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第二章 許嫁……!?
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「俺、許嫁が決まりました!」
朝、僕の家の居間で伯彦が言い放った衝撃の一言。
「……あれ、皆さん聞いてます?俺許嫁が」
「聞こえてる聞こえてる。え、何?どういうことなの?」
僕は改めてもう一度聞き直した。
「えーとですね、この前ついに俺にもお見合いの話が来ましてね。それで何人かお見合いしたんですけど、一人めっちゃ意気投合しちゃった娘が居て!もうちょー可愛くて!」
「そ、そうなんだ……」
一人でテンションの上がっている伯彦を尻目に、僕達はヒソヒソと話し始める。
「ねえ、あの浮かれよう……なんか凄いね。というか、許嫁って子供の頃からの婚約者のことじゃ……?」
「うん。伯彦さん、なにか悪いことに巻き込まれてるんじゃ……あとある意味子供だから別にいいんじゃない?」
「ちょっと心配です、子供なのは同意しますが」
「はいそこ、俺は何も悪いことには巻き込まれてません!あとさらっと俺の悪口言ってない?」
ビシッと指をさされた。なんかムカつくな。
「それで、どんな人なんだい?」
「えーとですね、ちょっと待ってくださいね」
そう言って伯彦はスマホを取り出して、操作し始めた。
「あ、実在したんだ」
「失礼ですね!ゲームはよく遊びますけどちゃんと恋愛対象は現実の人です!」
写真が見つかったのか、スマホの画面を見せてくる。
「お、おお……」
ソフィアとかアクセリナみたく外国人ってわけじゃなかった、純日本人。ふわふわガーリー、とでも言えばいいのかな、ほんわかした空気がこの笑顔の写真からも伝わってくる。
「名前は?名前は何て?」
「野薊瑠々美さんって言うみたいです。近くのお嬢様学校に通ってるみたいで」
「へぇ」
伯彦が言った学校名を検索してみると、生徒が女子しか居ないお嬢様学校だった。そんな環境の娘が、どうしてこんなバ……失礼、無神経なやつと気が合ってしまったんだか。
「それで、気が合ったのは分かったから、伯彦もどうしてお見合いなんか受けようと思ったの?」
「そうですよ。伯彦さん、恋愛には興味なくてただバカみたいに遊びたいみたいな感じだったじゃないですか」
「んなっ、静梨ちゃん酷いなあ。俺だって恋愛に興味はあるんだぞ」
さすが、僕の妹。僕が言いにくいようなことをズバズバと言ってくれる。あ、そう思ってるってわけじゃないよ、僕が。
「だってさぁ……親がお見合いの話を勝手に持ってきたわけなんですけど、意外と可愛い子ばっかりでついノリノリになっちゃって……」
「合コンじゃないんだよ?」
「一人一人真面目に向き合いましたー!その上で野薊さんにするって決めたんですー!」
どうやら、これは本気みたいだ……
「で、そのお見合いはいつだったわけ?」
「えーっと、6月の6日にやって、んで今が20日だから。二週間前っすね」
その言葉に、なんだか僕はふつふつと怒りが湧いてきた。
「……そんな大切なことを、僕に知らせずにだいぶ泳がせてたんだね……?」
「だって、『心』の魔法があるじゃないですか!それで知ってるもんだと……」
「安易に人の心を覗くようなことはしない」
「そりゃ、そうですけど」
「しかも、その空白の期間は何をしてたんだい?」
聞くと、得意げに胸を叩いて伯彦は言った。
「デートです」
「「デートぉ?」」
僕と静梨の声がハモった。そういや、最近は予定があるとかでどっか行っていたけどさぁ……!
「年も同い年、趣味も合う、何より俺の好みのドタイプ!こんな好条件受けないほうがおかしいですよ!」
「は、はあ……」
「あの……」
と、僕が微妙な反応をしたところで紗代が口を開いた。
「ノアザミ、って……もしかしてあの『Brise&Fleur』の会社の……?」
「……あー!どっかで聞いたことあると思ったら!それだ!さすぅが紗代!」
急にテンションがあがった静梨。僕と伯彦の頭の上にはクエスチョンマークが浮かんでいた。
「その『Brise&Fleur』って?」
「知らないの、おにい!?女性に大人気の洋服ブランド、『Brise&Fleur』だよ!?」
「分からないから聞いてるんだけど」
僕が言うと、今度は静梨と紗代がありえないという目で僕を見てきた。そ、そんなに凄いところだったの?
「はぁー、おにいったら装飾品のお店の子なのに世間の流行りも知らないなんて。勉強不足すぎない?」
「それは……う、認めるしか無い……」
ガックリすると、伯彦が肩をたたいてくる。
「まぁまぁ、落ち込まないでくださいよ」
「君だって知らないくせに」
「ええ!勿論!」
そんな胸を張って言えるようなもんじゃないと思うけど?
