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外伝
芹沢視点②
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火曜の二限目の講義は板書必須の教授で、ノートを取らんとあとで大変なことになる。だいたいみんな必死にノートを取っているけど、うまく手を抜くヤツはどこにでもいる。
見た目が派手で綺麗と持て囃されている女が一人いて、そいつは講義中も携帯片手に余所見したりネイルを気にしたりして講義に対しての姿勢が目に見てわかった。
こんなヤツがろくにノートを取ってるわけがないのにいつも課題をうまくすり抜けているのは手当たり次第周りに声をかけて人のノートを借りとるから。
声をかけられた男は喜んで見せよるし、女はそのおこぼれにあたりたいのか媚びて見せとる。
そうやって自分の価値を売り物にしてノートを漁る女は茜にも当然声をかけていた。
「それって自分のためにならないよね」
断られたことがなかったのか、女は一瞬言葉を失っていた。
「それにみんなちゃんと授業受けてノート取ってるんだよ?良くないと思う」
(あんなんに正論かますてアホか)
茜を初めて意識したのはそこ。
「……三間さんには頼まないしもーいーよ」
ツン、とわかりやすくそっぽを向いて女は茜の前を去っていき、懲りもせず他の女に声をかけてノートを借りていた。それを後ろで静かに見ていた茜の表情はわからへんたけど、背中はどこか寂しそうで。
(お人よしやなぁ。振り回されるだけ損やのに。ほっとけばええねん、あんなんどっかで後悔しよったらええやん)
基本自分第一主義の俺。人に利益をタダでやることはないし、利益がたとえあったとしてもむやみやたらに人にやりたくはない。そう思うほど人と絡むのはダルいし面倒くさいし好きやない。
人と絡むといらん感情に振り回されるし、変に思いやった時裏切られたりすると虚しくなる。それが嫌で極力人とは絡まんようにしてた。
でも、その日をキッカケになんとなく茜を意識し始めた俺は、茜が女の集団にあまり絡まず一人でいることが多いなと気づく。
一匹狼タイプでもなさそうやのに、親しそうな友達がおらん感じ。誰かしらとは話したりはしてるけど、いつもあいつとおるな、みたいなヤツが見当たらへん。
(ぼっち?)
そういう俺もぼっちやけどな。
ぼっちにもいろんな種類がいる。
人見知りぼっち、自分から一人を好んでるぼっち、ハブられてるぼっち……茜はどれやろう。
声をかけたキッカケもその講義のノートやった。
カバンから落とした茜のノートを俺が拾って開かれたそのノートが目についた。めちゃくちゃ綺麗にまとめられてて見た瞬間にわかりやすいのがわかったから思わずこぼした。
「めっちゃまとめんのうまいな」
それに茜が驚いたような顔をして一瞬で赤くなったから俺の方がビビった。
今までそこそこ女にはモテてきて、声をかけられることは多かったし告白されることもあった。そのたび頬を染める女はいっぱいいたけど、そのどれとも違う。
俺にやない。
自分のまとめられたノートを褒められて頬を染める女。
「そんなこと……ないと思う」
「ほうかな。見てもええ?」
「え……いい、けど……芹沢くんもうまくまとめてるでしょ?」
「人の見るのはええ刺激になるよな」
「それはわかる」
なんとなくそんな会話をしてなんとなく一緒に教室を出てなんとなく一緒に過ごしてたら居心地がええなと感じた。その居心地の良さにその時はまだ名前をつけられへんたんや。
見た目が派手で綺麗と持て囃されている女が一人いて、そいつは講義中も携帯片手に余所見したりネイルを気にしたりして講義に対しての姿勢が目に見てわかった。
こんなヤツがろくにノートを取ってるわけがないのにいつも課題をうまくすり抜けているのは手当たり次第周りに声をかけて人のノートを借りとるから。
声をかけられた男は喜んで見せよるし、女はそのおこぼれにあたりたいのか媚びて見せとる。
そうやって自分の価値を売り物にしてノートを漁る女は茜にも当然声をかけていた。
「それって自分のためにならないよね」
断られたことがなかったのか、女は一瞬言葉を失っていた。
「それにみんなちゃんと授業受けてノート取ってるんだよ?良くないと思う」
(あんなんに正論かますてアホか)
茜を初めて意識したのはそこ。
「……三間さんには頼まないしもーいーよ」
ツン、とわかりやすくそっぽを向いて女は茜の前を去っていき、懲りもせず他の女に声をかけてノートを借りていた。それを後ろで静かに見ていた茜の表情はわからへんたけど、背中はどこか寂しそうで。
(お人よしやなぁ。振り回されるだけ損やのに。ほっとけばええねん、あんなんどっかで後悔しよったらええやん)
基本自分第一主義の俺。人に利益をタダでやることはないし、利益がたとえあったとしてもむやみやたらに人にやりたくはない。そう思うほど人と絡むのはダルいし面倒くさいし好きやない。
人と絡むといらん感情に振り回されるし、変に思いやった時裏切られたりすると虚しくなる。それが嫌で極力人とは絡まんようにしてた。
でも、その日をキッカケになんとなく茜を意識し始めた俺は、茜が女の集団にあまり絡まず一人でいることが多いなと気づく。
一匹狼タイプでもなさそうやのに、親しそうな友達がおらん感じ。誰かしらとは話したりはしてるけど、いつもあいつとおるな、みたいなヤツが見当たらへん。
(ぼっち?)
そういう俺もぼっちやけどな。
ぼっちにもいろんな種類がいる。
人見知りぼっち、自分から一人を好んでるぼっち、ハブられてるぼっち……茜はどれやろう。
声をかけたキッカケもその講義のノートやった。
カバンから落とした茜のノートを俺が拾って開かれたそのノートが目についた。めちゃくちゃ綺麗にまとめられてて見た瞬間にわかりやすいのがわかったから思わずこぼした。
「めっちゃまとめんのうまいな」
それに茜が驚いたような顔をして一瞬で赤くなったから俺の方がビビった。
今までそこそこ女にはモテてきて、声をかけられることは多かったし告白されることもあった。そのたび頬を染める女はいっぱいいたけど、そのどれとも違う。
俺にやない。
自分のまとめられたノートを褒められて頬を染める女。
「そんなこと……ないと思う」
「ほうかな。見てもええ?」
「え……いい、けど……芹沢くんもうまくまとめてるでしょ?」
「人の見るのはええ刺激になるよな」
「それはわかる」
なんとなくそんな会話をしてなんとなく一緒に教室を出てなんとなく一緒に過ごしてたら居心地がええなと感じた。その居心地の良さにその時はまだ名前をつけられへんたんや。
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