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番外編
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呆気にとられた太刀川がいる。さっぱり意味がわからなくてとりあえず動けずにいた。瑠衣の照れた感じから悪い話ではない気はするものの見当がつかない。
親友となにがあったのか。
問題はきっとそこしかないよな、そんなことを思っていると寝室の扉がカチャッと開いたが俯いたままの瑠衣。抱え込むように持っているのは白い枕、あれは今日もらってきたやつか?太刀川はフトそんなことを思いながら扉の前で立ったままの瑠衣を見つめるが、なんせ気が短い。待ってられない太刀川は瑠衣を呼んだ。
「瑠衣ー、なに?どした?」
「……」
「もう寝たいってこと?眠いなら先寝てもいいぞ」
太刀川は今日無駄に目が冴えている。起きてから昼前まで二度寝してしまっている、とてもじゃないが21時以降で寝れる気がしない。
「違うの……」
「あ?」
ぎゅううううっと枕を抱きかかえて俯いていたが、意を決したように顔を上げて小走りで太刀川の元まで戻ってきたと思ったら、そのまま枕を太刀川の胸の前で押し付けた。
「おっ……」
「わ、私の、気持ち……」
突きつけられたその枕に太刀川は目を落とす、瑠衣が抱きかかえていた時見えていた色は白だったのに、太刀川の目に晒されているのは黒色の枕。
(リバーシブル?変な枕……ん?)
そこで初めてハッとした。
「No……」
呟いた太刀川の声に瑠衣もハッとして手元を確認した。
「え!や、違う!間違えた!こっち!!」
赤面した瑠衣が慌てて枕をひっくり返してまた押し付けてくる。太刀川の目に入ってきたのは今度は白い面の枕。そこに書かれた文字をまた呟く。
「Yes……イエス・ノー枕?これもらったわけ?」
「し、知ってるの?」
「まぁ。ネタ枕だよな。結婚式の二次会の余興とかで使ってたな」
「そうなんだ」
真緒の予想通り太刀川は知っていた、当然この枕の使い方と意味も理解しているということだ。その説明をしなくても済んだ安堵と同時にこれを差し出した意味が勝手に伝わっているという事態にさらに赤面する瑠衣。その顔を見て太刀川は面白そうに笑った。
「誘ってんの?」
「……ぅん」
おそろしく小さな声で頷く瑠衣を見てまた笑う。その顔が無邪気でまたあどけない少年みたいな屈託のない笑顔、瑠衣がときめいて好きだと胸を締め付けたあの笑顔。
(受け入れて……くれた?)
その笑顔を見て胸がほわっとした瞬間だった。
「もっとちゃんと誘え」
「え!?」
鬼畜すぎる太刀川がいた。
親友となにがあったのか。
問題はきっとそこしかないよな、そんなことを思っていると寝室の扉がカチャッと開いたが俯いたままの瑠衣。抱え込むように持っているのは白い枕、あれは今日もらってきたやつか?太刀川はフトそんなことを思いながら扉の前で立ったままの瑠衣を見つめるが、なんせ気が短い。待ってられない太刀川は瑠衣を呼んだ。
「瑠衣ー、なに?どした?」
「……」
「もう寝たいってこと?眠いなら先寝てもいいぞ」
太刀川は今日無駄に目が冴えている。起きてから昼前まで二度寝してしまっている、とてもじゃないが21時以降で寝れる気がしない。
「違うの……」
「あ?」
ぎゅううううっと枕を抱きかかえて俯いていたが、意を決したように顔を上げて小走りで太刀川の元まで戻ってきたと思ったら、そのまま枕を太刀川の胸の前で押し付けた。
「おっ……」
「わ、私の、気持ち……」
突きつけられたその枕に太刀川は目を落とす、瑠衣が抱きかかえていた時見えていた色は白だったのに、太刀川の目に晒されているのは黒色の枕。
(リバーシブル?変な枕……ん?)
そこで初めてハッとした。
「No……」
呟いた太刀川の声に瑠衣もハッとして手元を確認した。
「え!や、違う!間違えた!こっち!!」
赤面した瑠衣が慌てて枕をひっくり返してまた押し付けてくる。太刀川の目に入ってきたのは今度は白い面の枕。そこに書かれた文字をまた呟く。
「Yes……イエス・ノー枕?これもらったわけ?」
「し、知ってるの?」
「まぁ。ネタ枕だよな。結婚式の二次会の余興とかで使ってたな」
「そうなんだ」
真緒の予想通り太刀川は知っていた、当然この枕の使い方と意味も理解しているということだ。その説明をしなくても済んだ安堵と同時にこれを差し出した意味が勝手に伝わっているという事態にさらに赤面する瑠衣。その顔を見て太刀川は面白そうに笑った。
「誘ってんの?」
「……ぅん」
おそろしく小さな声で頷く瑠衣を見てまた笑う。その顔が無邪気でまたあどけない少年みたいな屈託のない笑顔、瑠衣がときめいて好きだと胸を締め付けたあの笑顔。
(受け入れて……くれた?)
その笑顔を見て胸がほわっとした瞬間だった。
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「え!?」
鬼畜すぎる太刀川がいた。
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