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第3章:パチ友ラッシュ突入
第26話:スペックの差
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「おぉー! さすがのイツキでもやっぱ名前くらいは知ってるかー。そう、3年生の三ツ橋ナナさんと彩乃さんに麻呂さん。大学イチ有名な美人3人組ってとこかねー! まっ、おれらには縁のない人たちだけどなっ!笑 つか、おまえ大丈夫か? むせすぎだろ!笑」
尚也が話している間もイツキはずっとむせていた。味噌ラーメンに七味をそこそこ入れたのも悪かったのか、咳があまりに激しかったので、遠くの席にいるナナがイツキの方を見た。
「あっ!! イツキじゃーんっ!!おつー!!」
イツキに気づいたナナは席を立ち、手を振りながらイツキの方に向かってきた。場所が学食であっても、相変わらずのオーラを放っているのは変わらない。
「イツキも学食にいることあんだーっ! てか、なんかめっちゃむせてんじゃんっ!笑 だいじょぶっ?」
ナナは笑いながらイツキの背中をぽんぽんと叩いた。
「あ、ナナさん、こんにちは。す、すいません、ちょっとむせちゃって。」
いきなりのナナとの遭遇に驚き、イツキはどうにか挨拶するくらいが精一杯だった。すると、後ろから彩乃と麻呂もやってきた。
「あ~、なんかおいしそうなチョコもってる~。ひとつくださいな~。」
尚也がお昼と一緒に買った個包装チョコ菓子に手を伸ばす麻呂に、急遽目の前で起こっている状況が全く理解できていない尚也は「あ、はい…」としか言えなかった。
「いきなりすみません…! ナナ! 麻呂! ほら、授業あるし、いくよ!」
彩乃がナナと麻呂に困った顔で退却命令を出した。
「たしかにっ! 次の教室遠いもんねっ! んじゃ、イツキ、また連絡するからーっ!」
「チョコ、ありがと~。」
3人は手を振りながら嵐のように去っていき、それぞれの髪や香水から発せられた良い香りだけがイツキと尚也の席に残った。
「…………」
「…………」
「えっ? イツキって、ナナさんと知り合いなの?」
先に口を開いたのは尚也だった。落ち着こうとして、全然落ち着けていない尚也はイツキに早口でたずねた。
「ま、まぁ。ほんと最近なんだけどね。」
「"連絡するから"って、お前、ナナさんの連絡先も知ってんのか? よく連絡先聞けたな!」
「あ、いや、いろいろあるんだけど、向こうから聞いてくれたというか……。」
「まじか! そんなことってあんのか! いや、イツキもなかなか大したもんだな! そんな、男子なかなかいねーぞ!」
驚きっぱなしの尚也は質問が止まらなかったが、どこか嬉しそうだ。一方、だんだんと状況が飲み込めてきたイツキは、額に手をあて考え込む体制にはいった。
「…なぁ、尚也。……さっきの人だかりでなんとなくわかったけど、ナナさんって、、そんなに人気者なの?」
「そりゃそうだろ! さっきの人だかりだって、そもそもこの赤保大の人かどうかも分からねーぞ?」
「それって、どういうこと? 他大から来てるってこと?」
「そーゆことっ! なんせ、ナナさんっていったら、結構人気の読者モデルだろ? んで、今月のファッション誌にもわりと大きめに載ってるって話だぜ?」
「…………まじ? 人気読者モデル?」
さっきからほとんど動かなくなったイツキだったが、ついに口しか動かなくなった。
「いや、まじだろ! つか、なにお前、連絡先知ってるくせに、ナナさんのそういうこと全然知らない感じ?」
「うん…。全然知らなかった…。」
ナナにおけるあらゆる情報を一気に尚也に詰め込まれ、かつ、ナナが想像の遥か上をいく有名人だった驚きを頭がどんどん処理しきれなくなった結果、イツキは言語機能も停止して、上の空になってしまった。
「イツキ、イツキ。」
尚也が急に小声になった。
「イツキ、なんかおれら周りからめっちゃ見られてるかも…。たぶん、ナナさんたちがこっちにきたせいで、目立ったっぽい…。」
イツキは目だけを動かし、軽く周りを見渡した。尚也の言葉通り、たしかに視線が集まり、ひそひそと話をしている人もいる。なにを話しているかは分からないが、いづれにせよ居心地はあまり良くはない。
「尚也、わりー。ちょっと、先にゼミの教室に行ってるわ。」
「了解! おれのことは気にせず、先に行ってくれ!」
「サンキューな。」
イツキは急いで残りのラーメンを食べ、ささっと学食を後にした。
(いや、たしかにとてつもない美人だし、人気なことくらいはわかってた…。でも、ここまでの人気っぷりとは聞いてないよ…。しかも、人気の読者モデル?とかなんとかって言ってたっけ…。それって、世の中的にもある程度知名度あるんじゃ…。もしかして、知らず知らずのうちにとんでもない人とパチ友になってしまったのでは…。これはまずい、、、完全にキャパオーバー案件だ……。)
教室に向かう道すがら、イツキはこんなことばかりをぐるぐると考えていた。考えてどうにかなる"問題"でもない。そもそも別に"問題"でもないかもしれない。ただ、考えずにはいられないし、平和的なパチンコ大学生をやっていたイツキにとって、急に知り合った女子が"実は有名人でした!"というのは、かなりやばい事態なのだ。
「センパイ! ちょっと、センパーイ! おーいっ!!」
