35歳刑事、乙女と天才の目覚め

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第5章:真実への接近

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事件から一週間が経過した。
高橋尚子(旧・尚樹)の決断は、警察署内に大きな波紋を呼んでいた。

「尚子さん、おはようございます」
朝、署に入るなり、同僚たちが優しく声をかけてくる。その中には戸惑いの色も見えたが、多くは温かい受け入れの雰囲気だった。

尚子は微笑みを返しながら、自分の机に向かった。そこには、まだ解決していない謎が山積みだった。

「犯人は捕まえたものの、まだ分からないことが多すぎる...」

尚子は犯人の供述調書を読み返していた。そこには、尚子の能力覚醒に関する断片的な情報が記されていたが、その全容は依然として謎に包まれていた。

「高橋さん、ちょっといいですか?」
レイナが近づいてきた。

「どうしたの、レイナ?」

「実は...犯人が、あなたとだけ話したいと言っているんです」

尚子は眉をひそめた。「分かったわ。行ってみる」

取調室に入ると、そこには憔悴した様子の犯人が座っていた。

「来てくれたんですね、尚子さん」

「何の用?」尚子は冷静に尋ねた。

犯人は深くため息をついた。「あなたの能力...あれは私一人の力では作り出せなかったんです」

「どういうこと?」

「私には...共犯者がいるんです。その人物こそが、あなたの能力覚醒の真の黒幕なんです」

尚子は息を呑んだ。「共犯者?誰なの?」

犯人は苦しそうな表情を浮かべた。「それが...分からないんです。その人物とは、常に匿名で連絡を取り合っていて...」

「じゃあ、どうやってその人物を見つければいいの?」

犯人は尚子の目をまっすぐ見つめた。「あなたの中にある答えです。あなたの能力の根源に、全ての真実が隠されている」

尚子は混乱していた。自分の中に答えがある?それはどういう意味なのか。

取調室を出た尚子を、レイナが心配そうに見つめていた。

「大丈夫ですか?」

尚子は複雑な表情で答えた。「ええ...でも、新たな謎が増えたわ」

その日の夜、尚子は一人で資料と向き合っていた。犯人の言葉、事件の詳細、そして自分の変化の過程。全てを並べ、関連性を探る。

そして、深夜近くになって、ついに閃きが走った。

「まさか...」

尚子は急いで携帯電話を取り出し、ある番号をダイアルした。

「もしもし、佐藤警部ですか?重要な発見がありました。明日、緊急会議を開いてください」

電話を切った尚子の表情には、決意の色が浮かんでいた。
真実はすぐそこまで近づいていた。しかし、その真実が彼女にもたらすものは、予想もつかないものだった。
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