オコジョに転生したので、可愛い飼い主の夜を覗いてます

犬派だんぜん

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6. 治癒術師の普通を教えて *

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 国境を越えて、初めての街に着いた。
 あんなことがあった後なので、1日休憩しましょうと商会側から提案があり、この街で2泊することになった。そして、ここで馬を売って、商会と山分けする。
 馬は、オレがいなければ怪我をしていて売れなかったから、ご主人ひとりの取り分じゃないかという話もあったが、ご主人とキースだけでは馬を連れてこれなかった。そして、損しかしないのに報告に協力してくれた商会なくしては、この馬も売れなかった。なので、商会も1パーティーとして加え、護衛のパーティー単位での頭割りにすることになったのだ。

 街の入り口では事情を話して馬を連れて街に入り、まずは買ってくれるだろう貸し馬車屋さんに寄った。
 交渉はすべて商会がしてくれて、多分オレたちが売るよりも高く売れたんだろう、かなりの額を手に入れた。

「キリ、キリのおかげだから、このお金で何かしたいことある?」

 ご主人がオレにお金の使い道を聞いてくれたので、オレはお風呂のある宿に泊まりたいとおねだりした。
 ご主人が水の魔法で洗ってくれたけど、このスペシャルな毛を、もう一度お風呂できれいに洗ってほしいのだ。

「では、我々の泊まる宿をご紹介しましょう。特別室にはお風呂がついているそうですよ」
「それはこの金額で泊まれる部屋ですか?」
「大丈夫ですよ」

 ご主人はじゃあそこでと即決していたが、キースがちゃんと宿泊料を確認した。ご主人、キースがいなかったらぼったくられてそう。
 2日後に集合する場所の確認のため、全員でその宿まで移動し、そこで解散した。
 オレたちは、商会の紹介でお風呂付の特別室を借りることができたが、多分紹介がなかったら追い返されている、冒険者の服装で来ると場違いな宿だ。

「キリ、熱くない?」

 ご主人が確認しながら身体を洗ってくれるので、濡れた毛をプルプルしたいのを我慢して大人しく洗われている。プルプルは本能だから、気を抜くとしちゃいそうなのだ。
 綺麗にすすがれてから、タライにはられたぬるい湯の中につかると、思わず声が出た。あ゛あ゛ー。やっぱりお風呂はいいねえ。
 お屋敷を出ちゃって、帰るまではお風呂に入れないかもしれないと思っていたけど、治癒魔法で稼いだときは、ときどきこうやってお風呂のある宿に泊まりたいとおねだりしてみよう。
 勝手に出るからいいよと言ったのにオレが出てこないので、寝ているんじゃないかとご主人が心配になって見に来るまで、お風呂を堪能していた。

 オレが出た後は、お楽しみ、お風呂でむふふの時間です。
 明日はお休みだし、これは外せないよね!
 本日も音声のみでお伝えしております。

「キース、待て」
「なんでだ。一緒に入るなら当然こういうこともありだろう」
「そんなこと……、んっ」
「期待していたくせに」
「……」

 あ、やっぱりご主人も期待してたのね。キースがお屋敷に泊まることがあったとしても、さすがに実家ではできないしね。

 感じるところを的確に攻めるキースに流され、ご主人はお風呂の縁にしがみついて、後ろからキースを受け入れたようだ。
 キースの動きに合わせだろう、ちゃぷちゃぷと湯が立てる音に混じって、ご主人の声が聞こえてくる。今日も妄想がはかどるね。

「んんっ、まって、お湯の中に、あっ、でる」
「嫌なら我慢しろ」
「ああっ、いやっ、我慢できないっ……んあっ」
「頑張れ」

 安定のキースさん鬼畜。
 この後誰も入らないんだからいいじゃん、と思うけどご主人的には許せないらしい。必死で我慢しているのが声からも分かる。

「まって、いっちゃうっ、でるっやだっ、やあっ」
「出せばいい」
「いやっ、だめっ、だめだっ、ああっ」
「じゃあ、自分で押さえろ」
「えっ、なっ」
「ほら、ここを握れ」

 キースがご主人に、自分のモノの根元をきつく押さえさせたようだ。うわ、これは初めてだ。ご主人の反応が楽しみだ。

「やだっ、だっ、ああっ、もう……いくっ」
「押さえてろ」
「できな、いやっ、いやぁ!」
「我慢しろ」
「だめだめっ、やめてっでるっでる、おねがいっ」

 ああ、ご主人がもう我慢の限界みたいで、声が切羽詰まってるし、ちょっと泣きが入っている。

「じゃあ、今度俺の言うこと、1つ聞いてくれるか?」
「な、に?」
「今度、俺のやりたいプレイをさせてくれ」
「な、なにっ、をっ」
「嫌なら、このままイけ」
「ああっ、まって、するからまってぇ、んあっ」
「やるんだな?」
「するっ、するからっ、おねがぃっ」

 ご主人、悪魔に魂を売ったね。これは、次への期待がむくむくと育つよ。鬼畜キースは何をさせる気かなあ。あれかな?これから?むふふ。

 キースはご主人を立ち上がらせ湯船から出し、壁に押し付けて、後ろから一気に責め立てた。

「ああぁぁぁ!」
「好きなだけ出せ」
「やあぁぁっ!」
「くっ、壁に自分で、擦り付けてるのか?」
「ああっ、やああっ」
「出すぞっ」
「ああっ、あんっ、ひっ、ああぁーーーーーーっ!」

 ふう。今日も盛り上がったね。
 ぐったりしたご主人を、キースが寝室に運んできた。診断してみたけど、治癒は必要なさそうだ。ご主人もだいぶ慣れたからかな。
 しかし、次が楽しみだなあ。キースさん、期待してまっせ。