「じゃあ静梨。教えてくれ」
「そうね……『Brise&Fleur』。まだブランド新設から五年しか経ってないけど、凄い人気のブランドなのよ?他にもあの会社の服のブランドはあるしどれも人気ブランドだけど、今の主流はここって感じね」
「お、おう……そうなんだ……」
試しにスマホで調べてみる。ちょこちょこ静梨と紗代が着ているような服と同じっぽいやつがある。でも値段が可愛くない……いやまあ、服なんてこんなもんか。
「で、この会社のがノアザミホールディングス、と……菫岡さん、よくこことのお見合い持ってこれたね。菫岡……というか、うちは旧家だし言うのもあれだけど営んでる店も小さいし」
「それがね、不思議なことに向こうの方からお見合いを申し込んできたんですよ、この野薊さんちは」
「へぇ?随分と物好きな人いるんですね」
確かに物好きと言われればそうなんだけど、それ以外にも要因はあると思う。
「伯彦の家、武道の道場やってたよね?それでじゃないかな」
「えー、いいとこのお嬢様ならボディーガードぐらい居るでしょー、今更だよ今更」
ボディーガードと言われて、僕はアクセリナを思い出す。同時に静梨も同じことを思ったのか、僕と静梨は紗代を見てしまった。
「わ、私はアクセリナさんみたいに強くなれませんよ!?」
……伝わってた。
「で、話は戻るけどいい感じなの?気が合うって言ってたけど」
「そりゃ勿論!ただちょっと箱入りお嬢様の天然入り過ぎてびっくりすること多々ありますけどね……この前なんかハンバーガーとポテトを知らないって言うからびっくりしましたよ」
わぁ、ありがちな箱入りお嬢様のやつだ。たまーにネット広告の漫画でも流れてくるやつ。
「執事もなんか怖いし、しんどいっすけど」
「まあある意味親以上に面倒見てるわけだからね、見定めたくもなるよ」
「紗代……はもっと厳しそう」
「家事が出来て、静梨様の奔放さについていけて、かつ優しい方がいいですね」
「どこに居るのよ、そんな男」
それは僕も思う。まず二点目が難しいでしょ。
「実は今日も会う予定で……」
と、伯彦が言った途端に家の近くから見知らぬ気配がした。
「ん?」
「どうしました、結人さん」
「このふわふわした気配……まさか。紗代」
「わ、分かりました」
僕は紗代に頼み玄関へと向かわせる。
「およ、まだ会う時間じゃないんだけどなあ」
それを見て察したのか、伯彦も玄関へと向かっていく。
「……え、こんな形で初対面とかあり得る?」
「どうしよ、私仲良く出来るかしら……」
「問題ないでしょ、ソフィアとアクセリナとも仲良くなれてたし」
変に緊張している静梨をよそに、僕はお茶を用意する。と言っても冷蔵庫にある作り置きのお茶を用意するだけなんだけれどもね。
――わぁ、ここが……
――凄いでしょう、本家!
「勝手に自分の自慢にして……」
「でも褒められるのはいいことじゃない」
「まぁそうなんだけど」
ちょうど人数分のお茶が用意できたところで、紗代が入ってきた。
「こっ、こちらです」
「あら、ありがとうございます」
そして入ってきた例の女性。写真で見たときもそうだけど、こうやって現実で対面するともっとふわふわな感じがする。
「貴方が当主様ですか?」
「はい。僕は霖結人。分家菫岡の本家、霖の家の次期当主です」
「私がその妹、霖静梨です」
「あら、次期当主様でしたか……申し訳ありません」
別に謝らなくてもいいのに、深々とお辞儀をして謝られた。
「では、当主様は……?」
「当主はここから少し離れた『ナガメジュエリー』という場所で店を営んでいて……」
僕がその言葉を言った瞬間、野薊さんは手を合わせて顔を輝かせた。
「まあ、その名前!たまに利用させて頂いております!とても素晴らしい出来のアクセサリーで感動して……」
と、言いかけたところで言葉を止めた。
「あ、自己紹介がまだでしたね……私、野薊瑠々美と申します。えっと、伯彦さんとお付き合いさせて頂いております」
「はい、よろしくお願いします。それで、その伯彦は……」
僕はそこで未だに玄関から戻ってこない伯彦のことを思い出した。
「伯彦ー?」
「なんすか」
「なんでそっちから?」
呼んだ瞬間、何故か庭の方からやってくる伯彦。
「いやあ、執事さんが庭を見たいって言うから案内してたんですよ」
その例の執事さんが伯彦の隣から出てくる。
「お初にお目にかかります。私、依留葉ロベルと申します。お嬢様とは十年ほど主従関係を結ばせております」
「随分外国人的な顔立ちなんですね」
「依留葉はハーフなんです」
「ああ、だからそんな名前なんですね」
