25 / 47
25. 殺し文句 (ヴェルナー視点)
しおりを挟む
研究は魔道具技師のアントーニ達と分担して進めているようで、リヒターはかなり熱中している。
夕食中に、今新しい魔法陣を開発しようとしていて、と説明を始めたところで、魔法陣に意識がいってしまい、喋るのも食べるのも止めて考え始めた。
人に話すと頭の中が整理されるというから黙って見守っているし、たまにその中でひらめきも生まれるようだからそのまま考えさせてやりたいが、スプーンにすくったスープがこぼれそうだ。
「リヒター、スプーンを置いて」
「はい。やっぱり、右上に入れる文字がダメだと思うんですが、ヴェルナーもそう思いますか?」
「右手に持っているスプーンを置いて」
自分の右手を見て、ああと納得して、一度を置いてから、食事中だったのを思い出したようだ。
すでに謹慎があけて王都へと帰られた公爵も、リヒターのこの様子を見て驚いていらっしゃったのを思い出した。
公爵がこの領にいらっしゃった間は夕食を一緒にとっていた。
最初は緊張していたリヒターも、少しずつ公爵がいることに慣れたようで、その日の研究の成果などを楽しそうに報告していた。
「いつもこんな感じなのか」
「こういうことはたまにですが」
貴族のマナーとしてはよくないが、お互い忙しくなかなか顔を合わせる時間がない中では、この時間が一番落ち着いて話せる時間だった。
王都では、今のように澄ました顔をして完ぺきなマナーで食べていたのだろう。けれどおそらく今頭の中は先ほどの魔法陣のことでいっぱいのはずだ。きっと話しかけても聞こえないだろう。
少しずつ公爵とリヒターの距離が近くのを見守っていたが、謹慎中の公爵へ陛下からの書状が届いた。王都へ召還だ。
公爵が王都へ戻らない限り、神殿は浄化の魔道具の内容を公表しない。領地の浄化を望む貴族からの嘆願に、呼び戻すことをお決めになったのだろう。
これで、リヒターの処遇は今のままでいいということが確定したのだと、ほっとした。
夕食で公爵が王都に帰ることを告げられたリヒターは、目に見えて動揺していた。
毎日一緒に食事をとり、他愛もない話をする。それはリヒターの求めていた風景だったのだろう。そしてそれが続いて行くことを願っていた。
「お父上とゆっくり話しておいで」
「ヴェルナー、一緒にいてください」
「大丈夫、部屋で待っているから。ひとりで行っておいで」
夕食後、公爵と話すように言うと、心細げに共にいることを望まれた。応えてあげたいとは思うが、ふたりで話をしたほうがいい。私がいると、きっとリヒターは私に頼って自分からは何も話さない。
出来ることなら、過去のわだかまりを解消してほしい。ここで和解できなければ、この先機会はないだろう。
大丈夫、と肩を押して公爵の部屋へと送り出した。
遅い時間に部屋に帰って来たリヒターは、すっきりとした顔をしていた。公爵といい話が出来たのだろう。
「ヴェルナー、ありがとうございます」
「どうしたの?」
「ヴェルナーがいてくれてよかったなって」
そっと抱きしめると、抵抗しないどころか自分から擦り寄って来た。
「公爵が帰られるのが寂しいの?」
「……会えると、すぐに会えると思っていたんです。子どものころ、この領地に来たころは、父上が会いに来てくださると思っていました。でも結局王都に帰るまで会えませんでした。だから、今度もまたずっと会えないかもしれないと思って」
「公爵がなぜリヒターを領地に住まわせるのか聞いた?」
「聞きました。頭では分かっているんです」
分かっていても、割り切れない思いをずっと抱えてきたのだ。幼いリヒターはここで、ずっと公爵を待っていたのだ。
「公爵にそれを伝えた?迎えに来てほしかったって」
「言ったところで何も変えられないのだから、ただ父上が辛い思いをされるだけです。それに、今はヴェルナーがいてくれるから」
「どこにだって迎えに行くよ」
「はい。今、迎えに来てほしいのは、父上じゃなくてヴェルナーだから、もういいんです」
なんて殺し文句を無自覚に言うのだろう。
いつでも、どこにだって迎えに行く。もうひとりにはさせないから、安心していい。
その思いをこめて優しく頭を撫でると、肩口に頬を摺り寄せてきた。
やっと懐いてくれたと思ったら、変わり過ぎだ。
