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もふもふ-5. 子犬おまけ *

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 お風呂から出て寝る準備をして、さあ寝ようと何も考えずブランのお腹に寝転がった。

『まだここで寝るのか?』
「あれ、何にも考えずにここに来ちゃった」
『アルが悲しむぞ』

 アルと寝るのが嫌なわけじゃなくて、ここ15日ほどの癖で動いてしまっただけだ。ブランのもふもふのお腹に埋まって寝るのが習慣になっていたからだ。
 でも一度もふもふに触れると離れがたく、しばらくと思ってブランのお腹でごろごろしていると、お風呂をさっと終えたアルが出てきた。

「ユウ、そこで寝るのか?」
「ううん、ブランに甘えているだけ」

 アルが苦笑しているので、もしかしたらブランのお腹で寝ようとしたのがばれているかもしれない。ここはアルにも甘えよう。

「アル、ベッドに連れて行って」
「仕方ないな」

 アルが僕を抱き上げて、寝室に運んでくれる。子狼だったときはちょっと怖かった高さも、今は平気だ。
 ベッドにそっと置かれたと思ったら、アルが僕を上から押さえ込んできた。

「アル?」
「ブランばかりに甘えているのを見ると妬ける。家族にはそうやって甘えるのが普通なのか?」

 アルは、甘えたいけれど、よく見せたい相手だ。一方ブランは、何をしても許されると思って一方的に甘えている、それこそ子狼の時のように感じた父親のような相手だ。
 そう思って気づいた。
 産まれてすぐ孤児院で育てられたアルには家族がいなかった。しかも、問題のある孤児院で、子どもは労働力としてしか見られておらず、働かなければご飯をもらえなかったと聞いている。

「ブランはね、最初から家族で何をしても最後には許してくれる存在だと思ってる。でもアルは、ふたりで家族を作っていく相手だから、嫌われたくないしカッコつけたい気持ちもある。でも甘えたいし、甘えられたい」
「俺もユウには嫌われたくないが、甘えるというのがよく分からない」
「アルは僕に愚痴を言ったり、僕より自分を優先したりしないけど、していいのにって思う」

 そう、アルはいつだって僕を優先してくれる。だけど、アルにだって本当は譲れないことがあるはずだ。育った環境のせいでアル自身も認識できていないだけで。
 昔アルは望むことが苦手だと言っていたけれど、何か自分から望むものを見つけてほしい。

「俺はユウがいてくれるだけで十分だから」
「僕にしてほしいこととか、やめてほしいことはないの?」
「……一緒にいるのが辛いと言わないでくれ」

 僕が一度アルから離れようとしたことは、アルを大きく傷つけた。あの時僕は自分のことに精一杯だったけれど、そのことがアルを傷つけていい理由にはならない。

「ごめんなさい。謝って済むことじゃないけど、ごめんなさい。それから、僕の言葉に傷ついたんだって言ってほしい」
「もう終わったことだろう。ユウはこうして戻ってきてくれた」
「それでも、アルの心が傷ついたことは無くならないよ。僕のせいでも、僕のせいじゃなくても、アルが傷ついたことは僕だって知っておきたい。僕のせいなら直すから」

 我慢しないでほしい。ひとりで我慢して、いつか愛想が尽きて捨てられることが怖い。
 アルとこの世界で生きていくと決めたのだから、ふたりでちゃんと関係を築いていきたい。先に一度関係を切ろうとした僕が言えることじゃないけど。

「教会でもユウに触れたい」
「……いいよ」

 僕が教会内で触れられることを避けていることに気づいているアルは、今まで触れてこなかった。教会は神聖な場所という意識が強く、なんとなくそういうことをするのがはばかられたのだ。襲撃にあって以降ずっと教会のお世話になっているので、ダンジョン攻略等で中央教会から出たときしか機会がなく、僕の体調を気遣ってくれるので、襲撃以降は片手で数えられる。
 このまま教会のお世話になり続けるのならば、僕の羞恥心はいつか越えなければいけないことだ。
 この世界の聖職者は妻帯禁止などの規則はないみたいなので、僕の気持ちの問題だ。

 僕を見下ろすアルの首に手をまわして、僕からキスを贈る。嫌なわけじゃないんだ。ただちょっと神様にすべてを見られている気がして、恥ずかしいだけで。

「無理していないか?」
「してないよ。恥ずかしいだけだよ」
「俺はユウが俺のものだと見せつけたい」

 アルがちょっと好戦的な顔をしている。何かのスイッチが入ってしまったみたいで、こういう時は要注意だ。
 そう思っているうちに、服をパパっと脱がされて、さらに自分の服も脱いで、一気に夜の雰囲気へと持ち込まれた。ブランはすでに寝室から出ている。