確かに言われてみれば外国人とも日本人とも取れる顔立ちだ。
「まあまあ、とりあえず皆さん座ってくださいよ」
なんて、伯彦が調子良さそうに促してくる。今日ぐらいは伯彦の面子を立ててやるか……
「さて、幾つかお聞きしたいことがあるんですが……本当に伯彦でいいんですか?」
とりあえず僕は、椅子に座ってからまず気になることを聞いた。
「私、初めてのお見合いで不安だったんですけれど……なんだか、伯彦さんとはやっぱり良い関係が築けそうで」
「でも、野薊さんのご実家って、結構な大企業ですよね?なぜこんな古い家に?しかもそちらの方からこちらに申し込んできたと聞いたのですが。それに、やっぱり、って?」
「えと、お恥ずかしいお話なのですが……以前、私がナガメジュエリーに来た時に、一緒にアクセサリーを選んでくれて、その……一目惚れ、なのです」
そう言われて僕は伯彦の方を見る。どうやら事実らしい。
「えーっ、あのバカな伯彦さんが!?」
「ちょ、静梨ちゃん!?なんでこのタイミングでそんなこと言うかな!?ちょっとは俺を立てるとかさ!?」
「あのですね、野薊さん?思っているよりこの菫岡伯彦という人は割とだらしない人なんですよ?それでもいいんですか?」
「……?ありのままの伯彦さん、とてもいいと思いますよ?」
直球な惚気に、僕と静梨、そして紗代は頭を抱えた。ここまでべた惚れなら、もう仕方ないな……
「ともかく、これから先もよろしくお願いいたします」
また深々と頭を下げる野薊さんと依留葉さん。こんなにいい人達だなんて、まったく伯彦は不釣り合いな人と恋に落ちて……
「いえいえ、こちらこそこんな奴に恋人が出来て嬉しい限りです。ちょっと実家の格が違いすぎてびっくりしましたけど」
「何を言いますか、私の家とは違って霖、菫岡は古くから続く由緒正しい家じゃないですか?誇っていいんですよ?」
「まあ、そうなんですけど……」
現代的な価値観から言ったら野薊の家の方が価値あるんだけどね……僕達には僕達で、魔法が使えるって違う価値もあるんだけど。
「それにしても……伯彦さんの家でも思いましたけど、日本人の性なのか、この和風のお家は落ち着きますね」
「そうですか、ありがとうございます」
「……いっそのこと、私も伯彦さんの家に住んじゃいましょうか?」
と、サラッと凄いことを言う野薊さん。
「ええっ、ちょ、瑠々美さん!?何言ってるんですか急に!?」
「え?だめでした?」
「いやあの、主にご家族とか、そっちの視線が……」
「いいじゃないですか、きっと楽しいですって」
伯彦が押されてる、面白い。やっぱりどこに言っても伯彦はいじられキャラなんだな、と思った。その当の伯彦は僕に目線でヘルプを送ってるけどね。
「まあまあ、落ち着いて」
一応野薊さんを止めておく。
「むう、いいアイデアだと思ったんですけど……それに学校も変えちゃおうかと」
「学校まで?」
「一緒に登校したいので……」
なんて、頬を染めながら言われる。
「……失礼ですけど、家の方向って」
「残念ながら、お嬢様が現在通っておられる学校と、菫岡様が現在通っておられる学校は全くと言っていいほど逆方向です」
「でしょう?だから伯彦さんの家に……」
「それはお父上のご判断、それに菫岡当主様のご判断を聞いてからでないと」
「どうせお父様は反対する!だから無許可で……」
ああ……依留葉さんの苦労がうかがえる……
「俺としてもうちに来てくれるのは……まあ嬉しい通り越してむしろお願いしますって頼みたいほどですけど、やっぱり段階を踏んでってのもありますし、それに依留葉さんの言うとおりですし、ね?」
おっ、男見せた。
「………………伯彦さんがそう言うなら、仕方ないですけれども」
「分かってくれましたか」
暴走するお嬢様に、それを諫める伯彦……意外と良いペア、なのかもしれない。
「って、そうだ!瑠々美さん、このあとのデートどこ行きます?」
「あ、そうでしたね。でしたら、せっかくですしナガメジュエリーにでも一緒にどうですか?」
「おっ、いいですね!それじゃ結人さん、そういうことで俺達はこれで!」
「えっ、ちょっと」
僕が止めるまでもなく、野薊さんを連れて伯彦は去って行ってしまった。
「……申し訳ありません、うちのが」
「いえ、いつもお嬢様が楽しそうにしていますのでありがたい限りです。それでは、私もこれで」
丁寧なお辞儀をして、今度は依留葉さんが去っていった。
「また来てください」
僕達は三人で揃って、見送りをした。
「……つ、疲れた」
「でも、なんだか良いカップルじゃない?」