 翌日、のんびりと起きたふたりは、恥ずかしさから拗ねているご主人を、キースが宥めてベッドから引っぱり出し、朝食を取ってからギルドに来た。ギルドマスターに面会を申し込むためだ。
 幸い、少し待てば面会可能と言うことで、屋台を冷やかしたりして時間を調整して、時間になってギルドマスターの部屋に案内された。

「まずは、盗賊の討伐、助かった。礼を言う」
「情報が早いな」
「あの盗賊は国境を挟んで両方に出るので、軍もなかなか手が出せなくて、近々両国の軍と冒険者合同で討伐隊を組むかという話も出ていたんだ」

 なるほど。むしろ簡単に討伐されないように、そういう所を狙ったのかもしれない。

「それで、今日は何の話だ?」
「キリ、この使役獣は治癒魔法が使えるんだが、冒険者の治癒をした場合の相場が分からないので教えてほしい。ポーションの2倍が基準と言うのは聞いたんだが」
「ああ、なるほど。ミリアル王国は治癒術師の冒険者はいないから知らなくて当然か」

 それからギルドマスターが、通常の相場と、頼まれた場合に断っていい場面となるべく対応したほうがいい場面などを教えてくれた。
 例えば、通りがかりに頼まれたのは受けるも断るも自由だけど、合同で依頼を受けたときはなるべく対応したほうがよく、断ると悪い評判が冒険者内で広まってしまう可能性があるそうだ。治癒術師がいるパーティーと組むときは治癒を当てにしているからで、逆に言えば治癒術師がいるパーティーは人気で、合同で依頼を受けないかと誘われることが多い。
 もちろん魔力切れで出来ない場合は断って問題ない。

「この国でも治癒術師の冒険者は貴重だ。この国で活動するなら、最初はギルドにどの依頼を受けるか相談してくれ。変なパーティーに捕まるのはギルドとしても避けたい」
「分かった。ところで、先日の討伐の時に乱戦になって、キリが治癒魔法を飛ばしまくってどれくらい治癒したのか分からず、一律で精算したんだが、そういう場合はどうなるんだ?」
「は?どれくらい治癒したか分からない?普通は中級ポーションがいるような怪我だと10回くらいしかできないだろう?」

 え、そうなの?でもご主人だって魔法乱発してるよね?
 どうやら、ご主人の魔力量も規格外に多いほうらしく、それを上回るオレは人外らしい。オレそもそも人じゃないけど。
 ええー、じゃあ攻撃魔法使えたらオレ無双できたんじゃん。ちぇっ。オコジョの前にひれ伏せ!ってやりたかったなあ。

「ちなみにどんな治癒魔法が使えるんだ?」
「教会から教えてもらった魔法は一通り使えるらしい」
「それは、もはや聖女レベルだぞ。よく国から出してもらえたな。いや、ミリアルの教会が全ての魔法を教える訳ないから一部か」

 聖女!?オレ男だよ。ってことは、聖男?聖人?いや、人じゃないから聖オコジョ?
 聞かなかったことにするからあまり人に言うなと、ギルドマスターにキースが諭されているが、治癒術師の標準が分からないからなあ。うーん、治癒術師仲間が欲しい。
 商会の護衛は王都までなので、王都のギルドマスターへの紹介状をくれて、着いたらまずこれを渡すように言われた。よほどオレたちが危なっかしく見えたようだ。



 そのころ、ミリアル王国では、王太子が王に怒られていた。

「お前は例のイタチに何をしてくれたんだ」
「何も。茶会に誘いましたが、いま依頼で出ているそうで、帰り次第連絡するとヒラリク侯爵家からは返事が来ています」
「使役獣を献上するように言ったと聞いているが?」
「それはマルカが勝手に言ったことです」
「だがお前は否定しなかったのだろう、私が自由に活動していいと言った相手に。彼らはガリア王国に渡った。謹慎していろ」

 王太子は次の茶会で、前回のはマルカが勝手に言っただけで自分にはその気はない、と理解のあるところを見せ優位に立って、イタチとのその飼い主を自分の手元に置くつもりだった。そのためだけに無能なマルカを側近から外さずにいる。けれど当のイタチたちは出国してしまった。

 王太子が退室した後、頭を抱えた王を、宰相が心配そうに見ている。
 王太子のしたことは、当の冒険者だけでなく、冒険者ギルドに対しても喧嘩を売ったのだ。
 側近が勝手に言ったとしても、そこにいたのに否定しなかったということは賛同していると取られてしまう。現に状況の不味さに気が付いた第二王子が王太子を差し置いてまで諫めたにもかかわらず、王太子は放置した。
 今までそれで問題にならなかったのは、相手が貴族だったからで、今回は冒険者、国に縛られていない彼らはすぐに逃げ出してしまった。

「もう戻ってこないだろうな」
「ヒラリク侯爵との繋がりは強いようですし、帰っては来るでしょうが、王国に協力してくれるかどうかは……」
「まったくあやつは自分は頭が切れると自惚れすぎだ。しかも相手が冒険者だということを甘く考えすぎている」
「陛下……」
「ヒラリク侯爵家と冒険者ギルドに、あれは王太子の側近の暴走だと伝えてくれ。そやつは家に言って二度と王宮に入らせるな」
「畏まりました」

 この一件が知れ渡れば、王太子の評判は落ちるだろう。
 やっと教会の横暴が片付いたのにと、王は頭の痛い思いで、王太子の周りにいる者についての調査を命じた。
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