ネカフェに住むチャラそうな男について行ったら抱きしめられてプロポーズされました。

sae

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ネカフェに連れ込んだ男はいろいろ目論んでいる。

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 前園を知ってからどうしようもないほど思う気持ち。

(くそおもんねぇな)

 しょうもない嫉妬に襲われていて、傍にいたって手に入るどころか届かない相手を好きになってしまったのかと嘆きが入ってきた。相手がいる相手を思うほど不毛で虚しい気持ちはない。しかも相手は面白くないほど感じの良い奴で余計うんざりする。もっとバカみたいな男なら良かったのに。もっとクズみたいなやつならどれだけ良かったか、そう思っていた時だ。ツレ(マモル)と飲んでたら偶然前園のことを聞かれた。

「恭平の会社に営業で前園ってヤツいんの知ってる?」
「知ってる」
「あいつクソむかつくわー、仕事だけじゃなくて夢歌ちゃんまでとられたぁぁ」
「ゆめか?」
「最近入った子でめっちゃ好みでさぁ!可愛いって思って近づいてたのに……あっさり持って行きやがった、くそ!」
 その名前から源氏名と推測してマモルがハマるとなると答えはひとつ、キャバ嬢か。

(なんだよ……自分を好きな女平気で待たせて、好き放題?職場では彼女大事にしてるみたいな顔して外ではチャラチャラ遊んでんじゃねぇか、死ねぼけ)

 前園は望んでいたクズみたいな男だった。外面からは知り得なかった裏の顔を偶然知ってしまった。

 諦めたくても、友香子を見ると諦められなくなる。友香子は前園を想って健気に暮らしているのに、それをいい様にいいくるめて自分の檻に閉じ込めておくみたいな前園に腹も立つし、それを疑いもなく受け入れる友香子にだって……。

 部署のGMも信じらんねぇくらい物や人に当たって喚き散らすタイプだし、仕事の雑務も多くて自分がやりたい事を十二分も出来ない歯がゆさ。そんでもう、だんだん嫌になってきて。

(仕事辞めてぇ)

 気づいたら転職サイト覗いて、理想的な場所見つけて申し込んでた。

 なのに……諦めて友香子の前から逃げるみたいに去ろうとする俺に思いもかけないチャンスが降ってくるんだ。

「ネカフェってなに?」
「うそだろ?マジで聞いてんの?」
 学生時代はバイトばっかりでろくに遊ばずすぐにここに就職したと言ってはいたけれど。友香子はびっくりするほど娯楽に疎かった。

 どうせ辞めるし……そんな軽い気分でこぼしてしまったことがえらい展開になってきて。ネカフェに興味を示した友香子が付いていきたいと言うからとんでもねぇこと言っちまったと後悔半分……いや、二割くらい?八割下心で一緒にネカフェまでの道のりを歩いた。


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