「そうですね、でもお嬢様ってどこも自由奔放なんですかね?」
「なーんで私を見て言うの、さーよ?」
「いえ、なんでも」
確かに、どことなく野薊さんからは静梨の要素を感じた。けど若干ソフィアの要素も感じるし……うーん。
――ピンポーン。
「あれ?忘れ物かな?」
そう思って玄関を開けると、そこには今度はソフィアとアクセリナが居た。
「ヤッホー、ですよユイト」
今日はどうやらまともな服っぽい。あれからアクセリナと苦戦してソフィアの服を見繕ったのがよかったか。
「おはようございます、結人様、静梨様、紗代様」
ソフィアの後ろでアクセリナもお辞儀をする。今日はなんだかよくお辞儀される日だなあ……
「今、そこでノリヒコとすれ違いましたけど……あちらの女性と男性は……?」
「あ、すれ違った?実はね……ああ、詳しいことは中で話そうか」
二人を家の中に入れて、改めてお茶を用意する。今度は紗代が用意してくれた。
「んく……ふぅ、夏のお茶は美味しいですね」
「でしょ」
今はまだ暑くなる時間じゃないのに、二人はもうお茶を一杯飲み干してしまった。
「それで、あの二人は?」
「なんとね、聞いて驚かないでね……伯彦の婚約者らしいんだ」
「……Förvånad」
「……ええ」
「やっぱり、そうなるよね」
案の定、二人も驚いて言葉を失っていた。
「それで、そのお相手、というのは?」
「野薊瑠々美さん、って方。静梨と紗代が言うに、『Brise&Fluer』ってとこの会社らしいよ」
「あ!それ、この前私達三人で一緒に服を買いに行った所じゃないですか!あそこの人なんですね!」
「奇妙な偶然もあるものですね」
そう言われて、僕は一気に滝のような汗が吹き出してきた。これはまずい。
「……おにい?ちょーっと、床に座りなさいよ」
「……はい」
これは久々に静梨からガチ説教だなぁ……僕はそう思いながら、椅子から降りて正座で座りなおす。
「さて、おにい。勿論罪状は分かってるよね?」
「う、うん」
「……?どうしたんですか?」
そういえば、この光景を見るのは二人とも初めてだっけ。
「特別に、お二人に教えてあげます。この霖結人という男は、まさか婚約者とその従者と一緒に服を買いに行った場所の店名を『知らない』と言いやがったんですよ」
「まあ。それはジュウザイ、ですね」
「あんなに悩んで決めたのに、まさか店名を覚えていないとは……」
「はい……その節は、本当に申し訳ありません……」
自然と僕は土下座をしていた。完全に僕の非だからね、これは。
「ほんとにさぁ、ありえなくない?ねぇ?紗代」
「はい、女心というのを分かってない以前の問題です」
今、女心なんて関係ある?って言おうと思ったけど、これ以上燃料を投下するのはいけないからね。
「まあ、お説教はそこまでにしてください。そんなことよりも、さっきの人、なんだか不思議だったので」
「不思議?」
僕の頭をぐりぐりしている足をどけて、静梨が言う。
「いてててて……で、不思議って?」
僕は椅子に座り直して言う。確かに不思議な感じはしたけど、二人の雰囲気から見るにどうも違うらしい。
「あの男性……恐らく服装から見るに私や紗代様と同じ従者の方でしょう」
「あぁ、依留葉さんのこと?」
「名前は存じ上げませんが……顔つきが、どうも私達の祖国の住民の顔立ちで……」
「ハーフって言ってましたよ」
「……それが本当だといいのですが」
「平気だって、アクセリナ。考え過ぎ、って言葉があるでしょ」
僕の言葉に、アクセリナは納得いってない様子だった。
「本当に、考えすぎだといいのですが……」
「一応聞くけど、どうしてそう思うの?」
「すれ違った時に、ちょこっとだけ挨拶したんですけど……なんだか、そのエルバ、って方から物凄い敵意を向けられているような気がして」
敵意、か……僕はその言葉を聞いて、とある人物の名前を思い出す。
テクラ・ヴェステルマルク。今は日本に来ている、ソフィアの一つ下の妹。ソフィアの話を聞くに、相当ソフィアのことを恨んでるみたいだけど……まさかね。
「勘違いだって、平気平気。何かあったら、アクセリナがソフィアを守ってくれるでしょ?自分の腕に自信がないとでも?」
「それは……」
「そうですよ、アクセリナ!今までどんな困難も乗り越えてきたんですから!行けます、大丈夫です!ね?」
「は、はあ……」
やっぱり、あの野薊さんはソフィアに似ているところがある。ちょっと強引なところとか、楽観的なところとか……
「休みの日なんだし、そんな暗いこと考えないで、ゆっくりしていってよ」
