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王族って本当に屑ですね。どいつもこいつも自分のことしか考えない

8(終)

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「覚悟のうえです。それでも、私はリリアナに謝らなければいけないんです。10年以上も彼女に苦痛を与えてしまった。少しでも、その償いをしたいんです」


 ──愚かな弟は、ようやく自分の過ちに気づいたようだ。


 私はハーランに、平民がここから隣国に行くために必要なギリギリの金額の金銭を与え、一人で行くことを条件に隣国へ向かうことを許した。

 リリアナには悪いが、私は弟にもう一度機会を与えることにした。
 彼女が許さないのはわかっている。だが謝ることで、ハーランの中で何かが変わる、そんな気がした。
 リリアナには最後まで面倒を押しつけ申し訳なく思うが、後で詫びるので許してもらいたい。



 昔、公爵家の婚約者変更の件を相談しようとリリアナを再び王宮に呼び出したとき、彼女に言われた言葉を思い出す。 

「──王族って本当にくずですね。どいつもこいつも自分のことしか考えない」

 リリアナは、私がマリアージュの不遇を喜んでいたことに気づいた。そしてマリアージュが私に依存するよう、えて家族から引き離さなかった私に失望し、暗示をかけた。

 マリアージュを王宮で保護し、守ること。
 リリアナを二度と呼び出さないこと。
 そしてこの事を思い出さないこと。

 あの暴言は、その暗示の最中さなかに放たれたものだ。
 思い出したのはつい最近だ。なぜ今になって思い出したのか、理由はわからないが、不思議と怒りは感じなかった。

 彼女はハーランだけでなく、私のことも、おそらく国王陛下でさえも屑だと見限っている。

 だから私が今さら何をしても、しなかったとしても、彼女の評価は変わらない。
 事実、彼女の言うとおり、自分は屑だと思う。
 私は結局、マリアージュさえそばに居てくれれば、他がどうなろうとどうだっていいのだ。



 粗末な服に着替え、わずかな荷物を持って居心地悪そうに王宮を出るハーランを見送る。

 ハーランには伝えてないが、彼の侍従にこっそり後をつけるよう言ってある。さすがに私も、ハーランが旅の途中でうっかり死んでしまうなんてことがあると寝覚めが悪い。


 隣国にはもう一人、屑ではない弟がいる。

 我らの愚かで可愛い弟が、元婚約者の許しを請いにそちらに行くのでよろしく頼むと手紙を出した。

 後のことはあいつに任せて私は愛しい妻と息子の元に戻るとしよう。


 そして、リリアナの気持ちも考えずにハーランを送り出した事を怒ったマリアージュから、手痛い平手打ちをくらうのだ。

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