35歳刑事、乙女と天才の目覚め

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第6章:仲間たちの反応

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翌朝、警視庁の会議室には緊張感が漂っていた。尚子の緊急招集に応じて、捜査チームの主要メンバーが集まっていた。

佐藤警部が口を開いた。「高橋、昨夜の発見とは何だ?」

尚子は深呼吸をして、説明を始めた。「私の能力覚醒には、警察内部の人間が関わっている可能性が高いです」

会議室が騒然となる。

「どういうことだ?」佐藤警部の声が響いた。

「犯人の証言と、これまでの事件の詳細を照らし合わせると、警察の内部情報を知る人物の存在が浮かび上がります。その人物が、私のデータを利用して能力覚醒を引き起こした可能性が高いのです」

レイナが声を上げた。「でも、なぜ高橋さんが標的に?」

尚子は少し躊躇したが、真実を告げることにした。「おそらく...私の潜在的なジェンダーアイデンティティを感知したからでしょう。私の中にあった"乙女"の側面を、能力覚醒と同時に引き出そうとしたのだと思います」

会議室は一瞬、静寂に包まれた。

佐々木が声を震わせながら言った。「つまり...俺たちの中に裏切り者がいるってことですか?」

尚子はうなずいた。「可能性は高いです。しかし、まだ確証はありません」

佐藤警部が重々しく言った。「この情報は極秘に扱う。外部への漏洩は厳禁だ。高橋、君を中心に特別捜査チームを結成する」

その後、個々のメンバーとの対話が続いた。

レイナは尚子に寄り添いながら言った。「私、あなたの力になります。絶対に真相を突き止めましょう」

佐々木は複雑な表情を浮かべながらも、「先輩...いや、尚子さん。俺も全力でサポートします」と力強く宣言した。

しかし、全員が前向きな反応ではなかった。

古参刑事の村田は、明らかに不信感を露わにしていた。「性別も変えるような奴に、こんな重要な捜査を任せていいのか?」

その言葉に、会議室の空気が一瞬凍りついた。

尚子は村田をまっすぐ見つめ、静かに、しかし力強く言った。「村田さん、私の性自認と能力は別問題です。私は刑事としての使命を全うする。それは変わりません」

佐藤警部が仲裁に入った。「村田、高橋の能力は我々の大きな武器だ。個人的な偏見は捨てろ」

村田は不満げな表情を浮かべたが、それ以上の反論はしなかった。

会議が終わり、尚子は深いため息をついた。仲間たちの反応は様々だったが、多くは彼女を支持してくれていた。しかし、内部の裏切り者の存在を考えると、誰も完全には信用できない状況でもあった。

その夜、尚子は自宅で鏡に向かっていた。
「私は私のままで、この事件を解決する」
決意の表情を浮かべる彼女の瞳に、強い意志の光が宿っていた。

真犯人の影が、徐々に形を現し始めていた。
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