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瑠衣の胸の中がざわついた。嫌な予感が的中して、それを直球で投げつけられてまともに受け止めてしまった。太刀川の投げてきた不躾な質問に瑠衣も微力ながら言い返す。
「き、聞いてたんですか?やっぱりあの時……盗み聞き!」
「聞こえたんだよ、勝手に話してたのはそっちだろ」
太刀川に言い返されて瑠衣は言葉を飲み込んだ。
「聞かれたくない話を会社ですんなよ、完全にお前の落ち度だろ」
その通りすぎてなにも言えない、瑠衣は恥ずかしさや情けなさで俯いたが、その動きは太刀川の手で遮られる。
「不感症が治れば白鹿にも気持ちを伝えられるって?」
「そ!そんなことはっ……」
いろいろ馬鹿にされている、瑠衣はそう思って太刀川を睨みつけたが当の本人にはどこ吹く風か。含み笑いで見下ろして言ってきた。
「不感症……興味あるわぁ」
(――は?)
返ってきた言葉に瑠衣の方が受け止めきれない。
「濡れない身体が自分の手で濡れるとか興奮しかなくない?お前は興味ない?」
初めて楽しそうに太刀川が話した。声もどことなく明るく聞こえる。
(こ……興奮?そんなことある?)
「しゅ……趣味が悪いかと……」
呆れて思わずこぼしてしまった瑠衣に太刀川が笑った。
「どの辺が?」
聞き返されてますます返答に困る。
(すべてにおいてだけど。不感症って聞いて興味もつところからおかしいし楽しむところもどうかと思う)
その気持ちはとりあえず飲み込んだ。
「興奮要素はゼロかと思われます」
「それは俺が決める」
「私は全く興奮しません」
「それは俺次第」
さすが営業マンはなんでも言い返してくる。
「な……なにがしたいんですか?どういう……」
「セックスって気持ちいいんだけどな」
(……え)
「それを知らずに自分を責めて諦めてるのが可哀想だなって思ったかな」
「かわいそう……ですか」
(同情……されてる)
「ちげぇわ」
心の中を読んだのか、太刀川が瑠衣の気持ちを否定するように言う。
「単純に俺が気持ちよくさせてやりたいなと思っただけ」
誰もが振り向くようなイケメンにそんなセリフを吐かれて瑠衣は余計に戸惑った。
「太刀川さんにそんな風に思っていただく身分ではありません……」
「それも俺が決める」
「太刀川さんにメリットもありません」
「濡れない身体を濡れさせたってだけで男冥利に尽きるだろ、むしろこっちからお願いしたいね」
(そんなバカな)
「なにを……」
太刀川は一体何を言っているんだ、言葉を失いかけそうな瑠衣に太刀川が言う。
「治してやろうか」
もうすでに治る前提で言ってくる。呆気に取られた瑠衣は今度こそ本当に言葉を失った。
「お前の身体が本当に不感症なのか、試してみない?」
――定時を告げる17時のチャイムが鳴った。
「き、聞いてたんですか?やっぱりあの時……盗み聞き!」
「聞こえたんだよ、勝手に話してたのはそっちだろ」
太刀川に言い返されて瑠衣は言葉を飲み込んだ。
「聞かれたくない話を会社ですんなよ、完全にお前の落ち度だろ」
その通りすぎてなにも言えない、瑠衣は恥ずかしさや情けなさで俯いたが、その動きは太刀川の手で遮られる。
「不感症が治れば白鹿にも気持ちを伝えられるって?」
「そ!そんなことはっ……」
いろいろ馬鹿にされている、瑠衣はそう思って太刀川を睨みつけたが当の本人にはどこ吹く風か。含み笑いで見下ろして言ってきた。
「不感症……興味あるわぁ」
(――は?)
返ってきた言葉に瑠衣の方が受け止めきれない。
「濡れない身体が自分の手で濡れるとか興奮しかなくない?お前は興味ない?」
初めて楽しそうに太刀川が話した。声もどことなく明るく聞こえる。
(こ……興奮?そんなことある?)
「しゅ……趣味が悪いかと……」
呆れて思わずこぼしてしまった瑠衣に太刀川が笑った。
「どの辺が?」
聞き返されてますます返答に困る。
(すべてにおいてだけど。不感症って聞いて興味もつところからおかしいし楽しむところもどうかと思う)
その気持ちはとりあえず飲み込んだ。
「興奮要素はゼロかと思われます」
「それは俺が決める」
「私は全く興奮しません」
「それは俺次第」
さすが営業マンはなんでも言い返してくる。
「な……なにがしたいんですか?どういう……」
「セックスって気持ちいいんだけどな」
(……え)
「それを知らずに自分を責めて諦めてるのが可哀想だなって思ったかな」
「かわいそう……ですか」
(同情……されてる)
「ちげぇわ」
心の中を読んだのか、太刀川が瑠衣の気持ちを否定するように言う。
「単純に俺が気持ちよくさせてやりたいなと思っただけ」
誰もが振り向くようなイケメンにそんなセリフを吐かれて瑠衣は余計に戸惑った。
「太刀川さんにそんな風に思っていただく身分ではありません……」
「それも俺が決める」
「太刀川さんにメリットもありません」
「濡れない身体を濡れさせたってだけで男冥利に尽きるだろ、むしろこっちからお願いしたいね」
(そんなバカな)
「なにを……」
太刀川は一体何を言っているんだ、言葉を失いかけそうな瑠衣に太刀川が言う。
「治してやろうか」
もうすでに治る前提で言ってくる。呆気に取られた瑠衣は今度こそ本当に言葉を失った。
「お前の身体が本当に不感症なのか、試してみない?」
――定時を告げる17時のチャイムが鳴った。
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