あの夜をもう一度~不器用なイケメンの重すぎる拗らせ愛~

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続編/燈子過去編

止まらない焦り(高宮)―1

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 聞かされた話は想像さえしていなかったレベルで、彼女の心の奥の知らなすぎた世界に触れて単純に気持ちが揺れていた。それでも彼女の口から聞かされることで不安は徐々に薄れて冷静にもなれる。ただ幼稚なほど悔しさだけが湧いてきた。
 過去なんかどうしようもできない、それは誰でも平等に与えられた現実だ。俺の過去だって誰にもどうにもできないし自分でだってなんにもできない。なのに歯がゆくて、悔しい。
 織田さんが彼女の過去を共有しその時間を過ごしていた事実に憤りを感じてしまう。そしてその彼女を傷つけたことが単純に頭にきていた。


「結局メールには返していないし、会ってどうしたかったのかも知らない。本当に知らないの……ごめんなさい」
 泣きながらそう告げられて完全に責めているような気になった。そう思わせるほど彼女から罪悪感を感じる。俺に申し訳ない、そんな風に謝られているようでまた苛立ちを覚えてしまう。

「燈子さんが泣いて謝らないといけないことはなんにもないよね?もう謝らないで、ハッキリ言って聞きたくない」
 冷たい言い方になったけど本音だし、もう織田さんを思って泣いてほしくなかった。

「こんなこと……言いたくないんだけど」
 本気で言いたくない。言わずに過ごすことなんかむしろ言うより簡単かもしれない。俺だけがそれを抱えて暮らしていけばいいだけだ、あえて言葉にしなくてもいい、そう思うのに胸の奥をこじ開けようとしてくる気持ちがそれを抑えてくれない。


「……話がしたいって。話したいことがあるみたいだったよ?燈子さんは……どう思う?」
「――え」
「伝えたいことがあるって言ってた」
「……今さら……それにもうあの人は結婚だってしてる……」
「別れたって聞いたよ、離婚してるって」
 え、と驚いたような表情で彼女の気持ちが声に出さなくてもわかった。
 彼女は本当に今の織田さんの状況を知らないのか、それにどこかホッとする自分もいた。疑っていたわけじゃないが自分で安心できる要素がないと信用できない、もうそれは性分だった。


「別れていても……もう私には関係ないしなにより駿くんに嫌な思いもさせたくない……会ってほしいって思うの?」
 彼女に聞かれて一瞬口を噤んだ。誤魔化したくても気持ちがまったく誤魔化せそうになかった。彼女に嘘もつきたくなかった、彼女はきっと俺に嘘なんかついていないから。


「――本音は会わせたくない、でも……知りたい自分がいる。織田さんがなにを燈子さんに伝えたいのか知りたい、俺が。じゃなきゃ多分この不安が消えない」


 ――不安。
 俺は一体いつまで彼女にその感情を持ち続けるのか……情けなさ過ぎる。

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