思ったよりもずいぶんと甘えたな猫だったようだ。迎えに行くのが少しでも遅れたら、シャーシャー猛抗議されて、10日ほどは近寄ってくれないだろうな。
いつもご機嫌でいられるように、これからは存分に甘やかしてあげよう。
公爵が王都に帰られてしばらくして、リヒターが神官と魔道具技師と薬師ギルド長を屋敷の調薬小屋に招いて実験していると、護衛から報告を受けた。
「神官様が聖魔法をかけられると水を入れた容器が破裂して飛び散ったのですが、もう一度やってみましょう、とリヒター様が仰いまして」
「神官様にお怪我はなかったのか?」
「はい。一応衝立をおいて、目を庇いながらと配慮はされていましたが」
「分かった。注意しておく」
「明日、再度集まられることが決まっています」
「そうか。ではその時行こう」
夕食の時に、今日何をやっていたのか聞いたが、実験をしていたとしか言わなかった。
詳しい内容も言わないし、なんとなくこちらを伺っているから、おそらく怒られるかもしれないということは分かっているのだろう。回避できる危険は回避してほしいが、きっと今言っても無駄だな。
翌日、調薬小屋に顔を見せると、神官長までいらっしゃっているのには驚いた。リヒターがしまったという顔をしているが、分かっているなら怒られるようなことはしないで欲しい。
「昨日は、リヒターが神官様に危険な実験を強要したと報告を受けたからね」
「安全は、確保できていたはずです、多分。神官様と薬師が揃っているのですから、大抵の怪我は治せます」
「怪我をするのがダメなんだよ。それに、神官様が怪我をしたら、神官様は治癒できないだろう」
なんとか言い逃れしようと足掻いている。研究以外なら聞き分けが良いのにな。
「リヒター、危険な実験はしない。ましてや他の人を巻き込むなんて論外だ。約束できないなら、調薬小屋への立ち入りを禁止するよ?」
「……分かりました」
「みなさんも、遠慮なく止めてください」
リヒターはぷくっと頬を膨らませているし、魔道具技師たちは目の前で始まった説教に引いているが、こうでもしないと聞かないので申し訳ない。
それから実験結果を確認しているが、水をきれいにした後、リヒターの開発した魔法陣で魔素水を作成し、そこに聖魔法をかけると、かなり効果の強い聖水ができるようだ。
そこに至る過程でしたことはともかく、結果はかなり期待が持てる内容だ。だからこそ神官長もいらっしゃったのだろう。
「この水になってしまった元聖水に、再度魔素の付与をして、聖水にしたらどうなるでしょう」
「リヒター、それは危険はないのか?」
「分かりません」
危険な実験はしないと言った舌の根も乾かないうちから、また危険かもしれないことをしようとしている。その探求心と好奇心には舌を巻くが、安全を最優先にしてほしい。
と思っていたのだが、私が止めるよりも先に神官長が乗り気になられて、試してみることになった。
とりあえず飛び出して行かないように、リヒターは捕まえておこう。
「ヴェルナー、何を」
「ダメ。飛び出して行きそうだから、リヒターはここ」
そんなことしないのに、と文句を言っているが、さっき危険なことはしないと言ったのをすぐに破ろうとしたのは誰だ。神官長にも笑われている。
神官が聖魔法をかけると水はキラキラと光り、案の定それを見て身を乗り出そうとするリヒターを止めた。護衛を見ると、聖水に変化がないことを確認してから頷いたのでリヒターを放すと、駆け寄って鑑定魔法を使い始めた。獲物を見つけた猫のようだ。
リヒターの知らない魔法陣を描いた紙を目の前でひらひらさせたら、猫のようにじゃれついてくるかもしれない。
神殿は魔素水から聖水を作って森の浄化で試してみるということで、リヒターの魔法陣を渡した。
これで森の浄化がさらに進めば、神殿はリヒターを今まで以上に大切にしてくれるだろう。リヒターを守る手札はたくさん用意しておきたい。
そのためにも自由に研究してほしいが、安全の確保が課題だな。きっと怪我をしても、本人はケロッとして実験を続けそうなのが困る。
見守る護衛の気苦労がうかがい知れる。
「迷惑をかける」
「いえ、研究以外ではこちらの言うこともきちんと聞いてくださるので」
「これからも頼む。いざという時は私の名前を出して止めてくれ」
「はい」
今後は、かなりの成果が見込めそうなこの研究を、リヒター個人ではなく、領として進めることにしたい。
