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第1章 悪役令嬢がメイドに至るまで
二人のイケメンは私を嫌っている。
しおりを挟む王子イケメンな彼は、私のことを異常で粘り強いと言っていた。
誰しも、嫌いな人とは一緒にいたくないだろう。
で、あるならば、早くお別れしようか。私ってば優しい。
「では、さようなら」
「……何を企んでいる」
ええー。わざわざお辞儀までしたのにー。用が終わったのなら帰って欲しかったのにー。声をかけたら疑われたー。なぜだよー。心外だぞー。憤慨だぞー。
「何をしようとも意味は成さない」
この人……勘繰りが酷い。私はただ帰って欲しかっただけなのに……。
「既にお前は公爵家から出された身だ。今のお前は只の平民。いや、罪人だ。婚約も破棄した。もう私の婚約者ではない。お前の処刑も決まった事だ」
えーっと?私は公爵家から出されて元々は公爵家にいてコイツの婚約者で今は婚約者じゃなくて……。
情報が多いぞ。一気に来たな。気を抜いてたのに。嫌がらせかっ。
ん?処刑?
そこで王子イケメンは眉を潜めた。
「忘れたとは言わせない。お前がリリアにした鬼畜の所業。公爵令嬢という身分を持っていたお前は、何をしても罪に問われないと思っていたようだが───」
思わず目が点になっている私に気が付いたのか怒られた。
リリア、新たな人物が出て来たな。
ふと、私の頭の中に鬼畜の所業シーンが現れた。
まるで走馬灯。主観的な映像で、私は私の目から物事を見ている。
その間も王子イケメンの説教は続く───。
私はそれを半分聞き流しながら、急に現れた映像の方に集中する。半分でも聞いていることを褒めてくれ。
その映像全てにおいて、私が、ピンクの髪を持つ少女に、いろんな事をしている。それはもう、いろんな事を。
窃盗に罵倒は序の口、飲み物や食べ物があれば直ぐ様にかけ、ドレスは切り刻み、汚し、破り、先回りをし穴を作り、通り道には滑りやすいものを塗り、数多の刃物を仕込み、多数の賊を仕掛け、毒を盛り───。
多い。
よくこんなにやれたな、私。
「お前は忘れたというのか?」
凄まれた。
首を振っとく。
「反省の色もなしか」
いや何故だ。解せない。
「レオ、時間だ」
「ああ」
アレンが王子イケメンに声をかけた。
王子イケメンはレオという名前らしい。アレンの言葉に頷きながら返事を返した。
「変な事するなよ」
最後に王子イケメンのレオは私を目で威圧しながら声を低くし、念を押した。
違うことはわかるが、あまり言われるとフリかな、なんて考えてしまう。考えただけだが、なぜだか申し訳ない気分になった。
こうしてイケメン二人は去って行き、牢屋には静寂な静けさが戻ったとさ。続く続く。
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