57 / 66
第57話 ミッション発動
しおりを挟む
「ちなみにどんな作戦ですか」
「人道上の理由でクーデター派による制圧後も、ズワンカ市に電気を供給してる核融合発電所は、そのままにしてきた。が、この際電気を止めると決定したのだ」
ルーランカが、続ける。
「当然反乱兵共はズワンカ市から部隊を出して、発電所制圧に向かうだろう。その際当たり前じゃが奴らはズワンカをすっぽり覆ったシールドを一時的に解除する。そこを狙って君らの部隊が潜入するのだ。中からシールド発生装置を壊してほしい」
核融合発電所は、ズワンカ市からチャマンカ帝国の単位で約1500カンカ(地球の単位で約500キロメートル)あった。
「わかりました。われらダラパシャイ人の名誉にかけて、必ずや活躍してみせます」
「頼もしいのう」
ルーランカは、白い眉の下の目を細めて、そう答える。
ついに作戦発動の時が来た。
核融合発電所に待機しているチャマンカ帝国の正規軍部隊に守られながら、チャマンカ人の奴隷階級の発電所スタッフが、ズワンカ市への電気の供給を停めたのだ。
クーデター派の反応は早かった。
供給停止からまもなく、ズワンカ市を守るシールドが一旦解除され、ドローン部隊が一斉にズワンカ空港を飛びたったのだ。
間髪を入れず待機していたチャマンカ正規軍のドローン部隊と、ダラパシャイ人を乗せた有人の戦闘機部隊が突入する。
ドローンと有人機各5機だった。いずれもステルス戦闘機で、光学迷彩で視覚的にも見えないのだ。
シールドは再びズワンカ市を包んだが、その時には10機の戦闘機はシールド内部に入っていた。
10機はそれぞれ分散し、シールド発生装置を破壊。やがてシールドは消失する。
発生装置のそばに設置された対空ミサイルが発射された。
レーダーには映ってないが、発生装置の破損状況を瞬時にAIが計算し、戦闘機がいると思われる場所にワープミサイルを撃ちこんだ。
ワープミサイルは戦闘機を守るシールド内に転送され、10機は次々撃墜される。
最初から予想された展開だった。ズロッシャイの脳内に埋めこまれたナノメディアに、その映像が映し出される。
彼は、死んだ5人のダラパシャイ人のパイロット達を思うと、胸が張り裂けるような気持ちである。
チャマンカ帝国の支配下にある以上、ダラパシャイ人の悲劇は永遠に終わらないのだ。
シールドが消失し丸裸になったズワンカ市に向けて、ダラパシャイ人のバトル・ドール部隊を乗せたオーニソプターが飛んでいた。
ズロッシャイを含めたバトル・ドール部隊が市街地を避け、ズワンカ市にある空軍基地に降下作戦を開始する。
ズロッシャイは、オーニソプターから外に飛び出す。眼下には空軍基地が広がっていた。
基地内から対空ミサイルが上空に向けて発射されたという情報が、ナノメディアを通じて降下部隊全員に共有される。
やがて無数のミサイルが轟音をあげながら、こちらに向かって上昇してきた。
「人道上の理由でクーデター派による制圧後も、ズワンカ市に電気を供給してる核融合発電所は、そのままにしてきた。が、この際電気を止めると決定したのだ」
ルーランカが、続ける。
「当然反乱兵共はズワンカ市から部隊を出して、発電所制圧に向かうだろう。その際当たり前じゃが奴らはズワンカをすっぽり覆ったシールドを一時的に解除する。そこを狙って君らの部隊が潜入するのだ。中からシールド発生装置を壊してほしい」
核融合発電所は、ズワンカ市からチャマンカ帝国の単位で約1500カンカ(地球の単位で約500キロメートル)あった。
「わかりました。われらダラパシャイ人の名誉にかけて、必ずや活躍してみせます」
「頼もしいのう」
ルーランカは、白い眉の下の目を細めて、そう答える。
ついに作戦発動の時が来た。
核融合発電所に待機しているチャマンカ帝国の正規軍部隊に守られながら、チャマンカ人の奴隷階級の発電所スタッフが、ズワンカ市への電気の供給を停めたのだ。
クーデター派の反応は早かった。
供給停止からまもなく、ズワンカ市を守るシールドが一旦解除され、ドローン部隊が一斉にズワンカ空港を飛びたったのだ。
間髪を入れず待機していたチャマンカ正規軍のドローン部隊と、ダラパシャイ人を乗せた有人の戦闘機部隊が突入する。
ドローンと有人機各5機だった。いずれもステルス戦闘機で、光学迷彩で視覚的にも見えないのだ。
シールドは再びズワンカ市を包んだが、その時には10機の戦闘機はシールド内部に入っていた。
10機はそれぞれ分散し、シールド発生装置を破壊。やがてシールドは消失する。
