上 下
3 / 7

声の主

しおりを挟む
 「ようこそ、生徒会へ。ここは中央棟最上階、生徒会室といったところよ。どう?気にって貰えたかしら?」
 真ん中のいかにもふかふかしてますよ的椅子に座ってこんなセリフが言える立場。この女性が我が校の生徒会長様のようだ。
 「お招きいただきありがとうございます。ですが、あ、あの唐突過ぎて話が飲み込め無いのですけど、えっと、そのどうして僕が生徒会室に?」
 「愚問よ。貴方は生徒会に選ばれたのよ。しかも、私直々に。だから泊を迎えに行かせたでしょ?」
 「あっあー、あの僕生徒会に入るつもり無いんですけど。」
 「知っているわよ。だから貴方は生徒会に入らないのよ。」
 この話は矛盾している。生徒会に選ばれた人間が生徒会には入らない。どういう事だ。
 「あの、会長。話が矛盾していませんか?生徒会に選ばれたのに生徒会には入れないと言わんばかりに、その、ですから、なんと言いますか....。」
 「あっ、そういう風に捉えちゃった?貴方には生徒会に準ずる組織を作って貰うのよ。」
 えっ、話し飛び過ぎだろ。
 「ちっ、ちょっ、えっ?ちょっと、待ってください。」
 「何?これは早急に決めなきゃいけない問題なのよ。一人の判断で決めて良いことでは無いの。」
 「ですが........。」
 「そう。なら、これなら納得していた抱けるかしら?香葉、彼を拘束しなさい。」
 と身構えようとしたときに、
 「してはいけないわ。」
 と、声が聞こえた。
 「紗椰佳、登場が遅いのでしてわ?まさかお気に入りの彼のピンチに表れるとは彼に惚れらたいのですか?」
 「えぇ。だって氷雨の狙っている男でしょ?惚れられたいし、欲しいわよ。」
 僕はその声の主を知っている様な気がしただから振り返ろうとした。だが、
 「おっと、振り向かないでね。私、今は貴方に顔を拝んで欲しくは無いわ。振り向いたらパラベラム弾が両目を貫くわよ。」
 「叶燐先輩も悲しむわよ。」
 するとパスッとサプレッサーを着けた発砲音聞こえた。弾はわざとらしく会長の机におかれた黒い 生徒会長 とかかれた三角の立て札を撃っていた。だが凹みしか付いて無いことを見ると金属製の物とわかる。跳弾した弾は壁に刺さっていた。それを、僕が確認する前に泊がM1911、つまりコルトカバメントを構え様としていた。ヤバい撃つ気だ。気付いた瞬間に僕はM92Fを引き抜いてリロード、発砲。この動作に必要な時間は1.5秒。狙う位置は用心金と銃低の曲線。低いこの位置からだとよく見える。狙いを定めるまでに、2秒。計3.5秒。そしてサプレッサーすらつけていない生の低い音がダンッと流れる。狙いはうまくいき弾丸は銃の途中で止まる。おまけで用心金と引き金の間を狙い撃つ。流れる作業で合計5秒。泊は引き金に手をかける前だった事もあり怪我は無い。
 「「やっぱり貴方面白い。貴方が欲しいわ。私の物になりなさい。」」
 と、紗椰佳なる人物と会長から言われた。
 「特別大サービスあげるわ。今なら貴方が気になること何でも答えてあげるわ。まぁ五つだけど。」
 紗椰佳なる人物がそう言う。ならば聞くしかあるまい。
 「質問。貴女の欲しい物は?」
 「貴方よ。」
 「僕はこれから何されるの?」
 「それは私から答えるわ。私の気分次第。拘束、逆レイプ、殺害、そうね。そのまま帰す。でも、拘束からの逆レイプが一番面白そうね。」
 「会長ありがとうございます。生次の質問です。徒会に準ずる組織とは?」
 「会長は何がしたいかわからないわ。だけど多分アリアを作りたいのかしら?」
 「アリアとは?」
 「レチタティーボを屠りし組織とされているわねぇ。次でラストよ。」
 「会長の名前は?」
 「神 千里(かなえ せんり)。これで質問は終了。良かったの?私に関する質問無かったけど。何ならサービスで名前くらい教えてあげるわよ。」
 「いいんです。いつか絶妙に会える時が来るでしょ?」
 「そうね。会える日と、その時貴方が私の物になる事を祈って。チァース。(乾杯)」
 「チァース。」
 と、言い終わるとその存在は消えて行った。
 「香葉拘束よ。」
 「はい。おとなしく縄に付いてくれたら何もしませんよ。」
 この状況ヤバくね?一応会長にお願いしよう。
 「神先輩、友達との約束があるので拘束される訳にはいかないんです。」
 「えーでもお預けにはねぇ。拘束は見逃してあげるから、それなりの物をくれないかしら?ここは生徒会よ。しかも貴方、校内発砲は原則的に禁止な事を知ってるでしょ?それも見逃してあげるわ。さらに泊のガバメントの修理代についても訪わない。その代わり何かちょうだい。」
 取引ね。かなり美味しい話しだが、下手に飲むと危ない。
 「質問です。紗椰佳さんはなぜ校内発砲について問われないのでしょうか?」
