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第3章:パチ友ラッシュ突入
第18話:オカルトは仲を深める
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10:00。オープン直後のお店はパチンコ台が規則正しく煌めき、盛り上がる音楽が流れ、いかにも"始まった!"感がある。12番目にお店に入場したイツキはスロットコーナーを華麗に通り過ぎ、真っ直ぐにナナと"森物語"が待つパチンココーナーへと向かった。目的のエリアまで、最短距離かつ正確に辿り着くのもパチンカーの必須スキルだ。
「イツキっ! こっちこっちっ!!」
森物語コーナーに到着すると、先についていたナナが手招きをしながらニコッと笑った。
いつの間にこんな美女に手招きをされるようになったのだろうか…、という疑問を感じつつも、イツキはナナの元へと急いだ。
「うーん、そうですね、、この台がいいかなと思います。」
わらわらと森物語コーナーに集まってくる人たち。その合間を縫って、イツキはデータ画面や釘をチェックして座る台を見繕った。
「おっけーっ!! なら、イツキはその台に座りなよっ! わたしは隣の台打つからっ!」
「で、でも、せっかくならナナさんがこれを…。」
「いいのいいのっ! イツキが選んだんだしっ!」
ナナはイツキの肩をおして台に座らせて、自分は隣の台に腰をかけた。
「ちなみにさ、イツキから見てわたしの台ってどーかな? よさげっ?」
「打ってみるまで、わからないっちゃわからないんですけど、、うーん、そうですねー、、"めっちゃいい!"とは言えないかもです。悪くはないと思いますが。」
「そっかぁーっ……。まぁ、でも隣で打った方が楽しいし、意外とめっちゃ当たるかもしれないし、この台でいいやっ!」
やや煮え切らないイツキの回答をナナは持ち前のポジティブさで吹っ飛ばし、バッグから"もちぐま"のぬいぐるみを出すとちょこんと台に置いた。
「なんですか、それ?」
イツキはもちぐまのぬいぐるみを訝しげに眺めた。
「え、なにって、もちぐまじゃん!! やばくないっ? かわいすぎるっしょ!」
「もちぐまなのはわかるんですけど、台に置いておくんですか?」
自宅に大量の森物語グッズを持つイツキが、もちぐまを知らないはずはないのだが、遊戯中に台に置く人は初めて見たのだった。
「あっ、なんで台に置いてるかってことねっ! えっとね、オカルトっ!!笑」
てへっと半笑いでナナは答えた。
「こうやって、もちぐまを台に置いておくでしょ? んで、チャンスがきた時に、もちぐまの頭を3回撫でるっ! すると、"あら不思議!"当たっちゃうんだよっ!笑」
まだ、なんのチャンスもきていないが、ナナはマイオカルトの詳細を熱心に説明した。
「ナナさんのオカルト、独特でおもしろいですね。笑 あと、もちぐま推しってめずらしいですね! 僕も好きですけど。」
「だしょ? めずらしいでしょ? もちぐま、あんま人気ないもんねーっ! こんなにかわいいのにねーっ!」ナナはもちぐまに話しかけるように頭を撫でてあげていた。
「イツキはなんかマイオカルトないのっ?」
「そうですねー、飲み物は水だけ、とかですかね。」
「あははっ、うける!笑 いいね、それ! だから今日も水なんだねっ! たしかに、台の前で甘いジュースとか飲んでたら、当ててくれなさそうだよねっ! なんとなくだけど、わかる!」
ナナはイツキの台に置かれた水を指差しながら笑った。
「さすがナナさん、理由までちゃんとわかってますね!」
そもそもオカルトは一切の科学的根拠を持たないある種の奇行である。ゆえに、パチンカーにとって、自分のオカルトを肯定してもらえたり、なんとなく感覚を理解してもらえたりすることは、とても嬉しいことなのだ。漏れず、イツキもナナにマイオカルトを理解されたことで、どこか心が通じ合うような感じがした。
お互いのオカルトも披露し合いながら、2人は"森物語"のヘソを狙い始めた。
「イツキっ! こっちこっちっ!!」
森物語コーナーに到着すると、先についていたナナが手招きをしながらニコッと笑った。
いつの間にこんな美女に手招きをされるようになったのだろうか…、という疑問を感じつつも、イツキはナナの元へと急いだ。
「うーん、そうですね、、この台がいいかなと思います。」
わらわらと森物語コーナーに集まってくる人たち。その合間を縫って、イツキはデータ画面や釘をチェックして座る台を見繕った。
「おっけーっ!! なら、イツキはその台に座りなよっ! わたしは隣の台打つからっ!」
「で、でも、せっかくならナナさんがこれを…。」
「いいのいいのっ! イツキが選んだんだしっ!」
ナナはイツキの肩をおして台に座らせて、自分は隣の台に腰をかけた。
「ちなみにさ、イツキから見てわたしの台ってどーかな? よさげっ?」
「打ってみるまで、わからないっちゃわからないんですけど、、うーん、そうですねー、、"めっちゃいい!"とは言えないかもです。悪くはないと思いますが。」
「そっかぁーっ……。まぁ、でも隣で打った方が楽しいし、意外とめっちゃ当たるかもしれないし、この台でいいやっ!」
やや煮え切らないイツキの回答をナナは持ち前のポジティブさで吹っ飛ばし、バッグから"もちぐま"のぬいぐるみを出すとちょこんと台に置いた。
「なんですか、それ?」
イツキはもちぐまのぬいぐるみを訝しげに眺めた。
「え、なにって、もちぐまじゃん!! やばくないっ? かわいすぎるっしょ!」
「もちぐまなのはわかるんですけど、台に置いておくんですか?」
自宅に大量の森物語グッズを持つイツキが、もちぐまを知らないはずはないのだが、遊戯中に台に置く人は初めて見たのだった。
「あっ、なんで台に置いてるかってことねっ! えっとね、オカルトっ!!笑」
てへっと半笑いでナナは答えた。
「こうやって、もちぐまを台に置いておくでしょ? んで、チャンスがきた時に、もちぐまの頭を3回撫でるっ! すると、"あら不思議!"当たっちゃうんだよっ!笑」
まだ、なんのチャンスもきていないが、ナナはマイオカルトの詳細を熱心に説明した。
「ナナさんのオカルト、独特でおもしろいですね。笑 あと、もちぐま推しってめずらしいですね! 僕も好きですけど。」
「だしょ? めずらしいでしょ? もちぐま、あんま人気ないもんねーっ! こんなにかわいいのにねーっ!」ナナはもちぐまに話しかけるように頭を撫でてあげていた。
「イツキはなんかマイオカルトないのっ?」
「そうですねー、飲み物は水だけ、とかですかね。」
「あははっ、うける!笑 いいね、それ! だから今日も水なんだねっ! たしかに、台の前で甘いジュースとか飲んでたら、当ててくれなさそうだよねっ! なんとなくだけど、わかる!」
ナナはイツキの台に置かれた水を指差しながら笑った。
「さすがナナさん、理由までちゃんとわかってますね!」
そもそもオカルトは一切の科学的根拠を持たないある種の奇行である。ゆえに、パチンカーにとって、自分のオカルトを肯定してもらえたり、なんとなく感覚を理解してもらえたりすることは、とても嬉しいことなのだ。漏れず、イツキもナナにマイオカルトを理解されたことで、どこか心が通じ合うような感じがした。
お互いのオカルトも披露し合いながら、2人は"森物語"のヘソを狙い始めた。
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