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世界を越えてもその手は 最終章 手を携えて未来へ 5

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◆カークトゥルス内(17. マジックバッグ量産(?)計画)

「ユウ、びっくりするから従魔が大きさを変えられるなら先に教えておけ」
「ごめんなさい。子犬になってるの見てるから知ってるかなって」
「小さくなれるのは知ってるけどね。あんなに大きくなれるんだね」
「もっと大きくもなれますよ。ここでやるとセーフティーエリアが狭くなっちゃいますけど」
「いや、やらなくていいからな……」
(((聞いちゃいけないやつだった)))


◆カークトゥルス 下層1つ目のフロアボス部屋(18. ピザのお披露目)

「あれは、どうしたんだ?」
「今日は牙しか使わない気分らしいです」
「そ、そうか……」
(((牙だけで充分倒せるってことか)))
「オモチャの引っ張り合いしてるみたいですね。それ用のロープとか用意したほうがいいかな?」
(((いやいやいや、そんなかわいいもんじゃないぞ)))
「それとも歯が痒いのかなあ」
(((歯が生えかけの子どもじゃないからな?!)))


◆カークトゥルス下層(18. ピザのお披露目)

「冒険者の獣道だが、1か月ここを占有したい」
「ギルドから聞いている。引き揚げ準備をするので、少し待ってほしい。氷花は一緒ではないのか?」
「1つ上にいるよ。お互い明日の朝出発でいいかな?」
「承知した」
「タム、ガリドラ、上に行って、明日の朝ユウたちと一緒に来てくれ」
「分かった」

「最下層のゴーレムを倒すコツを聞いても?」
「根性だな。足の関節を狙って倒すのがセオリーだが、あんたたちだってそれくらい知ってるだろ」
「人族中心なら、大人数で挑戦して交代で休むのがいいんじゃない?ここのボスは入る人数で強さが変わるようなことはないようだし」
「マジックバッグ収集に本腰を入れているのはユウのせいだろう?」
「まあ……」(苦笑)
「お偉いさんは現場のことは分からずに言いたい放題するもんね。まあユウも一緒だけど」
「現場にいるユウのほうが、たち悪いだろ」
「本人に悪気はないんだよ。Aランク越えたらすごく強いくらいしか分かってないから、許してやってね」
「軍は兵士がたくさんいるから楽勝だと思ってたみたいだしな」
(((え、冒険者なのにそれでいいの?!)))


◆カークトゥルスのセーフティーエリア(18. ピザのお披露目)

「ユウは?」
「寝た。ブランがついてるから問題ない」
「だいぶ体力が落ちてないか?」
「カイドで怪我をしてはポーションを使われていたせいで、ポーションなしで回復できなくなっていて、なかなか体力が戻らない。進みが遅くて悪い」
「いやそれは構わんが。無理してこなくてもよかったんじゃないか?」
「ブランのために来たかったようだ。あれ以来ずっとユウのそばにいるから」
「ああ、なるほど。モンスター相手にはっちゃけてるもんなあ」
「ここは人目がないからな。他のところだとそうもいかないから」


◆カークトゥルスのセーフティーエリア(18. ピザのお披露目)

「ユウくんにとってダンジョンは強制参加のピクニックなのかな」
「コンロはさすがにどうなんだ」
「食べるしか楽しみがないって、まあ分かるけど」
「ダンジョンって楽しむところじゃないよなあ」


◆カークトゥルス下層2つ目のフロアボス部屋(18. ピザのお披露目)

「コーチェロ、開けてみろ」
「俺たちでいいんですか?」
「ドロップ品拾い係だろ」
「これから1日4回、30日。開けるときのワクワクなんてすぐになくなるよ」
「ユウなんか、どうせマジックバッグ1個なのに宝箱に入れる意味が分からないって毎回文句言ってるからな」
「まあ、確かに……」


◆カークトゥルスのセーフティーエリア(19. 付与の新商品開発)

「ユウくんのおかげで上級ダンジョンの最下層に来ることを何とも思わなくなってるけど、これ実はすごいことだよな」
「カークトゥルスだしな。帰ったらいろいろ聞かれるぞ」
「でも、ユウくんじゃないけど、魔剣で切った、従魔が倒した、以上に言えることあるか?」
「獣道とアルさんが魔剣で無双してた、でみんな納得するだろ。従魔は……、ボスで遊んでたって言えない」
「周りが強すぎるから、ユウくんはモンスターの強さが分からないんだって納得したわ。あんなに簡単に倒されたら、危険なんて一切感じないだろ」
「だな」
「後、ホントに宝箱を開けるワクワクなんてなくなったな」
「あそこまでくると、なんつうか、ただの作業だな」
「見た目もただのバッグだしな」
「ユウくんが気軽に人にあげちゃうのも、仕方ない気がする」
「すごい買取金額になるんだろうけど、毎日見てると有難味ってものがないもんな」