ナナのことで頭がいっぱいいっぱいだったので、背後から聞こえる声がしばらく自分のことを呼んでいると分からなかったイツキだったが、聞き慣れた口調に気づき振り返った。
するとそこには、綺麗な銀髪ショートカットの女子が両手を腰にあてて、立っていた。
尚也が話している間もイツキはずっとむせていた。味噌ラーメンに七味をそこそこ入れたのも悪かったのか、咳があまりに激しかったので、遠くの席にいるナナがイツキの方を見た。
「あっ!! イツキじゃーんっ!!おつー!!」
イツキに気づいたナナは席を立ち、手を振りながらイツキの方に向かってきた。場所が学食であっても、相変わらずのオーラを放っているのは変わらない。
「イツキも学食にいることあんだーっ! てか、なんかめっちゃむせてんじゃんっ!笑 だいじょぶっ?」
ナナは笑いながらイツキの背中をぽんぽんと叩いた。
「あ、ナナさん、こんにちは。す、すいません、ちょっとむせちゃって。」
いきなりのナナとの遭遇に驚き、イツキはどうにか挨拶するくらいが精一杯だった。すると、後ろから彩乃と麻呂もやってきた。
「あ~、なんかおいしそうなチョコもってる~。ひとつくださいな~。」
尚也がお昼と一緒に買った個包装チョコ菓子に手を伸ばす麻呂に、急遽目の前で起こっている状況が全く理解できていない尚也は「あ、はい…」としか言えなかった。
「いきなりすみません…! ナナ! 麻呂! ほら、授業あるし、いくよ!」
彩乃がナナと麻呂に困った顔で退却命令を出した。
「たしかにっ! 次の教室遠いもんねっ! んじゃ、イツキ、また連絡するからーっ!」
「チョコ、ありがと~。」
3人は手を振りながら嵐のように去っていき、それぞれの髪や香水から発せられた良い香りだけがイツキと尚也の席に残った。
「…………」
「…………」
「えっ? イツキって、ナナさんと知り合いなの?」
先に口を開いたのは尚也だった。落ち着こうとして、全然落ち着けていない尚也はイツキに早口でたずねた。
「ま、まぁ。ほんと最近なんだけどね。」
「"連絡するから"って、お前、ナナさんの連絡先も知ってんのか? よく連絡先聞けたな!」
「あ、いや、いろいろあるんだけど、向こうから聞いてくれたというか……。」
「まじか! そんなことってあんのか! いや、イツキもなかなか大したもんだな! そんな、男子なかなかいねーぞ!」
驚きっぱなしの尚也は質問が止まらなかったが、どこか嬉しそうだ。一方、だんだんと状況が飲み込めてきたイツキは、額に手をあて考え込む体制にはいった。
「…なぁ、尚也。……さっきの人だかりでなんとなくわかったけど、ナナさんって、、そんなに人気者なの?」
「そりゃそうだろ! さっきの人だかりだって、そもそもこの赤保大の人かどうかも分からねーぞ?」
「それって、どういうこと? 他大から来てるってこと?」
「そーゆことっ! なんせ、ナナさんっていったら、結構人気の読者モデルだろ? んで、今月のファッション誌にもわりと大きめに載ってるって話だぜ?」
「…………まじ? 人気読者モデル?」
さっきからほとんど動かなくなったイツキだったが、ついに口しか動かなくなった。
「いや、まじだろ! つか、なにお前、連絡先知ってるくせに、ナナさんのそういうこと全然知らない感じ?」
「うん…。全然知らなかった…。」
ナナにおけるあらゆる情報を一気に尚也に詰め込まれ、かつ、ナナが想像の遥か上をいく有名人だった驚きを頭がどんどん処理しきれなくなった結果、イツキは言語機能も停止して、上の空になってしまった。
「イツキ、イツキ。」
尚也が急に小声になった。
「イツキ、なんかおれら周りからめっちゃ見られてるかも…。たぶん、ナナさんたちがこっちにきたせいで、目立ったっぽい…。」
イツキは目だけを動かし、軽く周りを見渡した。尚也の言葉通り、たしかに視線が集まり、ひそひそと話をしている人もいる。なにを話しているかは分からないが、いづれにせよ居心地はあまり良くはない。
「尚也、わりー。ちょっと、先にゼミの教室に行ってるわ。」
「了解! おれのことは気にせず、先に行ってくれ!」
「サンキューな。」
イツキは急いで残りのラーメンを食べ、ささっと学食を後にした。
(いや、たしかにとてつもない美人だし、人気なことくらいはわかってた…。でも、ここまでの人気っぷりとは聞いてないよ…。しかも、人気の読者モデル?とかなんとかって言ってたっけ…。それって、世の中的にもある程度知名度あるんじゃ…。もしかして、知らず知らずのうちにとんでもない人とパチ友になってしまったのでは…。これはまずい、、、完全にキャパオーバー案件だ……。)
教室に向かう道すがら、イツキはこんなことばかりをぐるぐると考えていた。考えてどうにかなる"問題"でもない。そもそも別に"問題"でもないかもしれない。ただ、考えずにはいられないし、平和的なパチンコ大学生をやっていたイツキにとって、急に知り合った女子が"実は有名人でした!"というのは、かなりやばい事態なのだ。
「センパイ! ちょっと、センパーイ! おーいっ!!」
ナナのことで頭がいっぱいいっぱいだったので、背後から聞こえる声がしばらく自分のことを呼んでいると分からなかったイツキだったが、聞き慣れた口調に気づき振り返った。
するとそこには、綺麗な銀髪ショートカットの女子が両手を腰にあてて、立っていた。
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