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最終章 手を携えて未来へ
10-2. 料理教室開催
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「いよいよ明日だね。たくさん売れるといいね」
「売れるだろう。値段もそんなに高くないしな」
明日から教会で、僕がクリーンを付与したテントが売り出される。新しいことを始めるには最適な、新芽が芽吹く春だ。
発売の日、何か騒動になってもいけないので、僕たちは少し前からカザナラの別荘で休暇中だ。
ついに教会での付与商品の販売が始まる。その最初の商品がクリーンを付与したテントだ。孤児院出身の子たちが作ったテントに僕が付与したものを、教会内の一角に作った店舗で売るのだ。もちろん店員も孤児院出身の子だ。
今はまだ付与した商品を提供するのは僕だけだけど、いずれ付与魔法スキル持ちの子が集まれば商品も増えていく予定だ。育成のために教会が魔石を集めているので、見つかればすぐにでも訓練が開始されるだろう。あの女の子も、成人してスキル鑑定したら、教会が張り切って育ててくれるはずだ。
僕はダンジョンのセーフティーエリアの衛生環境改善のためにクリーンを付与したテントを商品化することを、アイスの魔石よりも前から考えていた。けれど、ホトでのあふれの際の領兵とのトラブルがあって、テントの商品化は延期していた。
アイスの魔石は、付与スキルではなく付与魔法スキルでもできるので、僕の名前を隠して売っている。けれど魔力を内包しない布を使ったテントに付与ができるのは、上位スキルである付与スキルだけなので、僕が付与したとバレてしまう。
この販売開始は、僕のホト派遣見送り期間の終わりに合わせている。
ホトでは、あふれの対応中に、領兵の1人が僕に武器へ付与をしてほしいと迫り、僕はカイドでの辛い出来事を思い出してパニックを起こしてしまった。それを受けて、ギルドはホトへは向こう5年間、たとえあふれが起きても僕を派遣しないと宣言した。
その派遣見送りの期間がこの夏で終わる。僕が希望すれば見送り期間は伸びるけど、伸ばさないとギルドにはすでに伝えてある。
あの領兵は街の中に取り残されていた家族を助けたくて必死だった。だから彼に対して思うことは特にないし、僕がパニックを起こさなければあんな大ごとにはならなかっただろうという申し訳ない気持ちも少しある。
夏を待たなかったのは、これから暑くなる季節にクリーン付与のテントを普及させるためだ。
そして今回、教会での付与商品の販売開始に合わせて、冒険者ギルドから、僕が武器に付与しないこと、そしてその理由として過去にカイドのギルドが僕に何をしたのかが、発表される。
僕はノーホーク国のカイドで、武器への付与を強要され、しかも自分が付与したその剣で斬られた過去がある。
ノーホークの冒険者ギルドからお見舞いという名の口止め料を貰っているので、その事実は公表せず、カイドで辛い思いをしたから付与はしない、としか言って来なかった。
ホトでのトラブルも、僕に接触しないというルールを破ったという名目でペナルティが課されただけで、付与のことは公表されていない。ただ、付与を迫ったのが原因だということは噂として流された。
カイドで実際に何があったかを話したのはブランとアルだけだ。獣道は多分僕を助けてくれたノーホーク国オモリでの調査の過程で知っただろうけど、僕から話したことはない。モクリークの王都ニザナのギルドマスターにはアルが伝えたので、モクリークのギルド上層部は知っているだろう。
今回テントが発売されれば、僕に対して武器への付与を求める声が上がるだろうということは、教会もギルドも予想している。
僕は頼まれてもきっと付与はできない。けれど理由を伏せていては納得してもらえそうにない。そこで、過去のことを公表してもよいかと、冒険者ギルドから打診があった。
正直言って、僕は過去のことを公表してほしくない。
僕自身が忘れたいし、過去を知った人たちの態度が変わるのも怖い。憐みの目で見られるのではないか、自己責任で冒険者をやっているのに情けないと言われるんじゃないか、騙された方が悪いと言われるんじゃないか、と不安だ。
けれど、ホトで領兵から求められたように、おそらく国の内部にも武器の強化を求める声があって、それを抑える方法が他にないのだろう。いろいろと僕の希望をくんでくれるギルドが提案してきたということは、そういうことなんだと思う。
ちなみに公表に当たっては、事前にモクリークのギルドがノーホークのギルドに許可を取ってくれたそうだ。
付与での商売をやめれば、こんな思いをすることはないのだろう。けれど、やってみたら使えたアイテムボックスと違って、付与は魔力操作訓練を頑張ってやっとまともにできるようになった、いわば自分で育て勝ち取ったスキルだ。
ここでやめてしまうのは、カイドでの出来事に屈するようで嫌だ。
「ユウ、大丈夫か?」
「うん」
「ユウ、嫌ならやめてもいいんだ。無理することはない」
「大丈夫。でも今日はブランも一緒に寝ていい?」
「ああ、もちろんだ」
僕を抱いているアルごと、ブランがさらさらの毛で包んでくれる。
ふたりがいれば大丈夫。そう言い聞かせても、なかなか眠気は訪れなかった。
教会からテントが発売された。
といっても、カザナラのお屋敷の中、春の花が咲き始めた庭でブランとのんびりと鳥や小動物を眺めて、アルとブランとサジェル以外とは顔を合わせない僕には、なんの情報も入ってこない。
こんなにやることもなくダラダラしているのは、久しぶりだ。そろそろ何もしないことに飽きてきたけど、かといって外に出るのは、人に会うのはちょっと嫌だ。どうしようかなと考えて、思いついた。
「サジェル、料理を習いたいんだけど、手が空いている人いる?」
「料理ですか。どのようなものをご希望ですか?」
「ダンジョンの中で簡単な料理が出来たらいいなと思って」
それを聞いて、サジェルがアルを見た。やっぱりダンジョンで料理をしようと思うのは非常識なのか。
「フルコースを用意させましょうか?」
「今の食事に不満があるわけじゃない。ユウはダンジョンのセーフティーエリアで気晴らしに料理がしたいだけだ。何か簡単にできるものを教えてやってほしい」
サジェルがお屋敷の料理人と相談してくれることになったので、近いうちに料理教室が開かれるはずだ。
ちなみにどれくらい料理の経験があるか聞かれたけど、僕は包丁を握った経験が学校の調理実習くらいしかない。家では危なっかしいからと握らせてもらえず、もっぱらピーラーで野菜の皮をむく係だった。
今も果物の皮をむいたり切ったりするのは、アルがやってくれる。こっちのナイフは使いづらいのだ。僕が不器用なわけじゃない。
そして翌日、料理教室開催だ。チャララッチャッチャッチャラ~♪
作るのは、サンドイッチ。先生は、なんと料理長だ。
「ユウ様はアイテムボックスがありますから、具材をすべて用意しておいて、ダンジョンでお好きなものを挟んでお召し上がりなるといいでしょう」
目の前に並ぶのは、後は挟むだけになった、パンと具材だ。具材は全て切ってあるし、お肉は焼いてある。
これは、完全にダメな子扱いされているな。
アルとふたり、料理長に教わりながら、といってもパンが水分を吸わないようにバターを塗りましょう以外に教わることはないけど、パンに具を挟んでいく。量が多すぎてこぼれたり、ブランの要望に応えるとお肉しかなくて色合いがよくないと料理長にダメだしされたりしながら作っていく。調理実習みたいで楽しい。
挟んだものを料理長が切ってくれるけど、料理長が作ったものは断面がとても綺麗なのに、僕たちが作ったものは具が偏っていたりといかにも素人が作りましたって感じになる。サンドイッチ、実は奥が深いんだな。
楽しく料理と言っていいのかは微妙な料理をして、出来上がったサンドイッチはそのまま僕たちの昼食になって、美味しく食べた。
今後のために、料理長が今日僕たちが気に入った具材を大量に用意してくれるらしい。カークトゥルス攻略中の気分転換になりそうだ。
「あのお肉を簡単に焼くことはできますか?」
「コンロを持って行って、焼くということですか?」
「持ち運べるコンロがあるなら、できるかなと思って」
アルが苦笑しているけど、目の前で焼けるのを見るのは楽しいと思うのだ。切るのは危ないにしても、焼くのは大丈夫でしょう。何かあってもブランが全部まとめて凍らせてくれるだろうし。
料理長が考えてみますね、と言ってくれたから、できるかもしれない。楽しみにしておこう。
そして数日後、コンロが用意できたからと、料理教室2回目が開催された。
「こちらのコンロは魔石が燃料になっていまして、炎が出ないので安全です。王宮のガーデンパーティーでも使われるものです」
そういえばこの料理長、王宮の料理人だったんだ。こんなことさせていい人じゃない気がする。
コンロは、魔石をセットすると上に置いた鉄板が熱くなるという、僕の知識でいうとホットプレートだ。
そこで焼くのはピザである。薄く広げた生地の上に、ソースを塗って、具材を載せていく。もちろん具材はすべてカット済み。お肉はすでに火が通っている。お肉を生から焼くのはお腹を壊す可能性があるから許可が出なかったのか。やっぱりかなりダメな子だと思われてる。
でも、自分の好きなピザを作るのはとても楽しかった。生地がぷくっと膨らむのを見るのも、ぐちゃぐちゃの具ののせ方に笑いあうのも。
これは是非ともダンジョンで作りたい。
「ユウが気に入ったようなので、このコンロをいくつかと、生地と具材をたくさん用意してほしい」
「かしこまりました」
「あの、いつも美味しいお料理ありがとうございます」
王宮から冒険者の料理人って本人は納得しているのか不安になるけど、美味しいご飯を食べることができるのはとても嬉しい。ブランもここの料理は気に入っている。
いろいろ研究するのが楽しいので、何か食べたいものがあったら作ると言ってくれたので、待遇に満足してくれているといいな。
「売れるだろう。値段もそんなに高くないしな」
明日から教会で、僕がクリーンを付与したテントが売り出される。新しいことを始めるには最適な、新芽が芽吹く春だ。
発売の日、何か騒動になってもいけないので、僕たちは少し前からカザナラの別荘で休暇中だ。
ついに教会での付与商品の販売が始まる。その最初の商品がクリーンを付与したテントだ。孤児院出身の子たちが作ったテントに僕が付与したものを、教会内の一角に作った店舗で売るのだ。もちろん店員も孤児院出身の子だ。
今はまだ付与した商品を提供するのは僕だけだけど、いずれ付与魔法スキル持ちの子が集まれば商品も増えていく予定だ。育成のために教会が魔石を集めているので、見つかればすぐにでも訓練が開始されるだろう。あの女の子も、成人してスキル鑑定したら、教会が張り切って育ててくれるはずだ。
僕はダンジョンのセーフティーエリアの衛生環境改善のためにクリーンを付与したテントを商品化することを、アイスの魔石よりも前から考えていた。けれど、ホトでのあふれの際の領兵とのトラブルがあって、テントの商品化は延期していた。
アイスの魔石は、付与スキルではなく付与魔法スキルでもできるので、僕の名前を隠して売っている。けれど魔力を内包しない布を使ったテントに付与ができるのは、上位スキルである付与スキルだけなので、僕が付与したとバレてしまう。
この販売開始は、僕のホト派遣見送り期間の終わりに合わせている。
ホトでは、あふれの対応中に、領兵の1人が僕に武器へ付与をしてほしいと迫り、僕はカイドでの辛い出来事を思い出してパニックを起こしてしまった。それを受けて、ギルドはホトへは向こう5年間、たとえあふれが起きても僕を派遣しないと宣言した。
その派遣見送りの期間がこの夏で終わる。僕が希望すれば見送り期間は伸びるけど、伸ばさないとギルドにはすでに伝えてある。
あの領兵は街の中に取り残されていた家族を助けたくて必死だった。だから彼に対して思うことは特にないし、僕がパニックを起こさなければあんな大ごとにはならなかっただろうという申し訳ない気持ちも少しある。
夏を待たなかったのは、これから暑くなる季節にクリーン付与のテントを普及させるためだ。
