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本編
43話・幸せを噛みしめて(燈子)
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胸がいっぱいになって気づいたらキスをしてしまった。それを今ひどく後悔している。
「ん、もぉ……だめ」
「……あと一回くらいは……「ンだめぇ!」
「――はい。じゃあこれだけ」
チュッとリップ音付きのキスを落とされてベッドに転がされて全身で息を吐いた。
もう体力の限界、そして精神的にキャパオーバー。今はもう息をするので精一杯、指ひとつ動かせない、それくらい力尽きている。
(へ、ヘロヘロ……)
何度も何度も高みに昇らされて頭が昇天しかけておかしくなりそうなのに、耳元で繰り返される甘い声の好きだという言葉。その声に身体中が震えて感じまくって、必死で応えて抱きしめ返した。その余韻が残る中まだ脳裏に囁かれる声が私の心を甘く溶かし続けている。幸せに……満ちているんだ。
こんな風に愛しい気持ちでひとを抱きしめたのは生まれてはじめて。
こんな風に抱きしめてあげたいと、恋焦がれるほどひとを想ったのははじめてだ。
「抱きしめさせてください」
そう言って力尽きた身体をゆっくりと抱き起こされて、背後からぎゅっと抱きしめられる。首筋に肩に、熱いくちびるが触れてそのたび体がピクッと反応した。
「もうわかりました?」
「――え?」
「俺の気持ち、伝わりました?」
かぁぁぁっと体が熱くなる。
「……あの、は、はい」
「本当に?」
あんなに愛されて伝わらないわけがない。あの時間を思い返すだけで震えるのだ、ただそれだけでうまく返事ができないだけなんだから察してくれないかな、そう思っていたら言われた。
「わからないならもう一回……「わかりましたぁ!もう――わかり、ました」
恥ずかしすぎて自分がどんな顔をしているかもう見当もつかないので手で覆って隠す。
「――なんだ。残念、俺まだ出来るのにな」
そんな信じられない言葉を吐く。
「私だって――」
「ん?」
(高宮さんのその、ん?て聞く声が――)
「――好きすぎる」
「え?どこが?」
「~~全部が!……です」
「――じゃあやっぱりもう一回……「それは無理ですからぁ!!」
なんにも身にまとわない生まれたままの姿で抱き合って、肌をすり合わせながらくだらないことでも笑えて、じゃれ合えて。恥ずかしい言葉もなんでも言える、なんでも言いたい。
これからは素直でいたい、この腕に抱かれながらそう思って瞳を閉じた。
「ん、もぉ……だめ」
「……あと一回くらいは……「ンだめぇ!」
「――はい。じゃあこれだけ」
チュッとリップ音付きのキスを落とされてベッドに転がされて全身で息を吐いた。
もう体力の限界、そして精神的にキャパオーバー。今はもう息をするので精一杯、指ひとつ動かせない、それくらい力尽きている。
(へ、ヘロヘロ……)
何度も何度も高みに昇らされて頭が昇天しかけておかしくなりそうなのに、耳元で繰り返される甘い声の好きだという言葉。その声に身体中が震えて感じまくって、必死で応えて抱きしめ返した。その余韻が残る中まだ脳裏に囁かれる声が私の心を甘く溶かし続けている。幸せに……満ちているんだ。
こんな風に愛しい気持ちでひとを抱きしめたのは生まれてはじめて。
こんな風に抱きしめてあげたいと、恋焦がれるほどひとを想ったのははじめてだ。
「抱きしめさせてください」
そう言って力尽きた身体をゆっくりと抱き起こされて、背後からぎゅっと抱きしめられる。首筋に肩に、熱いくちびるが触れてそのたび体がピクッと反応した。
「もうわかりました?」
「――え?」
「俺の気持ち、伝わりました?」
かぁぁぁっと体が熱くなる。
「……あの、は、はい」
「本当に?」
あんなに愛されて伝わらないわけがない。あの時間を思い返すだけで震えるのだ、ただそれだけでうまく返事ができないだけなんだから察してくれないかな、そう思っていたら言われた。
「わからないならもう一回……「わかりましたぁ!もう――わかり、ました」
恥ずかしすぎて自分がどんな顔をしているかもう見当もつかないので手で覆って隠す。
「――なんだ。残念、俺まだ出来るのにな」
そんな信じられない言葉を吐く。
「私だって――」
「ん?」
(高宮さんのその、ん?て聞く声が――)
「――好きすぎる」
「え?どこが?」
「~~全部が!……です」
「――じゃあやっぱりもう一回……「それは無理ですからぁ!!」
なんにも身にまとわない生まれたままの姿で抱き合って、肌をすり合わせながらくだらないことでも笑えて、じゃれ合えて。恥ずかしい言葉もなんでも言える、なんでも言いたい。
これからは素直でいたい、この腕に抱かれながらそう思って瞳を閉じた。
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