僕はそう言って、まだ飲んでいなかったお茶を飲み干すのだった。
朝、僕の家の居間で伯彦が言い放った衝撃の一言。
「……あれ、皆さん聞いてます?俺許嫁が」
「聞こえてる聞こえてる。え、何?どういうことなの?」
僕は改めてもう一度聞き直した。
「えーとですね、この前ついに俺にもお見合いの話が来ましてね。それで何人かお見合いしたんですけど、一人めっちゃ意気投合しちゃった娘が居て!もうちょー可愛くて!」
「そ、そうなんだ……」
一人でテンションの上がっている伯彦を尻目に、僕達はヒソヒソと話し始める。
「ねえ、あの浮かれよう……なんか凄いね。というか、許嫁って子供の頃からの婚約者のことじゃ……?」
「うん。伯彦さん、なにか悪いことに巻き込まれてるんじゃ……あとある意味子供だから別にいいんじゃない?」
「ちょっと心配です、子供なのは同意しますが」
「はいそこ、俺は何も悪いことには巻き込まれてません!あとさらっと俺の悪口言ってない?」
ビシッと指をさされた。なんかムカつくな。
「それで、どんな人なんだい?」
「えーとですね、ちょっと待ってくださいね」
そう言って伯彦はスマホを取り出して、操作し始めた。
「あ、実在したんだ」
「失礼ですね!ゲームはよく遊びますけどちゃんと恋愛対象は現実の人です!」
写真が見つかったのか、スマホの画面を見せてくる。
「お、おお……」
ソフィアとかアクセリナみたく外国人ってわけじゃなかった、純日本人。ふわふわガーリー、とでも言えばいいのかな、ほんわかした空気がこの笑顔の写真からも伝わってくる。
「名前は?名前は何て?」
「野薊瑠々美さんって言うみたいです。近くのお嬢様学校に通ってるみたいで」
「へぇ」
伯彦が言った学校名を検索してみると、生徒が女子しか居ないお嬢様学校だった。そんな環境の娘が、どうしてこんなバ……失礼、無神経なやつと気が合ってしまったんだか。
「それで、気が合ったのは分かったから、伯彦もどうしてお見合いなんか受けようと思ったの?」
「そうですよ。伯彦さん、恋愛には興味なくてただバカみたいに遊びたいみたいな感じだったじゃないですか」
「んなっ、静梨ちゃん酷いなあ。俺だって恋愛に興味はあるんだぞ」
さすが、僕の妹。僕が言いにくいようなことをズバズバと言ってくれる。あ、そう思ってるってわけじゃないよ、僕が。
「だってさぁ……親がお見合いの話を勝手に持ってきたわけなんですけど、意外と可愛い子ばっかりでついノリノリになっちゃって……」
「合コンじゃないんだよ?」
「一人一人真面目に向き合いましたー!その上で野薊さんにするって決めたんですー!」
どうやら、これは本気みたいだ……
「で、そのお見合いはいつだったわけ?」
「えーっと、6月の6日にやって、んで今が20日だから。二週間前っすね」
その言葉に、なんだか僕はふつふつと怒りが湧いてきた。
「……そんな大切なことを、僕に知らせずにだいぶ泳がせてたんだね……?」
「だって、『心』の魔法があるじゃないですか!それで知ってるもんだと……」
「安易に人の心を覗くようなことはしない」
「そりゃ、そうですけど」
「しかも、その空白の期間は何をしてたんだい?」
聞くと、得意げに胸を叩いて伯彦は言った。
「デートです」
「「デートぉ?」」
僕と静梨の声がハモった。そういや、最近は予定があるとかでどっか行っていたけどさぁ……!
「年も同い年、趣味も合う、何より俺の好みのドタイプ!こんな好条件受けないほうがおかしいですよ!」
「は、はあ……」
「あの……」
と、僕が微妙な反応をしたところで紗代が口を開いた。
「ノアザミ、って……もしかしてあの『Brise&Fleur』の会社の……?」
「……あー!どっかで聞いたことあると思ったら!それだ!さすぅが紗代!」
急にテンションがあがった静梨。僕と伯彦の頭の上にはクエスチョンマークが浮かんでいた。
「その『Brise&Fleur』って?」
「知らないの、おにい!?女性に大人気の洋服ブランド、『Brise&Fleur』だよ!?」
「分からないから聞いてるんだけど」
僕が言うと、今度は静梨と紗代がありえないという目で僕を見てきた。そ、そんなに凄いところだったの?
「はぁー、おにいったら装飾品のお店の子なのに世間の流行りも知らないなんて。勉強不足すぎない?」
「それは……う、認めるしか無い……」
ガックリすると、伯彦が肩をたたいてくる。
「まぁまぁ、落ち込まないでくださいよ」
「君だって知らないくせに」
「ええ!勿論!」
そんな胸を張って言えるようなもんじゃないと思うけど?
