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歯車が回り始めたから誰か止めて!

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 皇先輩好き宣言の後僕達は昇降口に向かった。クラスでは動揺もあり、うるさくなっていたがどうにか抑える事ができた。皇という美人な先輩がいることは前から噂になっていたことで咄嗟に言ったっていう事で納得してもらった。昇降口に行くと何年生かわからない女子生徒に声をかけられた。多分先輩だろう。
 「ちょっといいかしら?」
 「あ、はい。僕ですか?」
 「一年の柊君であってる?」
 この流れだと付いて来いってことだな。
 「はい、あっ祐桜、深愛、キノ先に行ってて、よろしく。」
 無言で三人は先に言った。ここだと何をするにせよ場所が悪いのにな。と思っていると、
 「人払いありがと。少し付いて来てもらえるかしら?あ、もし断ったら、ねっ。貴方ならわかるでしょ?」
 と彼女が見せてきたのは春も終わりに近いというのに不自然に左腕に掛けられたコート。その間から見えるのは銃口。多分大きさからしたら.45ACP、つまり11mサイズ。ひー怖い。
 「おかしな事を少しでもしたら、ねっ。わかってるでしょ?私はどう見えるか分かんないけど火特2をもってるのよ。」
 物騒な事をいってる少女を目の前にし僕はゆっくり両手の掌を彼女に見せて上にあげた。いわゆる降伏のサインだ。
 「いい子なのね。なら付いて来て。行く場所は生徒会室よ。」
 「あ、はい。」
 僕、生徒会に喧嘩売ったかな?まぁいいや。やべ、今日ベレッタ92Fしか無い。
 時は現代。日本は2017年のテロ等準備罪により逆にテロが多くなった。あの法案の反発は大きく、2019年には国指定危険暴力団が全て自衛隊と戦争みたいな争いをして潰され、2020年何とか東京オリンピックを乗り切ると、2023年の法改正により火器の取り扱いの法律がとてもゆるくなり、一般人でも満15才6ヶ月になれば武装免許と言って免許に記した火器を使うことができるようなった。これを後に2023年の法大改革と言い、その時出来た法律が火器類特別行使所持法と言い、簡単に言うと銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)が無くなり、国家公認で銃社会になってしまったのだ。これが世に言う、戦後の憲法大改革。
 日本はアメリカとの同盟はそのまま憲法第9条を大幅に変え自衛隊の特殊部隊、いわゆる軍隊を形成させた。その裏で国家公認の銃社会に成ったこともあり、ますますテロ組織や過激派組織が日本に入って来はじめた。
 なんとも馬鹿な事に今さら廃止する事はかなわず2025年までに日本では年間2500人以上が銃や刀などの武器により死んでいる。そのため中学校でも2026年度から火器の取り扱いが体育の武道に代わり教えられている。国は警察官にアサルトライフルなどを携帯させている。
 わー、世界に類を見ない恐ろしい我が国。
 さっき、コートに銃を隠し僕を生徒会室に案内させている彼女が持ってる火特2とは火器類特別第2類所持及び改造免状の略称系だ。ちなみに第一類はリボルバーに関する物。彼女が持ってる第2類は拳銃及び自動拳銃に関するもので、三類は自動小銃いわゆるマシンガンやサブマシンガンだ。さらに第四類になると、突撃小銃いわゆるアサルトライフル、第5類はスナイパーライフル、第6類は爆弾。
 このすべての面倒持っている人を僕は一人だけ知っている。祐桜だ。あいつは何かと免許を持っている。火薬、危険物乙1~6、大型~小型バイク、火特1~6、海特無線一級、特殊無線一級、小型船舶一級、中型~大型自動車、海技士免状(航海、機関共に)一級、その他もろもろどこでとったのか不思議なほど免許を持っているのだ。中には年齢にたっしていない物もある。あいつは確かにイカれてる。
 歩きながら彼女が話しかけてくる。
 「あ、私の名前言って無かったわよね?私の名前は泊 香葉。これでも生徒会のメンバーよ。一応二年生で書記してるわ。」
 「そうなんですか。」
 僕には全く関係の無い事だが相づちくらいは打っとく。何せ相手は改造拳銃で射殺す事も簡単な相手だからだ。
 階段を登り2階から4階へ行きさらに北棟から南棟へ行き西棟へ行く。
 ここで疑問なのがどうして南棟へわざわざ行ったのかだ。実質この学園は中央棟を中心として東西南北への移動ができるようになっている。もちろん各棟ごとに渡り廊下を使えば西棟なら南棟と北棟へ、北棟なら東棟と西棟へと移動ができるがほとんどの生徒が中央棟を概して移動を行っている。
 だが今の泊の案内だと北棟→中央棟→南棟→渡り廊下→西棟の順番なのだ。
 聞こうとしたが次は西棟にこんな場所あったのか?と思えるフロアに出た。そしてフロアを横切ると中央棟の方へと向かった。そして多分、中央棟なんであろう場所をに行くと目の前に階段がある。その階段の途中には踊り場の様に廊下が横切る様にあった。階段を登っていくとその廊下は中央棟のこの階をぐるりと囲む形になっていた。そして無言だった泊が口を開く。
 「さぁーて。生徒会室に案内するわよ。あ、疑問?なんでこんなに動き回ったか。」
 「はい、教えてくれるんですか?」
 「それは後の貴方次第だけど、いい事教えてあげるわ。この廊下はこの階を囲む形でできています。さらにこの西側の階段みたい東側にも南側にも北側にも階段はついています。」
 泊は棟ではなく側と言った。
 「あ、あの泊先輩質問いいしてもですか?」
 「えっと、え?いいわよ。その事は私でも答えられるから。」
 この建物は、西側の階段なら南棟へ、南側の階段なら東棟へ、東側の階段なら北棟へ、北側の階段なら西棟へ、とまるで校舎全体を使った特別な四方位で作られたスパイラル式階段という推理を聞かせると、
 「貴方の推理は全く持って合ってるわ。まぁ、もっとも質問では無かったけどね。ねぇ貴方私の物にならないかしら?それなりに悪く無いと思うのだけどさぁ。」
 「...........................。」
 無言を返すと、
 「まぁいいわ、私個人の物にはならなくても貴方はもうすぐ私達の物になるんですもの。」
 と、カラカラと笑い始めたのだった。 
 「付いて来なさい。」
 階段を全て登るとずっと下ばかり向いていた僕には見えなかったがドアがあった。
 泊がノックし、
 「失礼します。二年の泊です。彼を連れて来ました。」
 中から、
 「早く入って。」
 と、声がし部屋へと入る。そこにいたのはモダンなクッション性の高い椅子に腰を掛けティータイムを楽しんでいた少女と、その側に立つ女子。さらにテーブルを囲む様にして備え付けられたモダンなソファーには男子生徒と女子生徒が二人ずつ座りティータイムを楽しんでいた。泊は角の席に移動する。多分だが、書記の席なんだろ。
 僕はソファーとは別にテーブルに備え付けられたこれまたモダンな椅子に座る様に言われた。この中で一番偉そうにしている女子生徒と向かい合った容で座らされた。するとその女子が、
 「ようこそ、生徒会へ。」
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