魔法剣士のはじめての冒険

37 地下攻防戦

★カナとルル

　2人の前に現れたモンスターはスカルドラゴン、しかも特大サイズだった。目の前の敵を倒さないと部屋から出ることが出来ないと悟った2人は攻撃を開始した。

「最初は自分が行くっス」

　ルルは素早い動きで間合いを詰めた、スカルドラゴンの懐に入り攻撃をする。

「闘技 炎竜拳！」

　炎を纏った拳がスカルドラゴンにあたりバラバラに崩れる、2人は呆気に取られた。

「えっ？倒したの？」
「あっ・・何か意外に弱かったっス」

　2人は歩き、扉に手を掛け開けようとしたがビクともしない。

「あれっ？開かないっス」

　2人の後ろからガチャガチャと何かが動く音がする、振り返ると倒したはずのスカルドラゴンが復活していた。2人は驚いているとスカルドラゴンが攻撃を仕掛けてきた、羽の部分が光りブーメランのように飛び回る。2人は逃げ回りスカルドラゴンと距離をとった。

「攻撃範囲が広いわね」
「崩れたのに倒せてないっス」
「私が攻撃してみる」

　カナは腰を落とし刀に手をかけると深呼吸をしてからスカルドラゴンに向かって走り出した。

「秘剣 龍切り」

　スカルドラゴンの頭部を真っ二つに切り全身がバラバラに崩れ落ちた、2人はこれで完全に倒したと思っていたが目の前でガチャガチャと動き出し元に戻ってしまった、その光景を見た2人は愕然とする。

「ど・・どうしたらいいの」
「倒し方がわからないっス」


★クロスとカゲトラ

　2人の前に現れたのはボロボロの服を着た女の人だったが、どうも様子がおかしい。髪はボサボサでフラフラしている、纏っているオーラは普通のモンスターとは違う、明らかにボス級のオーラと威圧感だった。

「クロスさん、クロスさん？」
「えっ？あっ・・ゴメン・・」
「どうしたんですか？」
「いやっ・・今、一瞬だけ周りに花畑が・・」
「はいっ？大丈夫ですか？」
「今は大丈夫」
「ならいいです、あのモンスター、クロスさんの図鑑に載ってないんですか？」

　クロスは図鑑を取り出し目の前のモンスターを調べることにした、カゲトラはクロスを守るように立っているが攻撃を仕掛けてくる様子は無い。

「どうですか？」
「う・・うん・・」
「どうしたんですか？」
「俺たちダメかも」
「図鑑貸してください」

　カゲトラは図鑑を取り目の前のモンスターが載っているページをマジマジと見て図鑑を落としてしまった。

「ちょ・・この図鑑、高かったんだから大事にして」
「クロスさん、戦わずに逃げる方法はありますかね」
「・・・・」

　図鑑にはこう書かれていた。

名前　バンシー

ランク　A～S

個体数は把握できていない、まさに伝説級と言っても過言では無い、注意すべきは叫び声、確実に死ぬ。男性はチャームにかかりやすい。

倒し方　不明

　2人は刺激しないように部屋の周りに出口が無いか探し出した。
歩いている時、クロスが石に足を取られ転んでしまった、それを見たバンシーは動き出し口を開ける。

「キャァァァ～～～～～～！！」

　クロスとカゲトラは耳をふさぎうずくまり、身動きが取れなくなっていた。