領の研究であれば、研究成果を見せに王都へ召喚されることになっても、公爵を通さなければならないので、そう簡単には呼び出されないだろう。
アントーニ達がその処遇についてどう思うか、事前にリヒターに相談したが、帰って来た答えは、鎖を付けられずに研究費を貰えるなら出所はどこでも気にしない、というものだった。
「これからは、領主導で実験を進めます」
「何が違うんだ?」
「今まではリヒター様の私財から研究にかかる費用が払われていましたが、これからは領から出ます。その代わりに成果はリヒター様個人のものでなく、領のものとなります」
「ご子息様はそれでいいんですか?」
「領が潤えば、私の私財も増えますので」
「なるほど。ご子息様がいいならいい」
担当者が細かい内容を説明しているが、リヒターが納得しているなら構わないと、流してしまった。
きっと相手が領であろうがリヒターであろうが、自分のやりたいことが出来るなら気にしないのだろう。彼もリヒターと同じ人種のようだ。
リヒターも信用しているし、彼を自陣に迎えられたのは領にとってかなり良いことだろう。
夕食中に、今新しい魔法陣を開発しようとしていて、と説明を始めたところで、魔法陣に意識がいってしまい、喋るのも食べるのも止めて考え始めた。
人に話すと頭の中が整理されるというから黙って見守っているし、たまにその中でひらめきも生まれるようだからそのまま考えさせてやりたいが、スプーンにすくったスープがこぼれそうだ。
「リヒター、スプーンを置いて」
「はい。やっぱり、右上に入れる文字がダメだと思うんですが、ヴェルナーもそう思いますか?」
「右手に持っているスプーンを置いて」
自分の右手を見て、ああと納得して、一度を置いてから、食事中だったのを思い出したようだ。
すでに謹慎があけて王都へと帰られた公爵も、リヒターのこの様子を見て驚いていらっしゃったのを思い出した。
公爵がこの領にいらっしゃった間は夕食を一緒にとっていた。
最初は緊張していたリヒターも、少しずつ公爵がいることに慣れたようで、その日の研究の成果などを楽しそうに報告していた。
「いつもこんな感じなのか」
「こういうことはたまにですが」
貴族のマナーとしてはよくないが、お互い忙しくなかなか顔を合わせる時間がない中では、この時間が一番落ち着いて話せる時間だった。
王都では、今のように澄ました顔をして完ぺきなマナーで食べていたのだろう。けれどおそらく今頭の中は先ほどの魔法陣のことでいっぱいのはずだ。きっと話しかけても聞こえないだろう。
少しずつ公爵とリヒターの距離が近くのを見守っていたが、謹慎中の公爵へ陛下からの書状が届いた。王都へ召還だ。
公爵が王都へ戻らない限り、神殿は浄化の魔道具の内容を公表しない。領地の浄化を望む貴族からの嘆願に、呼び戻すことをお決めになったのだろう。
これで、リヒターの処遇は今のままでいいということが確定したのだと、ほっとした。
夕食で公爵が王都に帰ることを告げられたリヒターは、目に見えて動揺していた。
毎日一緒に食事をとり、他愛もない話をする。それはリヒターの求めていた風景だったのだろう。そしてそれが続いて行くことを願っていた。
「お父上とゆっくり話しておいで」
「ヴェルナー、一緒にいてください」
「大丈夫、部屋で待っているから。ひとりで行っておいで」
夕食後、公爵と話すように言うと、心細げに共にいることを望まれた。応えてあげたいとは思うが、ふたりで話をしたほうがいい。私がいると、きっとリヒターは私に頼って自分からは何も話さない。
出来ることなら、過去のわだかまりを解消してほしい。ここで和解できなければ、この先機会はないだろう。
大丈夫、と肩を押して公爵の部屋へと送り出した。
遅い時間に部屋に帰って来たリヒターは、すっきりとした顔をしていた。公爵といい話が出来たのだろう。
「ヴェルナー、ありがとうございます」
「どうしたの?」
「ヴェルナーがいてくれてよかったなって」
そっと抱きしめると、抵抗しないどころか自分から擦り寄って来た。
「公爵が帰られるのが寂しいの?」
「……会えると、すぐに会えると思っていたんです。子どものころ、この領地に来たころは、父上が会いに来てくださると思っていました。でも結局王都に帰るまで会えませんでした。だから、今度もまたずっと会えないかもしれないと思って」
