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本編
第十話 私はあなたに飼われてる
しおりを挟む雨の音が遠くで聞こえるのはそれよりも部屋の中で響く乱れた吐息が耳に触れるから。
「んあ、ぁっ、はぁあ、あ、せりざわぁ、も、むりぃ、もぉ、あぅあ……」
「気持ち良すぎて全然腰止まらん、あかん、無理」
「わた、わたしがぁ、も、無理ぃ……」
「無理ちゃうよぉ、お前んナカにいたらわかるもん。なんかいちいちビクビクしてさ、ちんちん好きやって、俺がもっと欲しいって、奥にもっとってっ――」
(そんなこと、一言も言ってないじゃん!!)
もちろんそんな言葉は言い返せるわけがない。
「やぁ、あ、も、ンンん」
「ほんまにやめてほしい?もうやめよか?なぁ、茜?」
優しい声で聞いてくるのに打ち付けてくる腰の力は強くて返事したくてもろくな言葉も発せられない。
「あん、うあ!あん、ぁんあ!」
「嫌なん?こんな気持ちえーのに、もうやなん?俺とエッチもう嫌?もうほんま無理?」
「ぁんん、ぅあ、はぁうんん」
「もっと気持ちええってなろーや、はぁ、俺と、このままずっとずっと奥で繋がらせてよ。俺は離れたないわぁ、茜がずっと俺に絡み付いてて欲しぃんや、なぁ、もっと、もっとってなって」
芹沢は束縛嫌いで執着なし。
そうじゃなかったっけ?
「マジで首輪買ったろうかな……お前が俺のもんやって他の奴らがちゃんとわかるもん……なぁ?茜、どんなんがええ?」
「ぁ、はぁ、あっ――」
「あー、イキ続けて可愛すぎるやんー、俺もまたイキそー、なぁもうゴムいらんくない?お前が孕んだらそれで俺のもんてわかるやん、なぁ?結婚しよ、茜、結婚、俺とっ、ずっと一緒におろっ」
強く、どんどん強く押し付けるような動きに息を吐くだけで精いっぱいで。
芹沢のそんな囁きは、もう私には届かない。私はただ求められる芹沢の思いを身体中で受け止めて気を失ってしまっていた。
目が覚めたら芹沢のベッドに寝転んでいた。
「おはよぉ」
「……お、はよぉ……」
「だから、可愛いな、その下手くそな関西弁」
見渡す部屋もベッドも何かあったと思えないほど整っているから夢だったのかな、と何となく思ってしまうが、全身の疲労感と倦怠感はどうも夢ではなさそうで。
「なん?」
「う、うん……なんか……夢か現実かよくわからなくて」
「もっかいしよか?」
芹沢にそう言われて絶句した。
「まぁええわ。昨夜はちょっとヤリ過ぎた感はある。しんどない?」
「……うん」
「ほうか、ならヤる?」
「……うん、え?!しないよ?!」
「今うん、言うたな」
「やら、やらん!やらんて!!」
服をまた脱がそうとしてベッドによじ登ってくるから全身で芹沢の身体を押し退けた。
「だからぁ、お前のその下手くそな関西弁可愛いんやて、あかん」
「芹沢ー!なんか、なんか違う!思ってたんと違う!!」
「なんや、思ってたんとちゃうて」
あんなに女の子に素っ気なくてダルそうな芹沢はどこに行ったんだろう。
めちゃくちゃ絡むししつこいし可愛い連呼するし、なんだろう。
――甘い。
「ほんな逃げんなや。飯作ったよ。腹減ってるやろ?先食う?」
「え……く、食う」
ご飯まで作ってくれた?嘘でしょ。
洗濯して、ご飯も作って、こんな甲斐甲斐しく世話をされて余計戸惑う。
「せ、芹沢?あの……なんか……やっぱり現実味がないんだけど」
「なんなん?さっきから」
「なんか……芹沢って彼女にこんな感じ、なの?」
「あー?こんなて?」
「えっと、ご飯とかなんか色々丁寧に構ってくれるから」
戸惑いながら尋ねるとシラッとした目で見つめられて衝撃の言葉を言う。
「そもそも部屋入った女お前が初めてやわ」
「へ?!」
「絶対嫌や、知らん女が自分のベッドで裸になるとか気持ち悪過ぎる。無理」
「ええ!?」
(私、裸でなんかいろんなものをこぼして汚しまくったけどぉ!それを芹沢に後始末までさせて綺麗なシーツで寝てたけどおぉ!!)
「なんか……私、芹沢に無理すぎることをさせてる気が……」
「お前にはなんもないわ、そういう嫌悪感。むしろ俺の手でなんでもしたい感じ?」
芹沢はそう言って私をベッドから起こして手を引いてキッチンカウンターの椅子に座らせた。
「生き物飼ったことないでなぁ……死なせたらかなんし、大事にせんと」
「へ?!」
「無責任な飼い主なんやろ?俺って。茜にはそうなりたないでさ、逃げたらどうなるか……しっかり躾けて飼い慣らさんとな」
耳元でそんなことを囁かれてベロリと耳の中を舐められた。
「ひゃう!」
「可愛い鳴き声、これからよそで鳴いたらお仕置きやぞ」
芹沢に気に入られて飼われるのは大変で、思ってる以上に厳しそうだけど、でも誰よりも幸せになれるかもしれない。
そんなことを思った。
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