上 下
42 / 51

それぞれの結末。

しおりを挟む


 王位奪取計画・終章
 それぞれの結末。




 王国を1つの衝撃的なニュースが駆け巡った。


 セラーズ侯爵家が、爵位と領土を国に返還したのだ。


 第一王子派閥の一角を担い、古くから王家を支えていたセラーズ侯爵家の爵位返上は、大変な話題となった。


 理由に関しては、様々な噂や憶測が囁かれているが、王家からの発表によると「他国へ帰属する為に、我が国の爵位と領土を返還する。」という理由であった。


 違和感はあった。


 しかし、誰も違和感の正体を、説明する事は出来なかった。
 

 そして、瞬く間に、セラーズ侯爵夫妻は他国へと旅立った。
 


▼△▼



 セラーズ侯爵夫妻が他国に旅立ったにも関わらず、彼等の1人娘であるリリアナ嬢は王国へ残り、修道院に入った。



 リリアナ嬢が入った修道院は、とても戒律が厳しいと噂がある修道院であった。


 望んで入る貴族の令嬢は、1人も居なかった。


 だから貴族達は、実際にはどんな場所なのかわからない。
 誰かの流した噂だけで知る。

 そんな場所であった。


 侯爵夫妻が返爵し、本人も突然修道院に入るという事で、彼女に理由を問う人が相次いだが、誰も彼女に会う事は出来なかった。



▼△▼



 この件で、第一王子・アレクシス殿下は、セラーズ侯爵家という、強力な後援者を失った。アレクシス殿下と第一王子派閥にとって、大変大きな痛手であった。



 そして、この一手により、アレクシス殿下がアカデミー卒業と共に、王太子に据えられるのでは無いか?という噂は、綺麗さっぱり消え失せた…。




▼△▼



 大混乱を巻き起こした、セラーズ侯爵家の影に隠れて、1人の男爵令嬢が人知れず結婚をした。


 その男爵令嬢は、アカデミーで数多くの令息達と、親しくしている、なんとも破廉恥な令嬢だと、話題になっていた人物だったので、アカデミーの夏季休暇が明けてからは、しばらく話題になった。



 しかし、休暇が明けるまでは、話題にもあがらなかった。

 

▼△▼



 そして、マーテル男爵夫妻の罪が明らかにされた。


 彼等は罪の重さから、即刻、毒を呷ることになった。


 また、彼等の一人娘であった令嬢は、当時アカデミーに通う少女であり、既に男爵家からは勘当されていた。そして更には、嫁いで姓も変わっていた為、男爵夫妻の犯行とは無関係だと判断された。


 令嬢の嫁ぎ先から、何らかの圧が掛かったのでは?とも、一部では噂された。


 けれど、噂だけで真相は誰にもわからなかった。



▼△▼



 そして、一切話題には上がらなかったが、1人の準男爵家のご令嬢の、死亡が確認された。




▼△▼



 これが直近に、この王国で、起きた出来事であった。



 これらの出来事で、ベルトハイドの名は、影も形も見当たらない。


 だが、全てはベルトハイドによって齎され、計画された結末であった。



 さぁ、そろそろ答え合わせをしよう…。


しおりを挟む

処理中です...