上 下
10 / 32
本編

5※

しおりを挟む
 室内に響く吐息がただ甘い。自分がこんなに甘ったるい吐息を吐けるのを初めて知った。

「はぁ、ぁ……ん、ぁ……」
「降りて?」
「あ……」
 腰を掴まれて引き寄せられると座る羽鳥くんの腰回りに膝をつかされる。目の前で見つめる羽鳥くんはいつもより興奮したように見えた。いつもクールで表情なんかそんなに変わらないのに、この状況に私が感じていたワクワクみたいな感情を感じる。

「自分で挿れて」
「え、ぁ……」
 表情に気を取られていた。いつのまにかボクサーパンツから取り出されていたモノが大きく反りあがっていてそれが蜜口に触れた。ヌルっとして、硬さを感じたら途端に慌てた。

「え、あ、うそ、だめ」
「なにがだめ?」
「だ、だめ……」
 必死の抵抗、ダメ、ダメ、頭では分かってる、ダメだもん。こんなことしちゃダメ。

「どこがダメなんだよ、欲しがってるくせに」
 試す様な言い方に顔がかあぁっと熱くなる、言わないで欲しかった。私の心の奥に隠してる気持ち、言葉にしないで、そう思ってキッと睨んでしまった。

「なん……だって」
「だってなに」
 ヌルッと擦り付けられて息が乱れる。鼻から声が漏れる、腰が――揺れる。

「だってぇ、私っ……」
「彼氏がいるから?だからなんだよ、飾りみたいな彼女いつまでやってんだよ。やめろ」
「あっ!」
 挿れて、そう言ったくせに結局羽鳥くんが押し入ってきた。だめ、そう言ったのは私。でも私の身体はダメって言わない、素直に奥まで受け入れてしまった。

「あん、だめ、だめぇ」
「はぁ……キッツ。すげぇ締めてくるけど、ほんとにダメなの?気持ちいいくせに」
「や、ぁっ、だぁ……」
「やだ?前園が良いの?前園じゃなきゃダメ?」
 羽鳥くんが耳元で囁きながらそう聞いてくる。ダメな理由、ダメと拒む私の気持ちを問うてくる。

「俺じゃダメ?」

 そうじゃない……羽鳥くんが嫌なんじゃない、ダメなこと……ない。その気持ちに気づいたら胸が痛い。

「あんっ!」
 いきなり襲ってくる刺激に声なんか我慢できるわけがない。


「ナカも外も一緒に気持ち良くしてやるな?」
「あー!やぁ、それだめぇ!」
「うそ、絶対好き。俺の事ギュッて締めてる。ほら今も……イっていいよ?」
「あー!」
「……声、やばい。ちょっと塞ごうな」
 優しい声でそう言って、すごい力で口を塞ぐ。首筋裏を掴んで押し付けて、喘ぎ声が飲み込まれる。奥を突くようにぐりぐり刺激して外側の敏感になった突起物を撫で続ける。

 こんな、全身を構われるようなエッチ、したことない。されたこと、ないから……。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

13番目の苔王子に嫁いだらめっちゃ幸せになりました

花月
恋愛
わたしはアリシア=ヘイストン18歳。侯爵家の令嬢だ。跡継ぎ競争に敗れ、ヘイストン家を出なければならなくなった。その為に父親がお膳立てしたのはこの国の皇子との婚姻だが、何と13番目で名前も顔を分からない。そんな皇子に輿入れしたがいいけれど、出迎えにくる皇子の姿はなし。そして新婚宅となるのは苔に覆われた【苔城】で従業員はほんの数人。 はたしてわたしは幸せな結婚生活を送ることが出来るのだろうか――!?  *【sideA】のみでしたら健全ラブストーリーです。  綺麗なまま終わりたい方はここまでをお勧めします。 (注意です!) *【sideA】は健全ラブストーリーですが【side B】は異なります。 因みに【side B】は【side A】の話の違った面から…弟シャルルの視点で始まります。 ドロドロは嫌、近親相姦的な物は嫌、また絶対ほのぼの恋愛が良いと思う方は特にどうぞお気を付けください。 ブラウザバックか、そっとじでお願いしますm(__)m

婚約破棄のその先に悪魔が笑って待っていた。

ノワール
恋愛
伯爵令嬢リシュベルには麗しい騎士の婚約者がいた。 だが、策略により、大勢の前で婚約破棄を宣言されてしまった。愛されていると思ったのに。 あまりのショックでその場に倒れてしまったリシュベルを、じっと見つめる人物がいた。 どうやら、悪魔に捕獲されることは初めから決まっていたようです。 ずっと不幸だったリシュベルが、幸せ?になっていくシンデレラストーリーです。 但し、そこで待ち受けていたのは、優しい王子様ではなく、残酷な悪魔だった。 *流行りの婚約破棄ものではありません。 *R18は予告なく *人外(悪魔)は出てきません。 *ネタバレになるためタグは随時追加です。 ⭐︎なろう様でも公開中です。

らくがき~

雨だれ
エッセイ・ノンフィクション
アレなやつです。

行き倒れてた奴隷が好みドストライクだったので持ち帰ってみた

toki
BL
感情薄め美形な元奴隷×自己肯定感低めのワケあり平凡。 下町で一人ひっそりと暮らしている平凡な少年・ラビは、ある日路地裏で行き倒れていた美しい奴隷を拾ってくる。 微ファンタジーな雰囲気(雰囲気だけ)の甘々溺愛ハッピーエンドBLです。基本一話完結。 ※♡喘ぎ、濁点喘ぎあり。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 表紙イラスト:彩鳥りと様

ダメダメ妻が優しい夫に離婚を申し出た結果、めちゃくちゃに犯される話

小野
恋愛
タイトル通りです。

復縁して欲しい? 嫌です

柚木ゆず
恋愛
※8月14日、本編完結いたしました。明日15日より、番外編を投稿させていただきます。  婚約中に浮気を行い、しかもそれを私のせいにした方、ノズエルズ侯爵家のヒューゴ様。僅かの謝罪もなく去っていったそんな人が、11か月後に平然と復縁を申し込んできました。 「ケティリア伯爵令嬢、アニエス。俺に再び、貴方の恋人となる栄誉をお与えください」  嫌です。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

英雄になった夫が妻子と帰還するそうです

白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。 愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。 好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。 今、目の前にいる人は誰なのだろう? ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。 珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥) ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。

処理中です...