発生装置のそばに設置された対空ミサイルが発射された。
レーダーには映ってないが、発生装置の破損状況を瞬時にAIが計算し、戦闘機がいると思われる場所にワープミサイルを撃ちこんだ。
ワープミサイルは戦闘機を守るシールド内に転送され、10機は次々撃墜される。
最初から予想された展開だった。ズロッシャイの脳内に埋めこまれたナノメディアに、その映像が映し出される。
彼は、死んだ5人のダラパシャイ人のパイロット達を思うと、胸が張り裂けるような気持ちである。
チャマンカ帝国の支配下にある以上、ダラパシャイ人の悲劇は永遠に終わらないのだ。
シールドが消失し丸裸になったズワンカ市に向けて、ダラパシャイ人のバトル・ドール部隊を乗せたオーニソプターが飛んでいた。
ズロッシャイを含めたバトル・ドール部隊が市街地を避け、ズワンカ市にある空軍基地に降下作戦を開始する。
ズロッシャイは、オーニソプターから外に飛び出す。眼下には空軍基地が広がっていた。
基地内から対空ミサイルが上空に向けて発射されたという情報が、ナノメディアを通じて降下部隊全員に共有される。
やがて無数のミサイルが轟音をあげながら、こちらに向かって上昇してきた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
ミズタマン・第一話 改訂第2版
飛鳥 進
SF
地球へ留学している大学生 水田 雫が、宇宙人の自警組織A.I.Gのアルバイト・ミズタマンとして数々の事件を解決する物語。
今回は、宇宙人連続失踪事件を担当することになった雫。
捜査の途中で出会った宇宙人犯罪を取り締まる警視庁公安部Ⅹ課に所属する泉 有菜と共に捜査することになり、意外な事件の真相にたどり着くのであった。
補足
お問い合わせ(アドバイザー)よりご指摘を受け、一部改訂を行いました。
申し訳ございません。
宜しくお願い致します。
ツーリスト・アドベンチャー
飛鳥弥生
SF
――ワープを繰り返し、亜空間ラムジェット旅客機に揺られること数時間。
遂にやってきました、ザッツ・リアルワールド。
ヴァーチャルワールドからの3泊5日の小旅行。
Tactical name: Living dead. “ Fairies never die――. ”
されど電波おやぢは妄想を騙る
SF
遠い昔の記憶なのでやや曖昧だが、その中でも鮮明に残っている光景がある。
企業が作った最先端のロボット達が織りなす、イベントショーのことだった。
まだ小学生だった頃の俺は両親に連れられて、とある博物館へと遊びに来ていた。
そこには色々な目的で作られた、当時の様々な工業機械や実験機などが、解説と一緒に展示されていた。
ラジコンや機械弄りが大好きだった俺は、見たこともない機械の物珍しさに、凄く喜んでいたのを朧げに覚えている。
その中でも人間のように二足歩行し、指や関節の各部を滑らかに動かして、コミカルなショーを演じていたロボットに、一際、興味を惹かれた。
それは目や鼻と言った特徴はない無機質さで、まるで宇宙服を着込んだ小さな人? そんな感じだった。
司会の女性が質問を投げ掛けると、人の仕草を真似て答える。
首を傾げて悩む仕草や、大袈裟に身振り手振りを加えたりと、仰々しくも滑稽に答えていた。
またノリの良い音楽に合わせて、ロボットだけにロボットダンスを披露したりもして、観客らを大いに楽しませていた。
声は声優さんがアテレコしていたのをあとから知るが、当時の俺は中に人が入ってるんじゃね? とか、本気で思っていたりもしていたくらいだ。
結局は人が別室で操作して動かす、正しくロボットに違いはなかった。
だがしかし、今現在は違う。
この僅か数十年でテクノロジーが飛躍的に進歩した現代科学。
それが生み出したロボットに変わるアンドロイドが、一般家庭や職場にも普及し、人と共に生活している時代だからだ。
外皮を覆う素材も数十年の間に切磋琢磨され、今では人間の肌の質感に近くなり、何がどうと言うわけではないが、僅かばかりの作り物臭さが残る程度。
またA.I.の発達により、より本物の人間らしい動き、表情の動きや感情表現までもを見事に再現している。
パッと見ただけでは、直ぐに人間と見分けがつかないくらい、精巧な仕上がりだ。
そんな昔のことを思い出している俺は、なんの因果か今現在、そのアンドロイドらと絶賛交戦中ってわけで――。
Miss.エッグの事情(9/3更新)
狂言巡
SF