 「問わないとは言ってないわよ。だけど訪わないわね。いえ、問えないのよ。彼女がやっている事柄ね。でも、貴方は別よ。あ、私の取引材料はさっきのだけじゃないは。これから貴方が校内で問題を起こしても大抵の事はもみ揉み消してあげるわ。どう?これで下手な物を出したら即決裂という事が分かったかしら?」
 へぇ。これはこれは美味しいお話な事だね。
 「何が御望みですか?」
 「愚問ね。私は貴方が欲しいの。欲しくて欲しくてたまらないのよ。分かったかしら?あと私の代でアリアを作りたいの。そしたらアリアは生徒会に準ずる物だし、私は永久的に名が残る会長になる。」
 簡単に言うと欲望の塊。そんな人が会長でいいのか?ねぇ助けて祐桜!まぁいいや。どうせなぁなぁで適当に時間が過ぎることを待っていただけのこの高校生活。少しでも退屈しのぎになったり熱中できる物をほっしていたのは事実だし、欲しいと思ったものは最後まで手に入れることはきっとできなかった。欲すれば欲するほど手の中からすり抜けていく。なら、今回くらいはわがままに為ってみようじゃないの。たった一回限りの高校生活なんだし。この言葉を口にしたらもう後には引けない。だが、
 「なら、自分がアリアの一員?に、なりますよ。」
 すると神先輩は嬉しそうにニッコリと笑うと椅子から立ち僕のもとまでくると抱きしめた。この人意外と身長があって、椅子に座ってる時は分からなかったが髪も長くポニーテールをしている。なんというか、出ているところが出ていて柔らかい。ミントっぽい彼女が出す女性特有の甘い匂いもしてなんというか恥ずかしいのに嬉しい。会長は僕に抱きついたまま、
 「貴方ならやってくれると思ってたわ。そうそう、アリアには貴方の回りにいる鏡川君を入れるといいわよ。彼なら役立つはず。」
 「あの、神先輩。僕の回りどころかクラスにも鏡川っていう人はいませんよ。誰かの勘違いではないのですか?」
 「そうね。あ、牧君だ。彼をアリアに引き入れると良いわ。彼はそのっ、ね。あれだから。」
 僕にはわからない含み言葉で神先輩自信納得しているみたいだった。
 忘れてはいけないが、ここは人払いすらされていない生徒会室。生徒会メンバーが見ている中で抱きつかれたのだ。神先輩にはあまり恥じらいという概念が無いのか、ずっと抱きついたままだ。このまま拒否するかの様に彼女を振りほどく事はまず選択肢としては論外中の論外だ。だが、そろそろ時間も迫って来ている。どうしよう。
 などと考えていたら、神先輩は抱きつくのを止めてくれた。だが手を僕の肩に置くと、
 「ねぇ湖渡ぉー。私は貴方を手に入れた事は嬉しいわ。でも貴方を手駒としてじゃなくて、男としても手に入れたくなっちゃったの。私が彼女だと嬉しい?」
 ヤバい。さっきの言葉は会長としての物。この言葉は神 千里という一人の女の言葉だ。ど、どう受け答えしよ、えっ........!
 「神先輩が彼女だと嬉しいですよ。けど、神先輩とは付き合えません。だって嬉しいだけであって僕は、僕は先輩の事をあまり知らないですし、恋する材料が無いじゃないですか?」
 ヤバい。傷つけてしまった.......?
 「ふぅん。やっぱり貴方面白い。確実に生意気な後輩(紗椰佳)より絶対に先に手に入れて見せる。」
 えっ?もしかしてやる気に火を着けた?えっ、えぇっっーーーー!
 「それと、湖渡は学校生活でも私の事は千里さんって呼ぶのよ。敬語は使いたくなかったら使わなくてもいいわ。」
 「はい。あの、千里さん。僕これから牧君と約束があるんですけど......。」
 「あっ、ごめんなさい。時間とらせましたわ。もうお帰りになって結構よ。泊、彼を昇降口まで案内してあげなさい。では、柊君。」
 この人、切り替え早いなぁー。もう柊君呼ばわりだよ。これは多分会長モードだな。あっ、そういえば、
 「あの、千里さん。LINE交換いいですか?」
 どっちで来るか楽しみだな。さぁ会長か千里さんか。千里さんは携帯をいじると、
 「いいわよ。湖渡、これが私のQRコードよ。」
 と携帯を渡して来た。千里さんで来たな。QRを読み取ると表れた名前が千里という下の名前だけというシンプルだと思う。僕は約束をすっかり忘れかけていたのでヤベと思いながら、
 「ありがとうございます。あ、失礼しました。」
 と、言って僕は退室した。階段下では一足先に来ていた泊がいた。
 「泊先輩。先程はすみませんでした。あの何て言うか、その.......。」
 「君かなりの腕なのにどうして隠してたの?まぁ会長の機嫌が良かったから今回の事は見逃してあげるわ。だから答えなくてもいいわ。というか、答えないで。」
 答えないで、と言った時の泊はすごく淋しいそうで辛そうだった。この目は銃に生きてきた現代人に多い目だ。泊も銃に生きてきた人の人なんだろう。
しおりを挟む

処理中です...