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私と婚約を続けるか、王子を辞めるか、どちらを選びますか?
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「婚約破棄を撤回できなければ、王家から除籍するとでも言われました?」
「っっ!!」
「やっぱり。そうでなければ貴方が私に頭を下げるなどあり得ませんものね。兄君達の婚約者は公爵令嬢や隣国の王女なのに、自分の婚約者はたかが子爵令嬢だなんて、自分はなんて不幸なんだと常々嘆いていらしたし」
「なっ! 誰から聞いた!?」
「初めてお会いしたときから顔にそう書いてありましたよ。王子のくせに感情を隠すこともできないなんて、本当にどうしようもないですね。そんな人間が王族に相応しいと本気でお思いですか?素直に除籍されたらいかがです?」
「ぐうぅっっ……!」
私に文句を言いたいが、婚約破棄を撤回させないと王子でいられなくなるので込み上げる怒りを抑えてひたすら我慢している。
そんなあからさまに悔しそうな顔をして我慢されても、あんたの言いたい事は全部顔に書いてありますよと言ってやりたいが、言って文句を言われてもうるさいので黙っておく。
「そもそも私と貴方との婚約は、光魔法を使える者を取り込みたい王家からの要請で決まりました。我が家は恋愛結婚派なので政略結婚、しかも王族相手など、出来ることなら断りたかったのですが、さすがに子爵家が王家の要請を拒否するなど外聞が悪いですからね。渋々お受けしました。そしてこの度めでたく婚約破棄の運びとなり、家族みんなでお祝いしていたところなのに、それをわざわざ撤回して婚約を続けなければならないメリットがうちにありますか?」
卒業パーティーから帰ってすぐ両親に婚約破棄を報告すると、父は喜び勇んで王宮へと手続きに向かい、母は使用人達と楽しそうに祝いの準備を始めた。
国外追放も一応伝えたが、忘れているのだろう。私も無視している。
それについて、今に至るまで何も言われたことはない。
「は? そんなもの、王族と縁続きになれるのだから充分だろう」
「私も我が家も貴族社会に興味はありませんのでメリットにはなり得ません。むしろデメリットです。ついでに言っておくと、うちの商会は財産も潤沢にありますのでこれ以上お金は必要ありません。あぁそれから、冤罪について公の場で説明し、私の名誉を回復させることは婚約をせずとも当たり前の事ですからメリットにはなりませんよ」
「そ、そんなことはわかっているっ! ……君が謝罪を受け入れ、婚約を続けてくれるのならば、私ができることは何でもしよう」
──ほぉ、何でもですか。
王子が軽々しくその言葉を口にするとは、相変わらず王族としての自覚が足りていないようですね。
いいでしょう。
ご自分の言葉にどれだけの責任が伴うか、私がわからせて差し上げましょう。
「何でもする。その言葉に二言はありませんね?」
「わ、私が出来ることであればだ! その範囲内であれば、何でもすると約束しよう!」
「いいでしょう。私がして頂きたいことは1つだけ。今後、政治・職務・不貞に関する内容以外の私の言動について、一切の邪魔をしない事。それだけです」
「ふん。なんだ。それなら元からお前に干渉するつもりはないから構わんぞ」
「そうですか。それは良かった。では早速……」
そう言いながら立ち上がり、ゆっくりと殿下の前まで歩いていく。
「ん? 何を……」
する気だと殿下が言い切る前に、私は拳で殿下の顔面を思いっきり殴りつけた。
「っっ!!」
「やっぱり。そうでなければ貴方が私に頭を下げるなどあり得ませんものね。兄君達の婚約者は公爵令嬢や隣国の王女なのに、自分の婚約者はたかが子爵令嬢だなんて、自分はなんて不幸なんだと常々嘆いていらしたし」
「なっ! 誰から聞いた!?」
「初めてお会いしたときから顔にそう書いてありましたよ。王子のくせに感情を隠すこともできないなんて、本当にどうしようもないですね。そんな人間が王族に相応しいと本気でお思いですか?素直に除籍されたらいかがです?」
「ぐうぅっっ……!」
私に文句を言いたいが、婚約破棄を撤回させないと王子でいられなくなるので込み上げる怒りを抑えてひたすら我慢している。
そんなあからさまに悔しそうな顔をして我慢されても、あんたの言いたい事は全部顔に書いてありますよと言ってやりたいが、言って文句を言われてもうるさいので黙っておく。
「そもそも私と貴方との婚約は、光魔法を使える者を取り込みたい王家からの要請で決まりました。我が家は恋愛結婚派なので政略結婚、しかも王族相手など、出来ることなら断りたかったのですが、さすがに子爵家が王家の要請を拒否するなど外聞が悪いですからね。渋々お受けしました。そしてこの度めでたく婚約破棄の運びとなり、家族みんなでお祝いしていたところなのに、それをわざわざ撤回して婚約を続けなければならないメリットがうちにありますか?」
卒業パーティーから帰ってすぐ両親に婚約破棄を報告すると、父は喜び勇んで王宮へと手続きに向かい、母は使用人達と楽しそうに祝いの準備を始めた。
国外追放も一応伝えたが、忘れているのだろう。私も無視している。
それについて、今に至るまで何も言われたことはない。
「は? そんなもの、王族と縁続きになれるのだから充分だろう」
「私も我が家も貴族社会に興味はありませんのでメリットにはなり得ません。むしろデメリットです。ついでに言っておくと、うちの商会は財産も潤沢にありますのでこれ以上お金は必要ありません。あぁそれから、冤罪について公の場で説明し、私の名誉を回復させることは婚約をせずとも当たり前の事ですからメリットにはなりませんよ」
「そ、そんなことはわかっているっ! ……君が謝罪を受け入れ、婚約を続けてくれるのならば、私ができることは何でもしよう」
──ほぉ、何でもですか。
王子が軽々しくその言葉を口にするとは、相変わらず王族としての自覚が足りていないようですね。
いいでしょう。
ご自分の言葉にどれだけの責任が伴うか、私がわからせて差し上げましょう。
「何でもする。その言葉に二言はありませんね?」
「わ、私が出来ることであればだ! その範囲内であれば、何でもすると約束しよう!」
「いいでしょう。私がして頂きたいことは1つだけ。今後、政治・職務・不貞に関する内容以外の私の言動について、一切の邪魔をしない事。それだけです」
「ふん。なんだ。それなら元からお前に干渉するつもりはないから構わんぞ」
「そうですか。それは良かった。では早速……」
そう言いながら立ち上がり、ゆっくりと殿下の前まで歩いていく。
「ん? 何を……」
する気だと殿下が言い切る前に、私は拳で殿下の顔面を思いっきり殴りつけた。
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