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続編/高宮過去編
初めまして(燈子)―1
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数回のコール音で出てくれた声は静かで遠慮がちな、とても緊張感が伝わって来るほどの深い『はい』だった。
「高宮美羽さんのお電話で間違いないですか?」
『……は、はい』
とまどいを隠せない返答に慌てて声をかけた。
「驚かせてしまって申し訳ありません、私、美山燈子と申します。高宮駿さんとお付き合いさせていただいております。突然お電話してしまいすみません」
『あの……はい、えっと……』
「私がお母様と連絡を取りたいとお願いしまして、駿くんから携帯をお借りしてお電話させていただきました。すみません、私で……その」
『いえ、そんな……いいえ、ご連絡ありがとうございます。初めまして、高宮と申します。駿がいつもお世話になっております』
「いえ、そんな!私こそお世話になってます、とても……」
それだけ言っただけでなんだか胸を混みあげるものがあった。電話口の声がひどく優しくて泣いているような気がしたからだ。
「あの、突然お電話させていただいたのには理由があるんです……ご迷惑承知でお願いするのですが……」
『はい、なんでしょうか』
「一度お母様とお会いしたいのですがお時間作っていただけませんか?」
『私と、ですか?』
「はい、お母様とお話しさせていただきたいのです、電話ではなくお会いして……難しいですか?」
『――いいえ、私で良ければぜひお願いいたします』
(よかった!!)
会えるキッカケをもらえて気持ちが一気に舞い上がった。電話では話したくなかった、ちゃんと顔を見て話せたら一番いい、そう思っていたからお母さんが迷う感じもなく返事をくれたことに胸が高鳴っていた。
『あの、美山さん?』
「あ、はい」
『……駿も、一緒にでしょうか』
「あぁ……一緒がいいですよね?」
『いいえ』
(え?)
『あの子は私には会いたくないでしょうから。お気遣いくださらなくて構いませんので……よければ美山さんの連絡先をお伺いしてよろしいですか?』
「それは、もちろん……あの、お母様は会いたいですよね?駿くんと……」
『――私の気持ちなどどうでもいいのです、あの子の気持ちを尊重してください』
私の携帯の番号とメールアドレスを伝えて電話を切った。時間だけで言うと五分も話していないと思う。ベランダでタバコを吸っている彼の方がまだゆっくりしているから本当に一瞬の電話だった。
(連絡先を交換できたし、会う約束も出来て満足だけど……なんだろう、この消化不良は)
似た者親子ではないけれど、同じように線引きして諦めている感じ。
寄り添う気もないのに分かり合えるわけもない。身内だから、親子だからそうさせるのだろうか。
なんだかちょっとムカムカしてきた。
(私が怒るとか筋違いだけど)
絶対にすれ違っている、そう感じたのだ。
「高宮美羽さんのお電話で間違いないですか?」
『……は、はい』
とまどいを隠せない返答に慌てて声をかけた。
「驚かせてしまって申し訳ありません、私、美山燈子と申します。高宮駿さんとお付き合いさせていただいております。突然お電話してしまいすみません」
『あの……はい、えっと……』
「私がお母様と連絡を取りたいとお願いしまして、駿くんから携帯をお借りしてお電話させていただきました。すみません、私で……その」
『いえ、そんな……いいえ、ご連絡ありがとうございます。初めまして、高宮と申します。駿がいつもお世話になっております』
「いえ、そんな!私こそお世話になってます、とても……」
それだけ言っただけでなんだか胸を混みあげるものがあった。電話口の声がひどく優しくて泣いているような気がしたからだ。
「あの、突然お電話させていただいたのには理由があるんです……ご迷惑承知でお願いするのですが……」
『はい、なんでしょうか』
「一度お母様とお会いしたいのですがお時間作っていただけませんか?」
『私と、ですか?』
「はい、お母様とお話しさせていただきたいのです、電話ではなくお会いして……難しいですか?」
『――いいえ、私で良ければぜひお願いいたします』
(よかった!!)
会えるキッカケをもらえて気持ちが一気に舞い上がった。電話では話したくなかった、ちゃんと顔を見て話せたら一番いい、そう思っていたからお母さんが迷う感じもなく返事をくれたことに胸が高鳴っていた。
『あの、美山さん?』
「あ、はい」
『……駿も、一緒にでしょうか』
「あぁ……一緒がいいですよね?」
『いいえ』
(え?)
『あの子は私には会いたくないでしょうから。お気遣いくださらなくて構いませんので……よければ美山さんの連絡先をお伺いしてよろしいですか?』
「それは、もちろん……あの、お母様は会いたいですよね?駿くんと……」
『――私の気持ちなどどうでもいいのです、あの子の気持ちを尊重してください』
私の携帯の番号とメールアドレスを伝えて電話を切った。時間だけで言うと五分も話していないと思う。ベランダでタバコを吸っている彼の方がまだゆっくりしているから本当に一瞬の電話だった。
(連絡先を交換できたし、会う約束も出来て満足だけど……なんだろう、この消化不良は)
似た者親子ではないけれど、同じように線引きして諦めている感じ。
寄り添う気もないのに分かり合えるわけもない。身内だから、親子だからそうさせるのだろうか。
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(私が怒るとか筋違いだけど)
絶対にすれ違っている、そう感じたのだ。
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