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番外編

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 結局、鬼の二人が納得して解放してくれるのにさらに一時間弱かかって待たせた燈子さんと会えたのは21時前になっていた。俺の自宅に一緒に帰って部屋に入ったら真剣な表情で燈子さんが聞いてくる。


「お昼に職場でこぼした……邪魔ってどういう意味だったんですか?」
 なんとなく、その話をしたいのかなとは思っていた。思わず聞いてしまったものの中途半端に終わらせて余計な考えを巡らせる気にはなっていた。


「うーん、言葉の通りって感じなんだけど」
「私、邪魔なんか思ったことないですよ?」
「――そうですか」
 ハッキリ言われて拍子抜けしたのが本音だ。


「どうして?私、そんな風に思わせるようなことしてましたか?」
「そういうことじゃないんですけど……なんか燈子さんの気持ちちゃんと聞いたことないなって思ったのが一番と、転職のことも結局は一人でさっさと決めちゃってるし」
「それは……ごめんなさい」
 謝られると逆に辛い、責めてるつもりはないのに責めていることになるのか。


「私、苦手なんです、人に相談とかするの。あんまりそういう経験もなくて。いつも一人で考えて決めてきたから……その……」
「わかりますよ、俺もそういうタイプなんで。相談したところで決めるのは自分なんでそれでいいと思ってます。思ってるんだけど――」
 言葉に詰まった俺の傍にそっと寄ってきて手をきゅっと包んでくるからもうなんだかたまらなくなった。


(なんなんだよ、もう可愛いな)


「ちゃんと言って?聞きたいです、私」
「俺がめんどくさいなって。めんどくさいっていうかうっとおしいっていうか……俺が邪魔だなって。思いだしたらもうそうにしか見えなくて、燈子さんの人生に迷惑しかかけない気がしてきて……」
「迷惑?」
「ちょっと待って、タンマ。なんか俺もう何言いたいかわかんなくなってきてるからちょっとやめません?」


(これ以上突っ込まれるとどんどん引かれるようなこと言いそうで自分が未知すぎて怖い)


「――わかりました」
 そう言ったら燈子さんの表情がスンッと冷えた感じに落ち着いていきなりわかったと告げた。なにがわかったのかわからないけれどとりあえず追及は終わったのかと安堵のため息をつこうとしたら息が止まるようなことを言う。


「なら離れましょうか、少し距離を置くのはどうでしょう。私は仕事も辞めることですし」
「え!」


(なんでそうなる!)


 予期せぬ言葉を投げられてまた俺は息を呑んだ。



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