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番外編
8(太刀川視点)
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誰にも見せたくないのに、本当ならこの部屋に隠しておきたいくらいなのに。
俺の腕の中でずっと幸せそうに抱かれている瑠衣を閉じ込めておきたい、そう思うのになぜか無性に晒したくなる。
瑠衣が俺のモノだと。
瑠衣が求めているのは俺なんだと、知らしめてやりたい。
誰になんてない、ただ黙ってられない、それだけの単純な気持ちだ。
「もう一回言えよ、瑠衣」
瑠衣の赤いくちびるが、俺としたいと囁く、それを何度も聞きたい。
「……しよう?柾」
「いいよ」
瑠衣の身体を抱きしめてそのままリビングの床に倒れ込んだら瑠衣が俺の体を押し上げる。
「ここで?」
「あー、我慢できんかった」
「ベッドがいい」
「ここじゃヤなの?」
「嫌とかじゃ……なくて、その……」
またあざといことを言いやがるな、こいつ……と、なんとなく表情で察知したがもちろん何が言いたいのか聞きたいから黙って瑠衣の言葉を待ってやる。
照れたまま上目遣い。
その表情だけでも煽ってくるのに今度は何を言う気だ。
「柾と、エッチしてね、クタクタになってフワフワした気持ちの中もうそのまま寝ちゃうの、好きなの……」
(くっそー、今なんか血管切れたな)
「柾に運んでもらうの悪いから……ベッドでしてほしい」
「……はいよ」
間違いなく今晩瑠衣は気絶してそのまま寝るだろう。そう思えるほど、俺は興奮しまくっているし、瑠衣もそのつもりなのか。
(余計興奮するわ)
寝室に入ったら一気に着ている服を脱がせて瑠衣をベッドに引き込んだ。体重をかけるように抱きしめてくちづけを交わす。
俺はキスが好き。
恋人とするいろんな行為があるけれど、キスだけが格別に好きだ。なぜだろう、相手の息を呑める感じ、体から吐き出される熱い吐息ごと吞み込めると相手の一部を取り込めそうで――。
ひとつになるよりも感じる支配欲か。
命を吸いあげれるような錯覚、今この口を塞げば、目の前の相手が俺の手で息絶えるのではないかとまで思える。
狂気じみた考えだと思う。
それを今まで付き合った女に感じたかってそうでもない。ここまで思うのは瑠衣が初めて、瑠衣と初めてキスしたときに思ったことだった。
俺の腕の中でずっと幸せそうに抱かれている瑠衣を閉じ込めておきたい、そう思うのになぜか無性に晒したくなる。
瑠衣が俺のモノだと。
瑠衣が求めているのは俺なんだと、知らしめてやりたい。
誰になんてない、ただ黙ってられない、それだけの単純な気持ちだ。
「もう一回言えよ、瑠衣」
瑠衣の赤いくちびるが、俺としたいと囁く、それを何度も聞きたい。
「……しよう?柾」
「いいよ」
瑠衣の身体を抱きしめてそのままリビングの床に倒れ込んだら瑠衣が俺の体を押し上げる。
「ここで?」
「あー、我慢できんかった」
「ベッドがいい」
「ここじゃヤなの?」
「嫌とかじゃ……なくて、その……」
またあざといことを言いやがるな、こいつ……と、なんとなく表情で察知したがもちろん何が言いたいのか聞きたいから黙って瑠衣の言葉を待ってやる。
照れたまま上目遣い。
その表情だけでも煽ってくるのに今度は何を言う気だ。
「柾と、エッチしてね、クタクタになってフワフワした気持ちの中もうそのまま寝ちゃうの、好きなの……」
(くっそー、今なんか血管切れたな)
「柾に運んでもらうの悪いから……ベッドでしてほしい」
「……はいよ」
間違いなく今晩瑠衣は気絶してそのまま寝るだろう。そう思えるほど、俺は興奮しまくっているし、瑠衣もそのつもりなのか。
(余計興奮するわ)
寝室に入ったら一気に着ている服を脱がせて瑠衣をベッドに引き込んだ。体重をかけるように抱きしめてくちづけを交わす。
俺はキスが好き。
恋人とするいろんな行為があるけれど、キスだけが格別に好きだ。なぜだろう、相手の息を呑める感じ、体から吐き出される熱い吐息ごと吞み込めると相手の一部を取り込めそうで――。
ひとつになるよりも感じる支配欲か。
命を吸いあげれるような錯覚、今この口を塞げば、目の前の相手が俺の手で息絶えるのではないかとまで思える。
狂気じみた考えだと思う。
それを今まで付き合った女に感じたかってそうでもない。ここまで思うのは瑠衣が初めて、瑠衣と初めてキスしたときに思ったことだった。
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