木曜日の内緒のレッスンは恋のはじまり~触れられるたび好きになってしまいます~

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 会う時間は木曜日の18時半、この備品倉庫で落ち合うこと。太刀川は一つだけ瑠衣に条件をつけてきた。

「真緒に……ですか?」
「そう、そのお友達にもこのことは内緒にしろ」
「言えませんよ、普通に」
「女の口なんか信用できない」
 とにかく誰にも言うな、太刀川は瑠衣にそれだけ釘を刺した。

(自分に都合が悪いからかな……)

 言葉を返すようだが自分にだって都合が悪い、瑠衣はそう思う。こんなこと誰かにバレたらもう首をつって死にたいと思う。それくらい覚悟を決めて太刀川の言葉に乗ったのだ。

(そもそも本当に治るの?)

 瑠衣はそれだけが信じられない、そして瑠衣にもまた思いがある。

「治らなかったらどうするんですか?」
 そう聞いた瑠衣の言葉に太刀川は目を丸くして驚いた顔をした。そんなに自分の腕に自信があるのかと瑠衣はむしろ呆れが勝った。

「な、治る前提でこんなことお願いして結果治らなかったら……これって」
「その時はぁ……考えたことなかったから考えとくわ」
 とんだ自信と自惚れだな、と瑠衣は内心思う。それだけ自信があるのもすごい、さすがモテ男は違う。

「とりあえずさ」
 太刀川は自分が腰を下ろすソファの左隣をポンポンと叩いて座るように促した。躊躇いつつも瑠衣は少しだけ距離を開けて傍に座ると思っていたよりも柔らかいクッションに体が沈んでそこへ収まった。

「処女なの?」
 また直球でためらいもなく聞いてくるから瑠衣は真っ赤になって絶句した。それが答えになって太刀川は「ふぅん」と素直に納得する。

「最後までしてないってこと?」
「できなかったので……」
「濡れないから?」
 聞かれて頷く。

「濡らす方法なんかいくらでもあるだろ。それってさ、その男が下手なだけだろ」
「私が病気だからです」
 庇うつもりではなかったが瑠衣は声を荒げた。

「私に……問題があるから……」
 途端に体が震え出して、瑠衣は自分の体を抱えるように縮こまった。震えを止めたいのに止まらない、それがまた余計に焦る。

 あの時も震えた。震えているのに、相手の手は止まらなくて、それをだんだん心地いいと思えなくなった。怖いとは違う、拒否に似た気持ち、心はあるのに体が拒む、わかっているのに、どんどん体だけが強張っていく。

 ――俺のこと、嫌いなの?

 脳裏に声が響いた。
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