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真面目な羽鳥

SS2

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 友香子の思考は基本前園に侵されていた。どれもこれも理不尽で身勝手な前園の考えや感覚を植え付けられて染められている。


 耐えれん――。


「あの自己中クズ野郎と一緒にすんな、全然理由ちげぇわ」
「え?」
「住む場所ねぇからって女のところ転がりこめるか」
 真面目に言ってんのに、キョトンとした顔すんな!可愛いな!

「お前も軽々しく男部屋に呼ぶな!」
「えー?!でも羽鳥くんだし!なんか今さらみたいな……」
「今さらだからちゃんとすんだろ!ボケ!」
 寝取って無理やり自分のモンにして……段階も何もかも無視して友香子の手を取った。もっとちゃんと今までしてやれてないこと、満たされてないこと満たしてやりたいって思うから。


 一緒に暮らすのだって、友香子といちから始めたい事だから。


「……ダメってこと?」
「……」
「……一緒にいたいじゃ、ダメってこと?」
「……」


 (待て)


「今さら、離れるの……寂しいな」
「……」
 しゅんとして。


 (待て待て)


 本当に肩落とすみたいにしゅんとして俯いてしまった友香子。


(あー……どえらい可愛い)


「ネカフェと一緒だよ……ちょっと泊まるだけ、数日だよ?それでもダメ?」


(どこがネカフェと一緒なんだよ、アホが)

 
「どこかに泊るなら……誰かのところ行くなら私のところに来て?」


(お前以外に誰のとこ行くんだよ、何言ってんだ)

 
「羽鳥くん……ダメ?絶対ダメ?」
「……」
「干渉しない、一人になりたいって思ったら私が出てくから!」

 
(必死に言うセリフがそれかよ!なんでお前が出てくんだよ!つーか出てくなバカやろう!)


「一緒にいたいよお」


(負けるわ、これ)


「……じゃあ入居決まるまで泊めて」
 
 そう言って友香子の身体抱きしめた。

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