「公爵がなぜリヒターを領地に住まわせるのか聞いた?」
「聞きました。頭では分かっているんです」
分かっていても、割り切れない思いをずっと抱えてきたのだ。幼いリヒターはここで、ずっと公爵を待っていたのだ。
「公爵にそれを伝えた?迎えに来てほしかったって」
「言ったところで何も変えられないのだから、ただ父上が辛い思いをされるだけです。それに、今はヴェルナーがいてくれるから」
「どこにだって迎えに行くよ」
「はい。今、迎えに来てほしいのは、父上じゃなくてヴェルナーだから、もういいんです」
なんて殺し文句を無自覚に言うのだろう。
いつでも、どこにだって迎えに行く。もうひとりにはさせないから、安心していい。
その思いをこめて優しく頭を撫でると、肩口に頬を摺り寄せてきた。
やっと懐いてくれたと思ったら、変わり過ぎだ。
思ったよりもずいぶんと甘えたな猫だったようだ。迎えに行くのが少しでも遅れたら、シャーシャー猛抗議されて、10日ほどは近寄ってくれないだろうな。
いつもご機嫌でいられるように、これからは存分に甘やかしてあげよう。
公爵が王都に帰られてしばらくして、リヒターが神官と魔道具技師と薬師ギルド長を屋敷の調薬小屋に招いて実験していると、護衛から報告を受けた。
「神官様が聖魔法をかけられると水を入れた容器が破裂して飛び散ったのですが、もう一度やってみましょう、とリヒター様が仰いまして」
「神官様にお怪我はなかったのか?」
「はい。一応衝立をおいて、目を庇いながらと配慮はされていましたが」
「分かった。注意しておく」
「明日、再度集まられることが決まっています」
「そうか。ではその時行こう」
夕食の時に、今日何をやっていたのか聞いたが、実験をしていたとしか言わなかった。
詳しい内容も言わないし、なんとなくこちらを伺っているから、おそらく怒られるかもしれないということは分かっているのだろう。回避できる危険は回避してほしいが、きっと今言っても無駄だな。
翌日、調薬小屋に顔を見せると、神官長までいらっしゃっているのには驚いた。リヒターがしまったという顔をしているが、分かっているなら怒られるようなことはしないで欲しい。
「昨日は、リヒターが神官様に危険な実験を強要したと報告を受けたからね」
「安全は、確保できていたはずです、多分。神官様と薬師が揃っているのですから、大抵の怪我は治せます」
「怪我をするのがダメなんだよ。それに、神官様が怪我をしたら、神官様は治癒できないだろう」
なんとか言い逃れしようと足掻いている。研究以外なら聞き分けが良いのにな。
「リヒター、危険な実験はしない。ましてや他の人を巻き込むなんて論外だ。約束できないなら、調薬小屋への立ち入りを禁止するよ?」
「……分かりました」
「みなさんも、遠慮なく止めてください」
リヒターはぷくっと頬を膨らませているし、魔道具技師たちは目の前で始まった説教に引いているが、こうでもしないと聞かないので申し訳ない。
それから実験結果を確認しているが、水をきれいにした後、リヒターの開発した魔法陣で魔素水を作成し、そこに聖魔法をかけると、かなり効果の強い聖水ができるようだ。
そこに至る過程でしたことはともかく、結果はかなり期待が持てる内容だ。だからこそ神官長もいらっしゃったのだろう。
「この水になってしまった元聖水に、再度魔素の付与をして、聖水にしたらどうなるでしょう」
「リヒター、それは危険はないのか?」
「分かりません」
危険な実験はしないと言った舌の根も乾かないうちから、また危険かもしれないことをしようとしている。その探求心と好奇心には舌を巻くが、安全を最優先にしてほしい。
と思っていたのだが、私が止めるよりも先に神官長が乗り気になられて、試してみることになった。
とりあえず飛び出して行かないように、リヒターは捕まえておこう。
「ヴェルナー、何を」
「ダメ。飛び出して行きそうだから、リヒターはここ」
そんなことしないのに、と文句を言っているが、さっき危険なことはしないと言ったのをすぐに破ろうとしたのは誰だ。神官長にも笑われている。