「今日は俺の好きにしていいか?」
「久しぶりだから優しくしてほしい、な」
「努力する」

 ああ、ダメだ。にやりと笑ったアルは、完全に意地悪モードになっている。
 こうなると、僕のお願いは一切聞いてもらえない。アルの好きに喘がされ、泣かされるのだ。
 明日はお昼には起き上げれるといいなあ。


「あっ、まって」
「ユウ、可愛いよ。俺の手で感じているのが、とても可愛い」
「アル、やあっ」
「ここが気持ちいいんだな。もっと感じろ」

 意地悪モードになったアルは言葉でも僕をいじめてくる。
 それが嫌なわけではないけど、まだ理性が飛んでない状態で自分の乱れっぷりを指摘されるのは恥ずかしい。
 いつもの優しさを隠す野性味のある表情も好きだけど、過ぎる快感にやめてと懇願しても取り合ってくれないのはつらい。アルが満足するまで僕はされるがままに泣く羽目になる。

「ほしいって言ってごらん。そうしたらユウの欲しいものをやろう」
「あっ、おねがい、もう……ほしい」
「何が欲しいんだ?ユウ、それじゃ分からない。ほら、こんなに腰をゆらして」
「いや、おねがい、ちょうだい」

 欲しいのに、アルが決定的な快感を与えてくれない。でも理性がまだ残っている状態では恥ずかしくて口に出せない。今更って思うけど、でも恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
 その時アルが僕と身体を入れ替えた。あっという間に僕はアルのお腹の上に座らされている。

「言えないなら、自分でやってごらん」
「そんなっ」

 アルの手でオイルをなじませられ、もういつでもアルを受け入れられるようになっているところが、物欲しげにうずく。身体のほうが正直だ。
 片隅に残っている冷静な自分が、このオイルを用意したのは誰なのか、と考えてしまった。僕の意識がアルから逸れたことに気づかれてしまう。

「ユウ、考え事か?余裕そうだな」
「ちがう!」
「じゃあできるな。ほら、自分で入れてみろ」

 ダメだ。アルの意地悪がどんどんエスカレートしていく。このままだと何をさせられるか分からないから、意を決して自分から受け入れようと動いた。
 アルのものを手で押さえて自分の後ろに宛がい、少しずつ体重をかけて受け入れていく。

 越えるときにすごく感じてしまうところで、思わず僕が止まってしまったことに気づいたアルが、小さく、本当に小さく小刻みに動いた。

「まって、だめ、そこだめなのっ」
「知ってる。でも待てない。こんな生殺しで耐えられるわけないだろう」
「いや、まって!」
「だったら思い切って奥まで入れてみろ」
「いやあっ!」

 アルがちょっと強く押して、でもまた腰を引いてしまった。どうして。そのまま入れてくれればいいのに。
 焦らされて、今の体勢で止まっているのも足の筋肉が疲れてきて限界で、思い切って入れようと腰を落としてみたけれど、強く感じて腰が引けてしまう。

「ああっ!だめっ!!」
「ユウ、一人で遊んでないで俺のことも気持ちよくしてくれ」
「できないっ。アル、おねがい」
「出来るだろう。頑張れ。そのまま腰を落とすだけでいい」

 このまま腰を落とすだけだ。そうだ。足の力を抜けば、いいんだ。

「あああーーーーーーっ!」
「くっ、早すぎだぞ、まだイくな」
「いやあぁぁ!だめっ!!」

 アルのものが奥の気持ちいいところにあたってしまって、びくびくと動く身体がもはや自分のものじゃないようで、制御できない。

 気づくとアルに組み敷かれて、ガンガンと腰を打ち付けられていた。喘ぎ続けたせいで、もう声が出ない。

「ユウ、はあっ、気付いたか?」
「……ぁ、る?」
「イきすぎだ。それじゃ、くっ、最後までもたないぞ」
「ぁーーーーーーーっ!」

 待って、もうイきたくない。でも快感が止まらない。アルが動くたびに、お腹の奥で何かがあふれてはじける。もうこれ以上受け止められないのに、それでも内側からたたきつけられて、否応なく受け取らざるを得ない。もうやめて。

「ユウ、愛してる。だから俺を受け入れて」
「……ある、ぁいして、る」
「飛ぶなよっ」
「ぁぁあぁっーーーーーーー!」

 そこから先の記憶はない。


 結局2日後まで起き上がれなかった。
 アルが満足そうに世話を焼いてくれるのでそれだけが救いだ。
 けれど、僕の体調確認に部屋に来てくれるチルダム司教様とツェルト助祭様の視線が心なしか生ぬるい感じがするのは、僕の被害妄想だろうか。
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