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本章
Episode8/逢瀬
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(ちょっと~ちょっと待ってよぉ~~!!)
託された仕事を真面目にしようと思っていた、さっきまでは。なのに今、仕事どころではなくなっている。なぜなら、不破の膝上に座らされているからだ。毅然とした態度で仕事をしようとは思うのに集中できるわけがない。不破の手は自分の身体をまさぐっているのだから。
「ちょ、ん、そこやだ……」
「そこまで刺激してないだろ、はやく入力終わらせろよ」
「そんなぁ、なら触るの……ゃあ、ぁん」
ブラウスのボタンを外されて胸の前は半分ほどはだけている。下着が見えて脱がすことはせず指先だけが胸の膨らむ部分に差し込まれていた。
「今日つけてる下着可愛いな、俺好き、こういうの」
今日は薄いオレンジ色のブラッシュアップタイプの下着。井原ではないが新しく購入したものだ。エンブロイダリーレースをカップにあしらい咲き誇る花が印象的なデザイン、土台にはアイラッシュレースをかけ合わせたデザインのブラジャーだ。胸のボリュームを出し過ぎずにスタイルアップできると謳われているだけあって本当にいつもよりもバストアップに成功している。
不破が抱きたいとき、は本当に抱きたいときだった。
はじめて職場で求められたときは驚いた。トラブルで不破と二人で残業していたオフィスでいきなり求められて困惑した。普段仕事をしているデスク周りで不破が自分にのしかかってくちびるを奪ってきたから異様に興奮したことは言えないが本音だ。
そんな経験を身を持ってしたら構えるようになった。このようなことが今後もあるかもしれない、それなら――。
(下着がやばい!!)
あかりの心配事はそれしかなかった。
今まで生活に雑だったあかりが下着にまで気にかけていたわけがない。見せる機会もない、着心地と服に響かないだけを目的にした下着、色気など二の次だった。
慌てて下着売り場に走って数枚新調した。そのひとつは不破のツボを突けたらしい。
(こういうの好きなんだ……良かった、でもなんか嬉しいな、相手が喜ぶかなって考えて下着選ぶとか……そんなの今までしたことないかも)
「ぁんん……」
下着の中に指先を滑り込ませ反応している突起物を撫でられて身を捩る。部分的に触れられるだけではだんだん物足りず下半身も疼き始めるのに不破はそれ以上は触れてこない。
「はぁ、ん……」
「早く終わらせてよ……あかりのナカに入る時間減る」
「そんなぁ……」
刺激され焦らされて仕事を急かすなんて鬼じゃないだろうか、あかりはもう脳内がクラクラしてまともに入力などできそうにないと思い始める。
「も、無理……樹さん、無理ですぅ……」
「何が無理?どっちが無理なの?仕事?我慢すること?」
「――がまん、するの……」
「じゃあもう先にしよっか」
そんな風に言う不破はいつもよりも幼く感じる。部長としてオフィスで部下に指示を出しているデキる男には見えなかった。あかりの縋るような甘え方に嬉しそうに微笑む顔はオフィスで見ることはできない。
背中越しで抱かれていたあかりは一度席を立たされて向かい合わせになるように立たされた。そのときスカートが腰まで持ち上げらて不破の視線が痛いほど下半身に注がれる。
「なにこれ、エロー」
不破がそう言ったのはあかりが履いていたTショーツのことだ。ウエスト脇にアイラッシュレースをほどこし、レーシィなデザインのソングタイプ。Tショーツといっても絶妙なTシルエットでお尻も綺麗に見せてくれた。全体的に可愛いがセクシーさも含んだそれは着けたあかり自身もテンションを高くした。
「こんなのつけて仕事してんの?ダメじゃん、誰に見られるかわかんないのに」
「……見るの、樹さんだけです」
あかりの熱を含んだ目に見つめられて不破も見つめ返す。指先はウエスト脇のレースにかけられて、不破の顔はあかりに近づいていく。
「ン」
「あかりとするときってさ……」
キスの合間に不破が話しかけてきて、キスに酔わされているあかりは思考を戻すのに必死だ。
「ん、ぁ――は、い」
「ゴムいらないじゃん」
「は、ぁっ――」
ショーツは脱がされて、濡れた部分に指先が侵入してくる。それをあかりの身体は抵抗なく受け入れる。素直に感じて濡れていくその身体を不破は嬉しそうに見つめながら指を器用に動かしてまたくちびるに吸い付く。
「はぁ……だからさ……」
不破の声が甘い。
あかりはその声も好きだと抱き合うようになって感じている。どんどん好きだと思うところが増える、あかりはその気持ちに戸惑いだしていた。
「いつでも、どこでも抱ける……」
――抱きたいときに抱ける女がいたらいいなって、ごめんな、俺そんなこと思う男だよ
甘い言葉に声に騙される、勘違いさせられる。
不破は最初にそう言った、不破のメリットはそこしかない。それこそが自分が求められる意味がある。
子どもを望んでいるのは自分だけ。不破はそんなセリフ、一度も言ってはいない。
「あん!」
「あかり……」
いつも、いつも不破はひとつになったら名前を呼ぶ。それも愛しそうに。それもまたあかりの胸を震わせた、同時に胸を切なく締め付けてくる。
(ダメだ……どうしよう……抱かれるたびに胸が痛くなる……)
肌を重ねることに慣れると怖くなる。
抱き締められるたびに切なくなって、時間を積み重ねるほど、好きが見つかる。
自分こそ、不破を子供を産むための手段として利用しているくせに――。
「ぁ――、はぁ……いつき、さ……」
抱き締めて不破を感じる、身体の中で疼く思いを不破が突いてくる。
それがどうしようもなく苦しくて、あかり自身がその苦しさを受けとめられなくなってきていた。
託された仕事を真面目にしようと思っていた、さっきまでは。なのに今、仕事どころではなくなっている。なぜなら、不破の膝上に座らされているからだ。毅然とした態度で仕事をしようとは思うのに集中できるわけがない。不破の手は自分の身体をまさぐっているのだから。
「ちょ、ん、そこやだ……」
「そこまで刺激してないだろ、はやく入力終わらせろよ」
「そんなぁ、なら触るの……ゃあ、ぁん」
ブラウスのボタンを外されて胸の前は半分ほどはだけている。下着が見えて脱がすことはせず指先だけが胸の膨らむ部分に差し込まれていた。
「今日つけてる下着可愛いな、俺好き、こういうの」
今日は薄いオレンジ色のブラッシュアップタイプの下着。井原ではないが新しく購入したものだ。エンブロイダリーレースをカップにあしらい咲き誇る花が印象的なデザイン、土台にはアイラッシュレースをかけ合わせたデザインのブラジャーだ。胸のボリュームを出し過ぎずにスタイルアップできると謳われているだけあって本当にいつもよりもバストアップに成功している。
不破が抱きたいとき、は本当に抱きたいときだった。
はじめて職場で求められたときは驚いた。トラブルで不破と二人で残業していたオフィスでいきなり求められて困惑した。普段仕事をしているデスク周りで不破が自分にのしかかってくちびるを奪ってきたから異様に興奮したことは言えないが本音だ。
そんな経験を身を持ってしたら構えるようになった。このようなことが今後もあるかもしれない、それなら――。
(下着がやばい!!)
