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本編
3話・救いの手(燈子)
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課長に勧められた日本酒は悪酔いしそうなほどキツくて気分が悪くなっていた。
有名なお酒が豊富な居酒屋ということもあってみんなお酒を飲むピッチが早い。しかも今夜は営業部まで参加しているからお酒の流れが異様に多くて早かった。周囲はいい感じに出来上がってきている気がする。
(はやく終わらないかな……)
さっきからそればかり考えている。つまらないとかではないけれど飲み会の席は本当に苦手だ。女ってだけでセクハラまがいの絡みもあるし年配の社員さんはお酌をせがんだりめんどくさいことしかない。特別仲の良いひとがいるでもないし本当に業務の延長、そんなノリで来ているからこそ羽目を外すこともない。
(まぁ、私が羽目を外すことなんか早々ないんだけど)
職場では努めて黙々と、与えられる仕事をこなすのみ。不用意に人と話さずプライベートも晒さずにやってきた。そんな私がこんな飲み会の席で一緒になっていきなり盛り上がれるわけもない。しかし……。
「美山さん~全然飲んでないじゃないかぁ~」
「……いえ、たくさんいただきました……」
お酒が入ったおじさんはそうでもない。案の定出来上がった定年前の杉野さんが近寄ってきて飲め飲めとせがんできた。
「これも飲んでごらん?うまいぞ~」
「あの、私、本当にもう結構で……」
「まだ飲めるだろう?!」
「いや、あの……」
「コップ空じゃないかぁ~ほら、貸して貸して!」
全く聞く耳も持たず、強引にコップを奪われそこにダクダクと注がれてしまう。
(ど、どうしよう……しかもこれなに、泡盛?度数40%?うそでしょ)
変な汗が出始めて本気で断っても全然耳に入ってそうにない。
「杉野さん、私、こんなお酒……「こんなぁ?俺の酒が飲めないってぇ?」
(そんなセリフ未だに言うのびっくりだし、本当にパワハラだ)
「ちが、このお酒が……「いいから!飲め飲め」
パシャっと体にお酒が飛んだ。それくらい勢いよく突き返されて思わずコップを受け取ってしまう。
(飲めるわけない、こんなお酒……)
手が震えかけてきた時だった。スッとそのコップを綺麗な手に奪われたのは。
有名なお酒が豊富な居酒屋ということもあってみんなお酒を飲むピッチが早い。しかも今夜は営業部まで参加しているからお酒の流れが異様に多くて早かった。周囲はいい感じに出来上がってきている気がする。
(はやく終わらないかな……)
さっきからそればかり考えている。つまらないとかではないけれど飲み会の席は本当に苦手だ。女ってだけでセクハラまがいの絡みもあるし年配の社員さんはお酌をせがんだりめんどくさいことしかない。特別仲の良いひとがいるでもないし本当に業務の延長、そんなノリで来ているからこそ羽目を外すこともない。
(まぁ、私が羽目を外すことなんか早々ないんだけど)
職場では努めて黙々と、与えられる仕事をこなすのみ。不用意に人と話さずプライベートも晒さずにやってきた。そんな私がこんな飲み会の席で一緒になっていきなり盛り上がれるわけもない。しかし……。
「美山さん~全然飲んでないじゃないかぁ~」
「……いえ、たくさんいただきました……」
お酒が入ったおじさんはそうでもない。案の定出来上がった定年前の杉野さんが近寄ってきて飲め飲めとせがんできた。
「これも飲んでごらん?うまいぞ~」
「あの、私、本当にもう結構で……」
「まだ飲めるだろう?!」
「いや、あの……」
「コップ空じゃないかぁ~ほら、貸して貸して!」
全く聞く耳も持たず、強引にコップを奪われそこにダクダクと注がれてしまう。
(ど、どうしよう……しかもこれなに、泡盛?度数40%?うそでしょ)
変な汗が出始めて本気で断っても全然耳に入ってそうにない。
「杉野さん、私、こんなお酒……「こんなぁ?俺の酒が飲めないってぇ?」
(そんなセリフ未だに言うのびっくりだし、本当にパワハラだ)
「ちが、このお酒が……「いいから!飲め飲め」
パシャっと体にお酒が飛んだ。それくらい勢いよく突き返されて思わずコップを受け取ってしまう。
(飲めるわけない、こんなお酒……)
手が震えかけてきた時だった。スッとそのコップを綺麗な手に奪われたのは。
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