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第32話 ジェノサイド
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蒼介達がいるホテルにチャマンカ人の兵士達が近づいているのが、窓から見えた。
正確な数はわからないが、全部で40人ぐらいはいる。
「行ってみる」
夏映が自分の腰にはめたシールドベルトのスイッチを入れた。
これで彼女の周囲には弾丸やレイガンの光線や、ブラスターの熱線などをはねかえす透明なバリヤーが張られた形になる。
蒼介も枕元からシールドベルトを取りあげると、自分の腰にはめスイッチを入れた。
ベルトにはホルスターが両側にあり、右にショックガン、左にプラズマソードの持ち手を入れた。
が、夏映は蒼介のホルスターから勝手にショックガンを抜き、代わりに枕元にあったレイガンを差しこんだ。
「兵士達は装甲服を着てる。ショックガンは役に立たない」
「人を殺したくないんだ」
「殺さなければ、殺される」
強い語調で宣言すると、夏映はエレベーターに向かった。遅れぬように蒼介も後を追う。
心臓が早鐘のように鳴っている。
「感情抑制剤を飲む? チャマンカ製の薬だけど」
夏映が聞いた。
「一応もらう」
蒼介が手を出すと、夏映は小さな錠剤を乗せた。
「口に入れたら、すぐ溶ける。水と一緒に飲まなくて大丈夫だから」
指示通り蒼介は、そのまま薬を口に入れた。すぐに口内でそれは溶ける。
全身を支配していた緊張感がすぐにやわらぎ、生まれて初めてと感じる程、思考がクリアになっていた。
エレベーターで1階に降りると、すでにホテルの入口へ、10人程のチャマンカ兵が押しかけている。
1階のロビーには、肌の色も髪の色も様々な地球人達が20人程いて、チャマンカ兵を遠巻きに観ていた。
「一体あんたら、何しに来たんだ」
アラブ系と思われる地球人の男性が、チャマンカ兵に向かって聞いた。
「貴様ら地球人達を、殺しに来た。この銀河系の知的生命体は、我々チャマンカ人だけで良い。貴様ら劣等種族は死ねばよいのだ」
チャマンカ兵は宣言すると、持っていた小銃の銃口を、アラブ系の男に向ける。
正確な数はわからないが、全部で40人ぐらいはいる。
「行ってみる」
夏映が自分の腰にはめたシールドベルトのスイッチを入れた。
これで彼女の周囲には弾丸やレイガンの光線や、ブラスターの熱線などをはねかえす透明なバリヤーが張られた形になる。
蒼介も枕元からシールドベルトを取りあげると、自分の腰にはめスイッチを入れた。
ベルトにはホルスターが両側にあり、右にショックガン、左にプラズマソードの持ち手を入れた。
が、夏映は蒼介のホルスターから勝手にショックガンを抜き、代わりに枕元にあったレイガンを差しこんだ。
「兵士達は装甲服を着てる。ショックガンは役に立たない」
「人を殺したくないんだ」
「殺さなければ、殺される」
強い語調で宣言すると、夏映はエレベーターに向かった。遅れぬように蒼介も後を追う。
心臓が早鐘のように鳴っている。
「感情抑制剤を飲む? チャマンカ製の薬だけど」
夏映が聞いた。
「一応もらう」
蒼介が手を出すと、夏映は小さな錠剤を乗せた。
「口に入れたら、すぐ溶ける。水と一緒に飲まなくて大丈夫だから」
指示通り蒼介は、そのまま薬を口に入れた。すぐに口内でそれは溶ける。
全身を支配していた緊張感がすぐにやわらぎ、生まれて初めてと感じる程、思考がクリアになっていた。
エレベーターで1階に降りると、すでにホテルの入口へ、10人程のチャマンカ兵が押しかけている。
1階のロビーには、肌の色も髪の色も様々な地球人達が20人程いて、チャマンカ兵を遠巻きに観ていた。
「一体あんたら、何しに来たんだ」
アラブ系と思われる地球人の男性が、チャマンカ兵に向かって聞いた。
「貴様ら地球人達を、殺しに来た。この銀河系の知的生命体は、我々チャマンカ人だけで良い。貴様ら劣等種族は死ねばよいのだ」
チャマンカ兵は宣言すると、持っていた小銃の銃口を、アラブ系の男に向ける。
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