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一章
廃棄場よりも
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それから、私はあの廃棄場に通い続けては、彼と話をした。
いろいろなことについて話をした。持ち主がいなくなったロボットがいく施設がある、という話。そこではたくさんのロボットがいて、仕事をしながら社会にまぎれて生活をしているという話。街にでるとたくさん人がいるけど、その中にもロボットはたくさんいるんだろうか。きっといるだろう。
そんな話をしていると、ふと頭に考えがよぎった。
「ロボットさん、よかったら私の家に来ない?」
最初は青年ロボットはきょとんとした顔で私の方を見ていた。それでも私は続けた。
「こんな汚い廃棄場にずっといるより、私の家で暮らした方がいいと思うの。その方が、私もわざわざここまで通う必要もなくなるでしょ?」
ロボットは考えた。考えるフリをしただけかもしれない。
それでもしばらく顎に手を置いて黙った後、こう答えた。
「うーん、僕にとってはここはなかなか居心地のいい場所なんだけどね。でも確かに、君がここまで通う必要がなくなるのはいいことかもしれない。でもいいのかい?君の両親はきっと反対すると思うよ。」
青年ロボットが言ったことは正しい。もちろん、家族が承諾する可能性なんて低いに決まっている。
「それでも、大切な友達をこんなところに放ってはおけない。とりあえずついてくるだけでいいから、住まわせてくれないか、聞いてみよう?」
多少強引だったかもしれないが、青年ロボットは「とりあえず着いていくだけなら」とうなずいてくれた。
それから、私はロボットに名前を付けた。やっぱり名前がないと不便だ。私は彼に、「生希」という名前を付けた。
私は彼と帰路についた。その途中も、色々な話をした。
いろいろなことについて話をした。持ち主がいなくなったロボットがいく施設がある、という話。そこではたくさんのロボットがいて、仕事をしながら社会にまぎれて生活をしているという話。街にでるとたくさん人がいるけど、その中にもロボットはたくさんいるんだろうか。きっといるだろう。
そんな話をしていると、ふと頭に考えがよぎった。
「ロボットさん、よかったら私の家に来ない?」
最初は青年ロボットはきょとんとした顔で私の方を見ていた。それでも私は続けた。
「こんな汚い廃棄場にずっといるより、私の家で暮らした方がいいと思うの。その方が、私もわざわざここまで通う必要もなくなるでしょ?」
ロボットは考えた。考えるフリをしただけかもしれない。
それでもしばらく顎に手を置いて黙った後、こう答えた。
「うーん、僕にとってはここはなかなか居心地のいい場所なんだけどね。でも確かに、君がここまで通う必要がなくなるのはいいことかもしれない。でもいいのかい?君の両親はきっと反対すると思うよ。」
青年ロボットが言ったことは正しい。もちろん、家族が承諾する可能性なんて低いに決まっている。
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多少強引だったかもしれないが、青年ロボットは「とりあえず着いていくだけなら」とうなずいてくれた。
それから、私はロボットに名前を付けた。やっぱり名前がないと不便だ。私は彼に、「生希」という名前を付けた。
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