「じゃあ静梨。教えてくれ」
「そうね……『Brise&Fleur』。まだブランド新設から五年しか経ってないけど、凄い人気のブランドなのよ?他にもあの会社の服のブランドはあるしどれも人気ブランドだけど、今の主流はここって感じね」
「お、おう……そうなんだ……」
試しにスマホで調べてみる。ちょこちょこ静梨と紗代が着ているような服と同じっぽいやつがある。でも値段が可愛くない……いやまあ、服なんてこんなもんか。
「で、この会社のがノアザミホールディングス、と……菫岡さん、よくこことのお見合い持ってこれたね。菫岡……というか、うちは旧家だし言うのもあれだけど営んでる店も小さいし」
「それがね、不思議なことに向こうの方からお見合いを申し込んできたんですよ、この野薊さんちは」
「へぇ?随分と物好きな人いるんですね」
確かに物好きと言われればそうなんだけど、それ以外にも要因はあると思う。
「伯彦の家、武道の道場やってたよね?それでじゃないかな」
「えー、いいとこのお嬢様ならボディーガードぐらい居るでしょー、今更だよ今更」
ボディーガードと言われて、僕はアクセリナを思い出す。同時に静梨も同じことを思ったのか、僕と静梨は紗代を見てしまった。
「わ、私はアクセリナさんみたいに強くなれませんよ!?」
……伝わってた。
「で、話は戻るけどいい感じなの?気が合うって言ってたけど」
「そりゃ勿論!ただちょっと箱入りお嬢様の天然入り過ぎてびっくりすること多々ありますけどね……この前なんかハンバーガーとポテトを知らないって言うからびっくりしましたよ」
わぁ、ありがちな箱入りお嬢様のやつだ。たまーにネット広告の漫画でも流れてくるやつ。
「執事もなんか怖いし、しんどいっすけど」
「まあある意味親以上に面倒見てるわけだからね、見定めたくもなるよ」
「紗代……はもっと厳しそう」
「家事が出来て、静梨様の奔放さについていけて、かつ優しい方がいいですね」
「どこに居るのよ、そんな男」
それは僕も思う。まず二点目が難しいでしょ。
「実は今日も会う予定で……」
と、伯彦が言った途端に家の近くから見知らぬ気配がした。
「ん?」
「どうしました、結人さん」
「このふわふわした気配……まさか。紗代」
「わ、分かりました」
僕は紗代に頼み玄関へと向かわせる。
「およ、まだ会う時間じゃないんだけどなあ」
それを見て察したのか、伯彦も玄関へと向かっていく。
「……え、こんな形で初対面とかあり得る?」
「どうしよ、私仲良く出来るかしら……」
「問題ないでしょ、ソフィアとアクセリナとも仲良くなれてたし」
変に緊張している静梨をよそに、僕はお茶を用意する。と言っても冷蔵庫にある作り置きのお茶を用意するだけなんだけれどもね。
――わぁ、ここが……
――凄いでしょう、本家!
「勝手に自分の自慢にして……」
「でも褒められるのはいいことじゃない」
「まぁそうなんだけど」
ちょうど人数分のお茶が用意できたところで、紗代が入ってきた。
「こっ、こちらです」
「あら、ありがとうございます」
そして入ってきた例の女性。写真で見たときもそうだけど、こうやって現実で対面するともっとふわふわな感じがする。
「貴方が当主様ですか?」
「はい。僕は霖結人。分家菫岡の本家、霖の家の次期当主です」
「私がその妹、霖静梨です」
「あら、次期当主様でしたか……申し訳ありません」
別に謝らなくてもいいのに、深々とお辞儀をして謝られた。
「では、当主様は……?」
「当主はここから少し離れた『ナガメジュエリー』という場所で店を営んでいて……」
僕がその言葉を言った瞬間、野薊さんは手を合わせて顔を輝かせた。
「まあ、その名前!たまに利用させて頂いております!とても素晴らしい出来のアクセサリーで感動して……」
と、言いかけたところで言葉を止めた。
「あ、自己紹介がまだでしたね……私、野薊瑠々美と申します。えっと、伯彦さんとお付き合いさせて頂いております」
「はい、よろしくお願いします。それで、その伯彦は……」
僕はそこで未だに玄関から戻ってこない伯彦のことを思い出した。
「伯彦ー?」
「なんすか」
「なんでそっちから?」
呼んだ瞬間、何故か庭の方からやってくる伯彦。
「いやあ、執事さんが庭を見たいって言うから案内してたんですよ」
その例の執事さんが伯彦の隣から出てくる。
「お初にお目にかかります。私、依留葉ロベルと申します。お嬢様とは十年ほど主従関係を結ばせております」
「随分外国人的な顔立ちなんですね」
「依留葉はハーフなんです」
「ああ、だからそんな名前なんですね」
確かに言われてみれば外国人とも日本人とも取れる顔立ちだ。