◆カークトゥルスの最下層ボス部屋(19. 付与の新商品開発)

「シリウス、3人で宝箱を開けて見ろ。2度とないだろうからな」
「え、毎年参加してよ」
(((いやいや、それはさすがにない)))
「ユウ、2か月あれば、シリウスはもっと稼げるだろう?それに魔石とマジックバッグを集めているだけでは彼らの経験にならないだろう?」
「そうだけど……」
「ユウ、友達なら、シリウスのためにならないことはやめろ」
「正論過ぎて反論できない……」
(((今年はユウの精神安定のためって理由があったけど、毎年になったらさすがにシリウスへの妬みがひどいことになるからな)))


◆モクリークの冒険者ギルド長会議(19. 付与の新商品開発)

「ミンギ出身のパーティーが、獣人など連れていないで自分たちを連れて行けと、テイマーに絡んだらしい。テイマーが本気で怒っていたと見ていた冒険者からの報告があった。当のパーティーは武器が壊れて引き上げてきた」
「武器が壊れた?」
「テイマーは天罰だと言ったらしいが、おそらく従魔だろう」
「ただのアホだな。獣道との仲の良さを知らないのか、そんなことはどうでもいいのか」
「ユウさんは大丈夫そうでしたか?」
「獣道とシリウスに宥められて落ち着いたらしい」
「処分はどうする?彼らが地上に帰ってきてからにするか?」
「複数のパーティーの目撃証言があるなら、今すぐでいいんじゃないか。地上に帰ってくる前に追放したほうが面倒がないだろう」
「今後はモクリーク内のギルドの推薦状を持っていなければ許可を出さないとしてはどうだ。そんなパーティーならどこも推薦状を出さないだろう」
「それはいいな。3年の条件を満たす間にしっかりモクリークに貢献しているパーティーだけに絞れる」


◆サネバの街(19. 付与の新商品開発)

「ギルドで教会が治癒魔法やってるぞ」
「マジか、ここに教会の人がくるって初めてじゃないか?」
「俺いいドロップで金があったから、怪我治してもらいに行ってきたんだが、めっちゃ偉いんじゃないかって感じの人が治癒魔法使ってくれた。で、綺麗に治った」
「高かったんじゃないか?」
「いや、普通の値段だった」
「来てるの、司教らしいぞ」
「司教って?」
「司教様は冒険者でいうならAランクだな。大司教様がSランクだけど、国で1人だけだ」
「お前詳しいな」
「俺、孤児院出身だから。Cランクの助祭様が世話係で、責任者がBランクの司祭様だった」
「俺の村は小さかったから教会には助祭さん1人だったけど、助祭ってCランクなのか。それで教会任されるって大変だな」
「でもなんでそんな大物が教会のないここに来てるんだ」
「カークトゥルスに氷花がいるからだろ」
「あー、あれか。もふらーテイマーガチギレ案件」
「間違ってないが、あってもない気がする」
「教会の人、兎のお付きがいたぞ」
「教会もテイマーシフトか」
「そういえば、テイマーが神の御使いじゃないかって、一部で噂になってるらしい」
「あの神罰って、本当に神罰なのか?あの従魔じゃないのか?」
「でも教会がこれだけでばってくると真実味があるな」
「違うだろ。御使いがあんなどんくさいか?」
「……」
「……」
「……」
「違うな」
「ただの噂だな」
「きっと本人を知らないやつが言ったんだな」


◆モクリークの中央教会と王宮(20. 共に未来へ)

「料理長、最近王宮に出入りされていたようですが、何か珍しい果物はありましたか?」
「南の国の果物が入ってたが」
「ユウ様が発熱されて、凍らせた果物をご所望です。よさそうなものがあれば手に入れてきて下さい」
「分かった。他に食べられそうなものはあるか?」
「今は冷たい果物だけです」
「ちょっと王宮行ってくるわ」

「あれ、前料理長どうされたんですか?氷花がダンジョンから帰ってくるからしばらく来れないって言ってませんでした?」
「ちょっとな。南の果物、貰っていくぞ」
「え?あれは王族にお出しするもので」
「坊ちゃんが熱を出して、冷たい果物しか受け付けないんだ。気に入ったのがあったらまた貰いに来るわ。それまでに取り寄せておけよ」
「いや、ちょっと、それは、あ、待って、持って行かないで!」
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