市民に迷惑をかける怪人とそれから守る正義の味方が存在する世界。平凡なOLである主人公はひょんな事から強靭なパワーが宿るパワースーツを手にいれて自身の都合がつく限り怪人から市民を守っていた。全身白くて丸い容貌から通称は「キラーエッグ」。主人公は大企業と契約してるヒーローに正体がバレ、それを知った大企業の社長が主人公の勤め先を買収。大企業が作ったヒーロー課の事務に転職するのだった……。
ヤンデレ要素のある、なんちゃってSFを目指します。
蒼海の碧血録
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年六月、ミッドウェー海戦において日本海軍は赤城、加賀、蒼龍を失うという大敗を喫した。
そして、その二ヶ月後の八月、アメリカ軍海兵隊が南太平洋ガダルカナル島へと上陸し、日米の新たな死闘の幕が切って落とされた。
熾烈なるガダルカナル攻防戦に、ついに日本海軍はある決断を下す。
戦艦大和。
日本海軍最強の戦艦が今、ガダルカナルへと向けて出撃する。
だが、対するアメリカ海軍もまたガダルカナルの日本軍飛行場を破壊すべく、最新鋭戦艦を出撃させていた。
ここに、ついに日米最強戦艦同士による砲撃戦の火蓋が切られることとなる。
(本作は「小説家になろう」様にて連載中の「蒼海決戦」シリーズを加筆修正したものです。予め、ご承知おき下さい。)
※表紙画像は、筆者が呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)にて撮影したものです。
正しい歴史への直し方 =吾まだ死せず・改= ※現在、10万文字目指し増補改訂作業中!
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
二度の世界大戦を無事戦勝国として過ごすことに成功した大日本帝国。同盟国であるはずのドイツ第三帝国が敗北していることを考えたらそのさじ加減は奇跡的といえた。後に行われた国際裁判において白人種が今でも「復讐裁判」となじるそれは、その実白人種のみが断罪されたわけではないのだが、白人種に下った有罪判決が大多数に上ったことからそうなじる者が多いのだろう。だが、それはクリストバル・コロンからの歴史的経緯を考えれば自業自得といえた。
昭和十九年四月二日。ある人物が連合艦隊司令長官に着任した。その人物は、時の皇帝の弟であり、階級だけを見れば抜擢人事であったのだが誰も異を唱えることはなく、むしろその采配に感嘆の声をもらした。
その人物の名は宣仁、高松宮という雅号で知られる彼は皇室が最終兵器としてとっておいたといっても過言ではない秘蔵の人物であった。着任前の階級こそ大佐であったが、事実上の日本のトップ2である。誰が反対できようものか。
そして、まもなく史実は回天する。悪のはびこり今なお不正が当たり前のようにまかり通る一人種や少数の金持ちによる腐敗の世ではなく、神聖不可侵である善君達が差配しながらも、なお公平公正である、善が悪と罵られない、誰もに報いがある清く正しく美しい理想郷へと。
そう、すなわちアメリカ合衆国という傲慢不遜にして善を僭称する古今未曾有の悪徳企業ではなく、神聖不可侵な皇室を主軸に回る、正義そのものを体現しつつも奥ゆかしくそれを主張しない大日本帝国という国家が勝った世界へと。
……少々前説が過ぎたが、本作品ではそこに至るまでの、すなわち大日本帝国がいかにして勝利したかを記したいと思う。
それでは。
とざいとーざい、語り手はそれがし、神前成潔、底本は大東亜戦記。
どなた様も何卒、ご堪能あれー……
ああ、草々。累計ポイントがそろそろ10万を突破するので、それを記念して一度大規模な増補改訂を予定しております。やっぱり、今のままでは文字数が余り多くはありませんし、第一書籍化する際には華の十万文字は越える必要があるようですからね。その際、此方にかぶせる形で公開するか別個枠を作って「改二」として公開するか、それとも同人誌などの自費出版という形で発表するかは、まだ未定では御座いますが。
なお、その際に「完結」を外すかどうかも、まだ未定で御座います。未定だらけながら、「このままでは突破は難しいか」と思っていた数字が見えてきたので、一度きちんと構えを作り直す必要があると思い、記載致しました。
→ひとまず、「改二」としてカクヨムに公開。向こうで試し刷りをしつつ、此方も近いうちに改訂を考えておきます。
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる