あの夜をもう一度~不器用なイケメンの重すぎる拗らせ愛~

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続編/高宮過去編

家族とは(高宮)―1

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 家族との繋がりは俺からしたら血の繋がりがあるくらいしか思うことがない。
 それに勝るものはない、と言う人もいるだろう。それでもそれがあったからなんだと言う気持ちは理解してもらえるだろうか。

 俺にとって家族なんて、形としてあるだけのもの、そんなものだ。


「みんな挨拶ってしてんの?」
「いや、するだろ」
「美山さんの考え方が普通ー」
 既婚者組の久世と佐藤に冷ややかに言われてまた頭を悩ませていた。

「お前がいいって思うんなら良いんじゃねー?」
 だよなー、と同意したくなる和泉の意見は嬉しいけれど結婚に興味も関心もないコイツの意見は一切当てにならない。


「なんで挨拶なんかしないといけないんだ?てか、挨拶ってなんだ?彼女を紹介するってこと?なんのために?これからの生活にそれどんだけ必要なこと?」
「なんかお前ドライすぎだろ。え?そういう考え方ってありなのか?」
 俺の考え方に久世が理解できなくなってきたようで佐藤に助けを求め出す。


「逆に高宮は美山さんの親に挨拶に行かないわけ?」
「彼女の親はもういないし、身寄りもないから挨拶する人がいない」
「あ、そーなの?へー、苦労人?」
「んー、そうなのかな。寂しいはあったかもしれないなぁ。でもこれからは俺が家族になるんだから問題ないじゃんか。だいたい生きてるからって何ってなくない?今日まで大して家族が俺の暮らしに絡んでくることなんかなかったのに、なんで結婚するってなったら家族が絡むわけ?意味がわからん」
「「……」」
 やっぱり既婚者組は俺の意見にいちいち引っかかるのか表情が複雑そうで。


「なんかこいつの意見偏ってね?」
 久世がまた佐藤に問いかける。

「一瞬正論とか思って騙されそうになるな」
 佐藤の意見にさらに俺は突っ込む。


「ガキの頃はさ、仕方ないじゃん。一人で生きていけないし、親の庇護は絶対いるし。でももうそんなん高校くらいから徐々に解決していかん?成人して親の許しとか意見聞いてなにかするなんてことないだろ?なんで結婚てなるといるの?そもそも何を得たいの?家族に会わせてどーなるわけ?」



「美山さんは何て言ってんだ?」
 珍しく久世が食いついて聞いてくる。結婚してから本当に丸くなったなぁ、と感心してしまう。


「絶対挨拶に行かないとダメってめちゃくちゃ頑固に言い続けてて正直めんどくさすぎて嫌。さっさと籍入れたいのに全然前に進まないから余計イラついてくる……」
「なら、実家連れて顔見せて終わればいいじゃん、美山さんも納得するし解決」
 答えを出したらすぐ解決させたいせっかちな久世の意見はわかるけども、そんなすぐフラッと帰れる家でもない。


「実家……全然帰りたいって思わない。しかも彼女連れて……?嫌すぎるわ」
 想像だけで無理無理!そう思って頭を振った。


「だいぶ帰ってないわけ?」
 久世に聞かれて答える。


「帰ってないねー、帰るっていう表現がなんか嫌だわ」
 もう別にあそこは俺の帰る場所ではない。俺の帰る場所なんかそもそもないのだ。


「高宮ってマジ拗らせてるよなー」
 和泉に馬鹿笑いされて同期たちと別れた。

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