「まあまあ、とりあえず皆さん座ってくださいよ」
なんて、伯彦が調子良さそうに促してくる。今日ぐらいは伯彦の面子を立ててやるか……
「さて、幾つかお聞きしたいことがあるんですが……本当に伯彦でいいんですか?」
とりあえず僕は、椅子に座ってからまず気になることを聞いた。
「私、初めてのお見合いで不安だったんですけれど……なんだか、伯彦さんとはやっぱり良い関係が築けそうで」
「でも、野薊さんのご実家って、結構な大企業ですよね?なぜこんな古い家に?しかもそちらの方からこちらに申し込んできたと聞いたのですが。それに、やっぱり、って?」
「えと、お恥ずかしいお話なのですが……以前、私がナガメジュエリーに来た時に、一緒にアクセサリーを選んでくれて、その……一目惚れ、なのです」
そう言われて僕は伯彦の方を見る。どうやら事実らしい。
「えーっ、あのバカな伯彦さんが!?」
「ちょ、静梨ちゃん!?なんでこのタイミングでそんなこと言うかな!?ちょっとは俺を立てるとかさ!?」
「あのですね、野薊さん?思っているよりこの菫岡伯彦という人は割とだらしない人なんですよ?それでもいいんですか?」
「……?ありのままの伯彦さん、とてもいいと思いますよ?」
直球な惚気に、僕と静梨、そして紗代は頭を抱えた。ここまでべた惚れなら、もう仕方ないな……
「ともかく、これから先もよろしくお願いいたします」
また深々と頭を下げる野薊さんと依留葉さん。こんなにいい人達だなんて、まったく伯彦は不釣り合いな人と恋に落ちて……
「いえいえ、こちらこそこんな奴に恋人が出来て嬉しい限りです。ちょっと実家の格が違いすぎてびっくりしましたけど」
「何を言いますか、私の家とは違って霖、菫岡は古くから続く由緒正しい家じゃないですか?誇っていいんですよ?」
「まあ、そうなんですけど……」
現代的な価値観から言ったら野薊の家の方が価値あるんだけどね……僕達には僕達で、魔法が使えるって違う価値もあるんだけど。
「それにしても……伯彦さんの家でも思いましたけど、日本人の性なのか、この和風のお家は落ち着きますね」
「そうですか、ありがとうございます」
「……いっそのこと、私も伯彦さんの家に住んじゃいましょうか?」
と、サラッと凄いことを言う野薊さん。
「ええっ、ちょ、瑠々美さん!?何言ってるんですか急に!?」
「え?だめでした?」
「いやあの、主にご家族とか、そっちの視線が……」
「いいじゃないですか、きっと楽しいですって」
伯彦が押されてる、面白い。やっぱりどこに言っても伯彦はいじられキャラなんだな、と思った。その当の伯彦は僕に目線でヘルプを送ってるけどね。
「まあまあ、落ち着いて」
一応野薊さんを止めておく。
「むう、いいアイデアだと思ったんですけど……それに学校も変えちゃおうかと」
「学校まで?」
「一緒に登校したいので……」
なんて、頬を染めながら言われる。
「……失礼ですけど、家の方向って」
「残念ながら、お嬢様が現在通っておられる学校と、菫岡様が現在通っておられる学校は全くと言っていいほど逆方向です」
「でしょう?だから伯彦さんの家に……」
「それはお父上のご判断、それに菫岡当主様のご判断を聞いてからでないと」
「どうせお父様は反対する!だから無許可で……」
ああ……依留葉さんの苦労がうかがえる……
「俺としてもうちに来てくれるのは……まあ嬉しい通り越してむしろお願いしますって頼みたいほどですけど、やっぱり段階を踏んでってのもありますし、それに依留葉さんの言うとおりですし、ね?」
おっ、男見せた。
「………………伯彦さんがそう言うなら、仕方ないですけれども」
「分かってくれましたか」
暴走するお嬢様に、それを諫める伯彦……意外と良いペア、なのかもしれない。
「って、そうだ!瑠々美さん、このあとのデートどこ行きます?」
「あ、そうでしたね。でしたら、せっかくですしナガメジュエリーにでも一緒にどうですか?」
「おっ、いいですね!それじゃ結人さん、そういうことで俺達はこれで!」
「えっ、ちょっと」
僕が止めるまでもなく、野薊さんを連れて伯彦は去って行ってしまった。
「……申し訳ありません、うちのが」
「いえ、いつもお嬢様が楽しそうにしていますのでありがたい限りです。それでは、私もこれで」
丁寧なお辞儀をして、今度は依留葉さんが去っていった。
「また来てください」
僕達は三人で揃って、見送りをした。
「……つ、疲れた」
「でも、なんだか良いカップルじゃない?」
「そうですね、でもお嬢様ってどこも自由奔放なんですかね?」
「なーんで私を見て言うの、さーよ?」
