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ヤドリギの下のキス-2※
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「なら……離せない」そう言ったジルの声が今まで聞いたことのない色気を放つから息が止まりそうになる。くちびるが触れそうなほどの近い距離だ。この距離の照れ隠しでなんとか声を絞り出して言った。
「み、水……飲んで」
「……」
一瞬触れられる手の力が弱まったからその隙に川を覗いて水をササクサのコップにすくった。
「おいしいよ?」
差し出したコップを素直に受け取るジルがいる。そしてグイッと飲み干してコップを突き返された。
「も、もう一杯?」
また素直に頷くジル。なんだか私の言いなりみたいでくすぐったくなる。腕を伸ばして水をすくって振り向いて差し出したらその手首を掴まれた。
「え?」
なに……と言いかけようとしたら手からコップを抜き取られてジルがまたクイっと喉に流し込む。それをただ見つめていたら掴まれていた手首に力が入って引き寄せられた。
「っん!」
いきなりのことで理解が追いつかなくて。ただ、口の中に冷たい水が流れてくるのがわかる。流れる分と一緒に口からも溢れてはいるけれど。
「……っ、んあっ」
「アリシアも飲め。お前も首絞められてんだから」
「んんっ!」
(飲めって……もう水ない!)
これはもうただのキス……こんなの普通にキスじゃないか。冷たい水が口の中で濡れて気持ちよかったのなんか一瞬で。もう口の中は熱で溢れている。濡れた口腔内はもう別の水分で濡れ始める。熱くて、溢れて絡み合う。舌が……吸い付いて舐め回してくる。
「んっ、んん……」
「っ、はぁ……」
唇が離れる時に漏らされるジルの吐息が色っぽくて、その声を聞いたら体がバカみたいに震えた。見つめる金眼にも色気が含まれて、その眼が私を捉えて離さない。
「ん……ぁっ」
「……アリシア」
名前を呼ぶ声が甘い。ジルに名前を呼ばれるのが好き、初めて呼ばれた時胸が高鳴ったの。それは誰にも言わずにきたけれど。
「ジ……ルっ」
名前を呼んだらくちびるが重なった。ジュッと吸うようにしたら一気に食べるみたいに口を奪われる。強引で力強いキスだけど、触れてくる手が壊れものを扱うみたいに優しくて大事そうに触れるから。それに体が安心して預けたくなる。だから無意識で自然にだった。ジルの胸の中に身を委ねていくことが。
「んんっ、ン」
いつしか絡み合う音が粘着的なものに変わり出した。クチュクチュ……グチュッと舌を吸われて絡ませられてキスでこんな音が鳴ることを初めて知った。口の中を自由に動き回るジルの舌が私を翻弄させていく。抵抗なんか出来ない、そんな余裕だってない。ただ、絡め取られるものを必死で受け止めているだけ。
「んぁっ……」
じゅるっ……と舌が口の中から離れたことで、溢れていた唾液が銀色の糸になってジルと私を繋いでいた。それを蕩けかけの脳で見つめているとジルがフッと微笑む。
「可愛い顔しすぎだろ」
「……ぇ」
そう言った恍惚としたジルの顔と言葉。理解するより前にハッとしたのはジルの手が胸の中に差し込まれたから。
「ん、ぁ!ジル?!」
躊躇いなく触れてくるジルの手の熱が私の体を刺激してきた。
「み、水……飲んで」
「……」
一瞬触れられる手の力が弱まったからその隙に川を覗いて水をササクサのコップにすくった。
「おいしいよ?」
差し出したコップを素直に受け取るジルがいる。そしてグイッと飲み干してコップを突き返された。
「も、もう一杯?」
また素直に頷くジル。なんだか私の言いなりみたいでくすぐったくなる。腕を伸ばして水をすくって振り向いて差し出したらその手首を掴まれた。
「え?」
なに……と言いかけようとしたら手からコップを抜き取られてジルがまたクイっと喉に流し込む。それをただ見つめていたら掴まれていた手首に力が入って引き寄せられた。
「っん!」
いきなりのことで理解が追いつかなくて。ただ、口の中に冷たい水が流れてくるのがわかる。流れる分と一緒に口からも溢れてはいるけれど。
「……っ、んあっ」
「アリシアも飲め。お前も首絞められてんだから」
「んんっ!」
(飲めって……もう水ない!)
これはもうただのキス……こんなの普通にキスじゃないか。冷たい水が口の中で濡れて気持ちよかったのなんか一瞬で。もう口の中は熱で溢れている。濡れた口腔内はもう別の水分で濡れ始める。熱くて、溢れて絡み合う。舌が……吸い付いて舐め回してくる。
「んっ、んん……」
「っ、はぁ……」
唇が離れる時に漏らされるジルの吐息が色っぽくて、その声を聞いたら体がバカみたいに震えた。見つめる金眼にも色気が含まれて、その眼が私を捉えて離さない。
「ん……ぁっ」
「……アリシア」
名前を呼ぶ声が甘い。ジルに名前を呼ばれるのが好き、初めて呼ばれた時胸が高鳴ったの。それは誰にも言わずにきたけれど。
「ジ……ルっ」
名前を呼んだらくちびるが重なった。ジュッと吸うようにしたら一気に食べるみたいに口を奪われる。強引で力強いキスだけど、触れてくる手が壊れものを扱うみたいに優しくて大事そうに触れるから。それに体が安心して預けたくなる。だから無意識で自然にだった。ジルの胸の中に身を委ねていくことが。
「んんっ、ン」
いつしか絡み合う音が粘着的なものに変わり出した。クチュクチュ……グチュッと舌を吸われて絡ませられてキスでこんな音が鳴ることを初めて知った。口の中を自由に動き回るジルの舌が私を翻弄させていく。抵抗なんか出来ない、そんな余裕だってない。ただ、絡め取られるものを必死で受け止めているだけ。
「んぁっ……」
じゅるっ……と舌が口の中から離れたことで、溢れていた唾液が銀色の糸になってジルと私を繋いでいた。それを蕩けかけの脳で見つめているとジルがフッと微笑む。
「可愛い顔しすぎだろ」
「……ぇ」
そう言った恍惚としたジルの顔と言葉。理解するより前にハッとしたのはジルの手が胸の中に差し込まれたから。
「ん、ぁ!ジル?!」
躊躇いなく触れてくるジルの手の熱が私の体を刺激してきた。
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