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続 4章 この世界の一人として
14-8. 果物回収ボックス
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今日寝る予定のセーフティーエリアに入ると、なんとかテントを張るスペースを確保することができた。というか僕たちを見た他の冒険者たちが、自分たちのテントを詰めて、スペースを空けてくれたのだ。アルに聞くと、リネと一緒に潜るようになってからは、こういうことが多いらしい。入れないからと別の階層に行かれるくらいなら、自分のスペースが狭くなってもリネにいてほしい。みんなリネを近くで見たいのだろう。
そのリネは、プリンを食べると、セーフティーエリアを出ていった。次の日の朝の出発まで、自由にダンジョン内を飛び回っているそうだ。ブランによると、一応アルに何かあったらすぐ戻れる距離にはいるらしい。ブランもときどき、僕が寝ている間にセーフティーエリアやテントに結界を張って、遊びに行っていたから、暇つぶしなんだろう。
「ブランも行く?」
『気にするな。そばにいるから安心しろ』
「ありがとう。ブラッシングするね」
僕にとっては久しぶりで、リネが来てから初めてのダンジョンだから、離れないと言ってくれた。
いつも守ってくれてありがとう。ブランが満足するまでブラッシングをしよう。でもその前に、もふもふもふ。
上層、中層はあまり戦闘せずに通り過ぎて、下層に入ったあたりから、モンスターを探して戦闘をしている。
リネが果物を食べると分かってから、ティグ君が張り切ってモンスターを倒して、リネにドロップ品を献上している。
ティグ君は、離れたところから小さな氷の槍を飛ばして攻撃して足を止め、相手がひるんだすきに一気に距離を詰めて爪で斬る。ブランによると、爪には物理的な攻撃だけでなく、もともと使えた風の魔法も一緒に乗っているらしい。でもティグ君は魔法を使っている自覚はないので、生まれ持った才能なんだろう。羨ましくなんかない。
ティガーの三人は、剣士と魔法使いとテイマーの三人組だけど、テイマーさんは魔法よりも剣のほうが得意なので、どちらかというと物理攻撃が得意なパーティーだったのが、ティグ君が氷魔法を使うようになって物理と魔法のバランスが取れたそうだ。
『美味しいの、出てこーい!』
「ギャオーン!」
リネは鋭い風を起こして、かまいたちみたいな攻撃をモンスターのいるあたりに向け広範囲に飛ばしている。これが巻き込まれないように冒険者が逃げる原因だろう。ティグ君はときどき当たってしまってはいるものの、気にせず突っ込んでいっているので、アルがテイマーさんにポーションをあげている。
「ティグ君すごいねえ」
『(氷魔法を上手く使いこなしているな)』
「リネも、なんというか、楽しそうだね」
『(あやつは細かい制御は苦手だからな)』
そんなリネとティグ君の活躍で、人間はドロップ品を拾うだけだ。みんな拾ったドロップ品を僕のところに持ってきてくれるから、僕は渡された果物を収納する以外にやることがない。というか、リネの攻撃に巻き込まれる可能性があるので、僕は近寄ることも許されていない。ブランが守ってくれるからリネの攻撃は当たらないはずだけど、もし当たったらリネとブランの戦いが始まってダンジョンが吹き飛びそうなので、大人しくしておこう。
「いつもあんな感じ?」
「いや、普通はすぐに飽きる。ここは果物だからな」
ブランのように戦闘を楽しむのではなく、リネはモンスターやドロップ品に興味があって戦っている。強い相手だと戦闘も楽しいらしいけど、リネが満足するような相手はなかなかいない。だから、興味がなくなったら、戦闘自体しなくなる。そうなると、暇そうにアルの肩に止まっていたり、ダンジョン内を探索しに行ったりするのだと、アルが教えてくれた。
獣道はそんなリネにも慣れたので、リネが楽しそうなときは見守っていたり、リネの興味のなさそうな階層は早めに通過したりと、付き合ってくれているらしい。
そんな話をしていたら、一組の冒険者が、手に果物を持って近づいてきた。アルが僕の近くに来たタイミングを見計らって、声をかけにきてくれたようだ。
「もしよかったら、この果物をもらってほしい」
「これは?」
「ここの階層のドロップ品で、拾う予定はなかったんだが、食料を孤児院に寄付したって聞いたんで」
「あの、お名前を聞いてもいいですか? 教会に伝えておきます」
「そんな大したものじゃないからいいよ」
「じゃあ、俺たちは先に進むから」
そういうと冒険者たちは、リネから離れるように大きく迂回して下層に向かって進んでいった。
時間停止のマジックバッグを持っていなければ、余分に拾っても邪魔になるし、寄付する前に傷んでしまう。だから、出会ったモンスターを倒してもドロップ品を拾うつもりはなかったけど、僕たちがここにいるのを見て、有効活用してもらえると思い、拾ってきたそうだ。帰ったらちゃんと教会に渡すのを忘れないようにしよう。