「いえ、なんでも」
確かに、どことなく野薊さんからは静梨の要素を感じた。けど若干ソフィアの要素も感じるし……うーん。
――ピンポーン。
「あれ?忘れ物かな?」
そう思って玄関を開けると、そこには今度はソフィアとアクセリナが居た。
「ヤッホー、ですよユイト」
今日はどうやらまともな服っぽい。あれからアクセリナと苦戦してソフィアの服を見繕ったのがよかったか。
「おはようございます、結人様、静梨様、紗代様」
ソフィアの後ろでアクセリナもお辞儀をする。今日はなんだかよくお辞儀される日だなあ……
「今、そこでノリヒコとすれ違いましたけど……あちらの女性と男性は……?」
「あ、すれ違った?実はね……ああ、詳しいことは中で話そうか」
二人を家の中に入れて、改めてお茶を用意する。今度は紗代が用意してくれた。
「んく……ふぅ、夏のお茶は美味しいですね」
「でしょ」
今はまだ暑くなる時間じゃないのに、二人はもうお茶を一杯飲み干してしまった。
「それで、あの二人は?」
「なんとね、聞いて驚かないでね……伯彦の婚約者らしいんだ」
「……Förvånad」
「……ええ」
「やっぱり、そうなるよね」
案の定、二人も驚いて言葉を失っていた。
「それで、そのお相手、というのは?」
「野薊瑠々美さん、って方。静梨と紗代が言うに、『Brise&Fluer』ってとこの会社らしいよ」
「あ!それ、この前私達三人で一緒に服を買いに行った所じゃないですか!あそこの人なんですね!」
「奇妙な偶然もあるものですね」
そう言われて、僕は一気に滝のような汗が吹き出してきた。これはまずい。
「……おにい?ちょーっと、床に座りなさいよ」
「……はい」
これは久々に静梨からガチ説教だなぁ……僕はそう思いながら、椅子から降りて正座で座りなおす。
「さて、おにい。勿論罪状は分かってるよね?」
「う、うん」
「……?どうしたんですか?」
そういえば、この光景を見るのは二人とも初めてだっけ。
「特別に、お二人に教えてあげます。この霖結人という男は、まさか婚約者とその従者と一緒に服を買いに行った場所の店名を『知らない』と言いやがったんですよ」
「まあ。それはジュウザイ、ですね」
「あんなに悩んで決めたのに、まさか店名を覚えていないとは……」
「はい……その節は、本当に申し訳ありません……」
自然と僕は土下座をしていた。完全に僕の非だからね、これは。
「ほんとにさぁ、ありえなくない?ねぇ?紗代」
「はい、女心というのを分かってない以前の問題です」
今、女心なんて関係ある?って言おうと思ったけど、これ以上燃料を投下するのはいけないからね。
「まあ、お説教はそこまでにしてください。そんなことよりも、さっきの人、なんだか不思議だったので」
「不思議?」
僕の頭をぐりぐりしている足をどけて、静梨が言う。
「いてててて……で、不思議って?」
僕は椅子に座り直して言う。確かに不思議な感じはしたけど、二人の雰囲気から見るにどうも違うらしい。
「あの男性……恐らく服装から見るに私や紗代様と同じ従者の方でしょう」
「あぁ、依留葉さんのこと?」
「名前は存じ上げませんが……顔つきが、どうも私達の祖国の住民の顔立ちで……」
「ハーフって言ってましたよ」
「……それが本当だといいのですが」
「平気だって、アクセリナ。考え過ぎ、って言葉があるでしょ」
僕の言葉に、アクセリナは納得いってない様子だった。
「本当に、考えすぎだといいのですが……」
「一応聞くけど、どうしてそう思うの?」
「すれ違った時に、ちょこっとだけ挨拶したんですけど……なんだか、そのエルバ、って方から物凄い敵意を向けられているような気がして」
敵意、か……僕はその言葉を聞いて、とある人物の名前を思い出す。
テクラ・ヴェステルマルク。今は日本に来ている、ソフィアの一つ下の妹。ソフィアの話を聞くに、相当ソフィアのことを恨んでるみたいだけど……まさかね。
「勘違いだって、平気平気。何かあったら、アクセリナがソフィアを守ってくれるでしょ?自分の腕に自信がないとでも?」
「それは……」
「そうですよ、アクセリナ!今までどんな困難も乗り越えてきたんですから!行けます、大丈夫です!ね?」
「は、はあ……」
やっぱり、あの野薊さんはソフィアに似ているところがある。ちょっと強引なところとか、楽観的なところとか……
「休みの日なんだし、そんな暗いこと考えないで、ゆっくりしていってよ」
僕はそう言って、まだ飲んでいなかったお茶を飲み干すのだった。
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