神官が聖魔法をかけると水はキラキラと光り、案の定それを見て身を乗り出そうとするリヒターを止めた。護衛を見ると、聖水に変化がないことを確認してから頷いたのでリヒターを放すと、駆け寄って鑑定魔法を使い始めた。獲物を見つけた猫のようだ。
リヒターの知らない魔法陣を描いた紙を目の前でひらひらさせたら、猫のようにじゃれついてくるかもしれない。
神殿は魔素水から聖水を作って森の浄化で試してみるということで、リヒターの魔法陣を渡した。
これで森の浄化がさらに進めば、神殿はリヒターを今まで以上に大切にしてくれるだろう。リヒターを守る手札はたくさん用意しておきたい。
そのためにも自由に研究してほしいが、安全の確保が課題だな。きっと怪我をしても、本人はケロッとして実験を続けそうなのが困る。
見守る護衛の気苦労がうかがい知れる。
「迷惑をかける」
「いえ、研究以外ではこちらの言うこともきちんと聞いてくださるので」
「これからも頼む。いざという時は私の名前を出して止めてくれ」
「はい」
今後は、かなりの成果が見込めそうなこの研究を、リヒター個人ではなく、領として進めることにしたい。
領の研究であれば、研究成果を見せに王都へ召喚されることになっても、公爵を通さなければならないので、そう簡単には呼び出されないだろう。
アントーニ達がその処遇についてどう思うか、事前にリヒターに相談したが、帰って来た答えは、鎖を付けられずに研究費を貰えるなら出所はどこでも気にしない、というものだった。
「これからは、領主導で実験を進めます」
「何が違うんだ?」
「今まではリヒター様の私財から研究にかかる費用が払われていましたが、これからは領から出ます。その代わりに成果はリヒター様個人のものでなく、領のものとなります」
「ご子息様はそれでいいんですか?」
「領が潤えば、私の私財も増えますので」
「なるほど。ご子息様がいいならいい」
担当者が細かい内容を説明しているが、リヒターが納得しているなら構わないと、流してしまった。
きっと相手が領であろうがリヒターであろうが、自分のやりたいことが出来るなら気にしないのだろう。彼もリヒターと同じ人種のようだ。
リヒターも信用しているし、彼を自陣に迎えられたのは領にとってかなり良いことだろう。
182
お気に入りに追加
5,912
あなたにおすすめの小説
マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)
黒崎由希
BL
目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。
しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ?
✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻
…ええっと…
もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m
.
【第2部開始】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~
ちくわぱん
BL
【第2部開始 更新は少々ゆっくりです】ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
名前のない脇役で異世界召喚~頼む、脇役の僕を巻き込まないでくれ~
沖田さくら
BL
仕事帰り、ラノベでよく見る異世界召喚に遭遇。
巻き込まれない様、召喚される予定?らしき青年とそんな青年の救出を試みる高校生を傍観していた八乙女昌斗だが。
予想だにしない事態が起きてしまう
巻き込まれ召喚に巻き込まれ、ラノベでも登場しないポジションで異世界転移。
”召喚された美青年リーマン”
”人助けをしようとして召喚に巻き込まれた高校生”
じゃあ、何もせず巻き込まれた僕は”なに”?
名前のない脇役にも居場所はあるのか。
捻くれ主人公が異世界転移をきっかけに様々な”経験”と”感情”を知っていく物語。
「頼むから脇役の僕を巻き込まないでくれ!」
ーーーーーー・ーーーーーー
小説家になろう!でも更新中!
早めにお話を読みたい方は、是非其方に見に来て下さい!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる