木曜日の内緒のレッスンは恋のはじまり~触れられるたび好きになってしまいます~

sae

文字の大きさ
上 下
57 / 75
エピソード・太刀川編

7

しおりを挟む
 あまりに素直に太刀川が噛みつくのでそれに可笑しそうに白鹿は笑う。

「太刀川蹴落としたくて必死だよね。今日は総務や経理の女の子たちと飲み会らしいよ。若槻さんが出てるのかは定かではないけど……國枝が顔を出してるなら……」
「なに?瑠衣に近寄ってんの?」
「いろいろ吹き込んでるらしいよ?どうせあっさーい話だろうけど。ほんと嫌だよね、あのお粗末な軽い脳みそ。脳が弱いって致命的だよね」
 とても穏やかに白鹿が言うセリフはなかなか辛辣で、太刀川はそれを聞きながら心の中で失笑する。これが白王子の本性、誰も白鹿がこんな風に毒を吐く人間だとは思っていない。それよりも何の話か。白鹿の口から零れる内容にいまいち予測が立てられない。

「國枝ってさ、太刀川に執着ひどいよね。由美ちゃん取られた逆恨みでしょ?あれ」
「由美ちゃん……?だれそれ」
「お前同期の名前忘れるの?ひどい奴だね~、吉岡由美だよ」
「吉岡……あぁ、なんかいたな、そんなの。てか取ってねぇし、なにそれ」
「國枝はそう思ってるんじゃない?由美ちゃんが太刀川を好きで振られたって昔酔った席で聞かされたもん。あいつ酔えば何でも話す、あの軽率さが仕事に出てるよな」
 いつの話だよ、と太刀川は思う。しかもそれも自分は全く関知していない話だ。迷惑以外のなにものでもない。

「なんでそんなめんどくせぇことに巻き込まれないといけないんだよ、めっちゃ迷惑だわ」
 実際その同期から思いを告げられた記憶もなければ大して絡んだ覚えもない。はた迷惑な話である。

「國枝は若槻さんを落としたいのかなぁ」
「は?ぜってーやらねぇし」
「昔の恨みを晴らしたいのかもよ?太刀川が若槻さんに本気なのは誰が見てもわかるからさ」
「殺す」
 はは、と白鹿は楽しそうに笑った。

「國枝に女取られたら傑作だね。そうなったら慰めてあげるよ」
「お前マジでクソだわ」
 白鹿からそんな話を聞かされて内心腹の中は煮えくり出していた。瑠衣を疑うわけじゃない、でも同棲の話を避け出したのも國枝が絡んでいたせいなのか、國枝に何かを言われてそれを素直に聞き入れたのか。そんな風に考えてしまってよりムカムカしてしてしまう太刀川だった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...