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12話
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ライブも後半に差し掛かり、とうとう最後の曲になった。
最後のこの曲だけは晶自身が作詞作曲した、Violetの曲として晶が初めて作った曲だ。
『最後の曲です』と朝陽が短くアナウンスすると、キーボードのポジションにいた晶が前へと歩み寄って来て朝陽のマイクを奪い取った。
「おい、なんだよ」
「いいから」
打ち合わせになかった晶の突然の行動に朝陽が小声で咎めるが、晶は「イヒヒ」と笑って誤魔化し、そのまま生徒達に向かって話し始めた。
『最後はVioletの曲として初めて生まれた曲だ。この曲を作れたのは朝陽、暖、樹に出会えたおかげ。そんで、聞かせたいって思えるお前らがいたおかげだ。晶だってぜってえそう思ってる。俺達と出会ってくれてありがとう、そんでこれからも…』
"Violetをよろしくな"
そう最後に言う瞬間、晶がくるりと後ろのメンバーを振り返って笑った。
その瞬間、メンバー全員が瞬時に来るべき時が来てしまったことを察した。
無邪気に微笑んだ晶のバイオレットアッシュの髪が微かな秋風に揺れた瞬間、メンバーは確かに町田の体から晶が消失するのを見た。
晶が消えた町田の体は一瞬空っぽになったかのようにだらんと力が抜け、手に持っていたマイクを足元に落としてしまった。
そしてマイクの落下音でハッと我に返った町田は、目の前のVioletのメンバー達を見て、その黒目がちな瞳を大きく見開いた。
町田の明らかな困惑ぶりに、メンバー達がライブの続行は不可能かと肩を落としたその時、町田が自ら落としたマイクを拾い、マイクを見つめたまま何か一人で一言二言呟くと、そのまま朝陽へとマイクを手渡したのだ。
「おい…お前弾けるのか?」
「弾けるよ」
朝陽の問に答えたのは、やはり晶ではなく町田本人だった。
町田は朝陽の顔を一切見ずに、キーボードの方へと戻ると、隣りの暖に向かって顔を向け頷いた。
最後のこの曲だけは晶自身が作詞作曲した、Violetの曲として晶が初めて作った曲だ。
『最後の曲です』と朝陽が短くアナウンスすると、キーボードのポジションにいた晶が前へと歩み寄って来て朝陽のマイクを奪い取った。
「おい、なんだよ」
「いいから」
打ち合わせになかった晶の突然の行動に朝陽が小声で咎めるが、晶は「イヒヒ」と笑って誤魔化し、そのまま生徒達に向かって話し始めた。
『最後はVioletの曲として初めて生まれた曲だ。この曲を作れたのは朝陽、暖、樹に出会えたおかげ。そんで、聞かせたいって思えるお前らがいたおかげだ。晶だってぜってえそう思ってる。俺達と出会ってくれてありがとう、そんでこれからも…』
"Violetをよろしくな"
そう最後に言う瞬間、晶がくるりと後ろのメンバーを振り返って笑った。
その瞬間、メンバー全員が瞬時に来るべき時が来てしまったことを察した。
無邪気に微笑んだ晶のバイオレットアッシュの髪が微かな秋風に揺れた瞬間、メンバーは確かに町田の体から晶が消失するのを見た。
晶が消えた町田の体は一瞬空っぽになったかのようにだらんと力が抜け、手に持っていたマイクを足元に落としてしまった。
そしてマイクの落下音でハッと我に返った町田は、目の前のVioletのメンバー達を見て、その黒目がちな瞳を大きく見開いた。
町田の明らかな困惑ぶりに、メンバー達がライブの続行は不可能かと肩を落としたその時、町田が自ら落としたマイクを拾い、マイクを見つめたまま何か一人で一言二言呟くと、そのまま朝陽へとマイクを手渡したのだ。
「おい…お前弾けるのか?」
「弾けるよ」
朝陽の問に答えたのは、やはり晶ではなく町田本人だった。
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