あかりの心配事はそれしかなかった。
今まで生活に雑だったあかりが下着にまで気にかけていたわけがない。見せる機会もない、着心地と服に響かないだけを目的にした下着、色気など二の次だった。
慌てて下着売り場に走って数枚新調した。そのひとつは不破のツボを突けたらしい。
(こういうの好きなんだ……良かった、でもなんか嬉しいな、相手が喜ぶかなって考えて下着選ぶとか……そんなの今までしたことないかも)
「ぁんん……」
下着の中に指先を滑り込ませ反応している突起物を撫でられて身を捩る。部分的に触れられるだけではだんだん物足りず下半身も疼き始めるのに不破はそれ以上は触れてこない。
「はぁ、ん……」
「早く終わらせてよ……あかりのナカに入る時間減る」
「そんなぁ……」
刺激され焦らされて仕事を急かすなんて鬼じゃないだろうか、あかりはもう脳内がクラクラしてまともに入力などできそうにないと思い始める。
「も、無理……樹さん、無理ですぅ……」
「何が無理?どっちが無理なの?仕事?我慢すること?」
「――がまん、するの……」
「じゃあもう先にしよっか」
そんな風に言う不破はいつもよりも幼く感じる。部長としてオフィスで部下に指示を出しているデキる男には見えなかった。あかりの縋るような甘え方に嬉しそうに微笑む顔はオフィスで見ることはできない。
背中越しで抱かれていたあかりは一度席を立たされて向かい合わせになるように立たされた。そのときスカートが腰まで持ち上げらて不破の視線が痛いほど下半身に注がれる。
「なにこれ、エロー」
不破がそう言ったのはあかりが履いていたTショーツのことだ。ウエスト脇にアイラッシュレースをほどこし、レーシィなデザインのソングタイプ。Tショーツといっても絶妙なTシルエットでお尻も綺麗に見せてくれた。全体的に可愛いがセクシーさも含んだそれは着けたあかり自身もテンションを高くした。
「こんなのつけて仕事してんの?ダメじゃん、誰に見られるかわかんないのに」
「……見るの、樹さんだけです」
あかりの熱を含んだ目に見つめられて不破も見つめ返す。指先はウエスト脇のレースにかけられて、不破の顔はあかりに近づいていく。
「ン」
「あかりとするときってさ……」
キスの合間に不破が話しかけてきて、キスに酔わされているあかりは思考を戻すのに必死だ。
「ん、ぁ――は、い」
「ゴムいらないじゃん」
「は、ぁっ――」
ショーツは脱がされて、濡れた部分に指先が侵入してくる。それをあかりの身体は抵抗なく受け入れる。素直に感じて濡れていくその身体を不破は嬉しそうに見つめながら指を器用に動かしてまたくちびるに吸い付く。
「はぁ……だからさ……」
不破の声が甘い。
あかりはその声も好きだと抱き合うようになって感じている。どんどん好きだと思うところが増える、あかりはその気持ちに戸惑いだしていた。
「いつでも、どこでも抱ける……」
――抱きたいときに抱ける女がいたらいいなって、ごめんな、俺そんなこと思う男だよ
甘い言葉に声に騙される、勘違いさせられる。
不破は最初にそう言った、不破のメリットはそこしかない。それこそが自分が求められる意味がある。
子どもを望んでいるのは自分だけ。不破はそんなセリフ、一度も言ってはいない。
「あん!」
「あかり……」
いつも、いつも不破はひとつになったら名前を呼ぶ。それも愛しそうに。それもまたあかりの胸を震わせた、同時に胸を切なく締め付けてくる。
(ダメだ……どうしよう……抱かれるたびに胸が痛くなる……)
肌を重ねることに慣れると怖くなる。
抱き締められるたびに切なくなって、時間を積み重ねるほど、好きが見つかる。
自分こそ、不破を子供を産むための手段として利用しているくせに――。
「ぁ――、はぁ……いつき、さ……」
抱き締めて不破を感じる、身体の中で疼く思いを不破が突いてくる。
それがどうしようもなく苦しくて、あかり自身がその苦しさを受けとめられなくなってきていた。
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