ちなみに、このやり取りが広まって、僕はこの先いろんな冒険者から果物を渡されることになった。僕たちがいるという情報が広がって、拾う予定のなかった果物が拾われ、僕に集まってくる。それ自体はいいことなんだけど、なんだかリサイクルボックスになった気分だ。
そのリネは、プリンを食べると、セーフティーエリアを出ていった。次の日の朝の出発まで、自由にダンジョン内を飛び回っているそうだ。ブランによると、一応アルに何かあったらすぐ戻れる距離にはいるらしい。ブランもときどき、僕が寝ている間にセーフティーエリアやテントに結界を張って、遊びに行っていたから、暇つぶしなんだろう。
「ブランも行く?」
『気にするな。そばにいるから安心しろ』
「ありがとう。ブラッシングするね」
僕にとっては久しぶりで、リネが来てから初めてのダンジョンだから、離れないと言ってくれた。
いつも守ってくれてありがとう。ブランが満足するまでブラッシングをしよう。でもその前に、もふもふもふ。
上層、中層はあまり戦闘せずに通り過ぎて、下層に入ったあたりから、モンスターを探して戦闘をしている。
リネが果物を食べると分かってから、ティグ君が張り切ってモンスターを倒して、リネにドロップ品を献上している。
ティグ君は、離れたところから小さな氷の槍を飛ばして攻撃して足を止め、相手がひるんだすきに一気に距離を詰めて爪で斬る。ブランによると、爪には物理的な攻撃だけでなく、もともと使えた風の魔法も一緒に乗っているらしい。でもティグ君は魔法を使っている自覚はないので、生まれ持った才能なんだろう。羨ましくなんかない。
ティガーの三人は、剣士と魔法使いとテイマーの三人組だけど、テイマーさんは魔法よりも剣のほうが得意なので、どちらかというと物理攻撃が得意なパーティーだったのが、ティグ君が氷魔法を使うようになって物理と魔法のバランスが取れたそうだ。
『美味しいの、出てこーい!』
「ギャオーン!」
リネは鋭い風を起こして、かまいたちみたいな攻撃をモンスターのいるあたりに向け広範囲に飛ばしている。これが巻き込まれないように冒険者が逃げる原因だろう。ティグ君はときどき当たってしまってはいるものの、気にせず突っ込んでいっているので、アルがテイマーさんにポーションをあげている。
「ティグ君すごいねえ」
『(氷魔法を上手く使いこなしているな)』
「リネも、なんというか、楽しそうだね」
『(あやつは細かい制御は苦手だからな)』
そんなリネとティグ君の活躍で、人間はドロップ品を拾うだけだ。みんな拾ったドロップ品を僕のところに持ってきてくれるから、僕は渡された果物を収納する以外にやることがない。というか、リネの攻撃に巻き込まれる可能性があるので、僕は近寄ることも許されていない。ブランが守ってくれるからリネの攻撃は当たらないはずだけど、もし当たったらリネとブランの戦いが始まってダンジョンが吹き飛びそうなので、大人しくしておこう。
「いつもあんな感じ?」
「いや、普通はすぐに飽きる。ここは果物だからな」
ブランのように戦闘を楽しむのではなく、リネはモンスターやドロップ品に興味があって戦っている。強い相手だと戦闘も楽しいらしいけど、リネが満足するような相手はなかなかいない。だから、興味がなくなったら、戦闘自体しなくなる。そうなると、暇そうにアルの肩に止まっていたり、ダンジョン内を探索しに行ったりするのだと、アルが教えてくれた。
獣道はそんなリネにも慣れたので、リネが楽しそうなときは見守っていたり、リネの興味のなさそうな階層は早めに通過したりと、付き合ってくれているらしい。
そんな話をしていたら、一組の冒険者が、手に果物を持って近づいてきた。アルが僕の近くに来たタイミングを見計らって、声をかけにきてくれたようだ。
「もしよかったら、この果物をもらってほしい」
「これは?」
「ここの階層のドロップ品で、拾う予定はなかったんだが、食料を孤児院に寄付したって聞いたんで」
「あの、お名前を聞いてもいいですか? 教会に伝えておきます」
「そんな大したものじゃないからいいよ」
「じゃあ、俺たちは先に進むから」
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時間停止のマジックバッグを持っていなければ、余分に拾っても邪魔になるし、寄付する前に傷んでしまう。だから、出会ったモンスターを倒してもドロップ品を拾うつもりはなかったけど、僕たちがここにいるのを見て、有効活用してもらえると思い、拾ってきたそうだ。帰ったらちゃんと教会に渡すのを忘れないようにしよう。
ちなみに、このやり取りが広まって、僕はこの先いろんな冒険者から果物を渡されることになった。僕たちがいるという情報が広がって、拾う予定のなかった果物が拾われ、僕に集まってくる。それ自体はいいことなんだけど、なんだかリサイクルボックスになった気分だ。
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