避けてしまっていたし、それにナナが気がつくのも不思議ではない。ただ、わざわざ家の前で待っているほど、ナナがそのことを気にしているとは思っていなかったのだ。
ナナには仲の良い友達がたくさんいる。自分に少し避けられたくらいで、そこまで気にしたりするものだろうか、とイツキは思った。一方で、それだけ気にさせてしまっていたならば、非常に申し訳ないことをしたとイツキはいたたまれない気持ちになった。
「あ、その、それは、、」
なぜ避けてしまったのかを正しく説明し謝りたいのに、まだうまく言葉がまとまらないイツキにナナが被せた。
「イツキ、わたしとこれから勝負しよっ!」
「……えっ!?」
ナナはニコッと笑っているが、イツキは何を言っているのかさっぱりわからず、変なところから声が出た。
「うけるっ! 声、裏返ってるしっ! よしっ! いくよっ!」
ナナはイツキの左手首をぐいっと掴んだかと思うと、割と早いスピードで駅の方に歩き出した。イツキの手首を握るナナの手はアイスコーヒーを持っていたせいで、少し冷たかったがその奥にたしかな温かさがあった。
「The next station is Higashi-Koganei. The door on the right side will open.」
考え事をしていると、いつも長く感じる帰り道も馬鹿に早く感じた。イヤホンをすることさえ忘れていたことには、さすがのイツキも自分で驚くほどだった。
駅前のコンビニでアイスコーヒーを買い、家の前に帰ってくると、アパートの入り口にもたれるようにして誰かが立っているのに気がついた。イツキは近づくと、すぐにその正体がわかった。
スタイル、オーラ、ジャスミンの香り。そこには、腕組みをしたナナが立っていた。
「あーっ!! やっと帰ってきたっ!! 結構、待ったんですけどっ!笑」
ナナの髪は浴衣用のセットのままであったが、服装はいつもの私服に戻っていた。表情は笑顔ではあったが、いつもより少し控えめだった。
「え!? ナナさん…? こんなところで、どうしたんですか?」
イツキは急な出来事に驚き、頭の整理が追いつかないままにナナに質問をした。
「どうしたも、こうしたも、ここでイツキを待ってたんじゃんっ! まっ、ゆーてわたしもさっき帰ってきたとこだから、まだ20分くらいしか待ってないけどっ! そろそろ帰ってくるんじゃないかなーって!」
ナナは手に持ったイツキと同じコンビニアイスコーヒーをしゃかしゃかっと振った。
「そ、そうなんですね。なんか、すみません…。」
ナナが自分を待っていたことはわかったが、それがなぜなのか。イツキは、目の前で起こっている状況自体が全然飲み込めていなかった。
「えっと、、何か用事がありましたか?」
「用事ってか…、イツキ最近さ、なんかわたしのこと避けてないっ?」
イツキの問いに対して、ナナは単刀直入に答えた。ナナは話題の切り込みこそ早かったが、声色は決して怒っているわけではなかった。
イツキはナナの答えにとても驚いた。たしかに、ナナのことを避けてしまっていたし、それにナナが気がつくのも不思議ではない。ただ、わざわざ家の前で待っているほど、ナナがそのことを気にしているとは思っていなかったのだ。
ナナには仲の良い友達がたくさんいる。自分に少し避けられたくらいで、そこまで気にしたりするものだろうか、とイツキは思った。一方で、それだけ気にさせてしまっていたならば、非常に申し訳ないことをしたとイツキはいたたまれない気持ちになった。
「あ、その、それは、、」
なぜ避けてしまったのかを正しく説明し謝りたいのに、まだうまく言葉がまとまらないイツキにナナが被せた。
「イツキ、わたしとこれから勝負しよっ!」
「……えっ!?」
ナナはニコッと笑っているが、イツキは何を言っているのかさっぱりわからず、変なところから声が出た。
「うけるっ! 声、裏返ってるしっ! よしっ! いくよっ!」
ナナはイツキの左手首をぐいっと掴んだかと思うと、割と早いスピードで駅の方に歩き出した。イツキの手首を握るナナの手はアイスコーヒーを持っていたせいで、少し冷たかったがその奥にたしかな温かさがあった。
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