そして今回、教会での付与商品の販売開始に合わせて、冒険者ギルドから、僕が武器に付与しないこと、そしてその理由として過去にカイドのギルドが僕に何をしたのかが、発表される。
僕はノーホーク国のカイドで、武器への付与を強要され、しかも自分が付与したその剣で斬られた過去がある。
ノーホークの冒険者ギルドからお見舞いという名の口止め料を貰っているので、その事実は公表せず、カイドで辛い思いをしたから付与はしない、としか言って来なかった。
ホトでのトラブルも、僕に接触しないというルールを破ったという名目でペナルティが課されただけで、付与のことは公表されていない。ただ、付与を迫ったのが原因だということは噂として流された。
カイドで実際に何があったかを話したのはブランとアルだけだ。獣道は多分僕を助けてくれたノーホーク国オモリでの調査の過程で知っただろうけど、僕から話したことはない。モクリークの王都ニザナのギルドマスターにはアルが伝えたので、モクリークのギルド上層部は知っているだろう。
今回テントが発売されれば、僕に対して武器への付与を求める声が上がるだろうということは、教会もギルドも予想している。
僕は頼まれてもきっと付与はできない。けれど理由を伏せていては納得してもらえそうにない。そこで、過去のことを公表してもよいかと、冒険者ギルドから打診があった。
正直言って、僕は過去のことを公表してほしくない。
僕自身が忘れたいし、過去を知った人たちの態度が変わるのも怖い。憐みの目で見られるのではないか、自己責任で冒険者をやっているのに情けないと言われるんじゃないか、騙された方が悪いと言われるんじゃないか、と不安だ。
けれど、ホトで領兵から求められたように、おそらく国の内部にも武器の強化を求める声があって、それを抑える方法が他にないのだろう。いろいろと僕の希望をくんでくれるギルドが提案してきたということは、そういうことなんだと思う。
ちなみに公表に当たっては、事前にモクリークのギルドがノーホークのギルドに許可を取ってくれたそうだ。
付与での商売をやめれば、こんな思いをすることはないのだろう。けれど、やってみたら使えたアイテムボックスと違って、付与は魔力操作訓練を頑張ってやっとまともにできるようになった、いわば自分で育て勝ち取ったスキルだ。
ここでやめてしまうのは、カイドでの出来事に屈するようで嫌だ。
「ユウ、大丈夫か?」
「うん」
「ユウ、嫌ならやめてもいいんだ。無理することはない」
「大丈夫。でも今日はブランも一緒に寝ていい?」
「ああ、もちろんだ」
僕を抱いているアルごと、ブランがさらさらの毛で包んでくれる。
ふたりがいれば大丈夫。そう言い聞かせても、なかなか眠気は訪れなかった。
教会からテントが発売された。
といっても、カザナラのお屋敷の中、春の花が咲き始めた庭でブランとのんびりと鳥や小動物を眺めて、アルとブランとサジェル以外とは顔を合わせない僕には、なんの情報も入ってこない。
こんなにやることもなくダラダラしているのは、久しぶりだ。そろそろ何もしないことに飽きてきたけど、かといって外に出るのは、人に会うのはちょっと嫌だ。どうしようかなと考えて、思いついた。
「サジェル、料理を習いたいんだけど、手が空いている人いる?」
「料理ですか。どのようなものをご希望ですか?」
「ダンジョンの中で簡単な料理が出来たらいいなと思って」
それを聞いて、サジェルがアルを見た。やっぱりダンジョンで料理をしようと思うのは非常識なのか。
「フルコースを用意させましょうか?」
「今の食事に不満があるわけじゃない。ユウはダンジョンのセーフティーエリアで気晴らしに料理がしたいだけだ。何か簡単にできるものを教えてやってほしい」
サジェルがお屋敷の料理人と相談してくれることになったので、近いうちに料理教室が開かれるはずだ。
ちなみにどれくらい料理の経験があるか聞かれたけど、僕は包丁を握った経験が学校の調理実習くらいしかない。家では危なっかしいからと握らせてもらえず、もっぱらピーラーで野菜の皮をむく係だった。
今も果物の皮をむいたり切ったりするのは、アルがやってくれる。こっちのナイフは使いづらいのだ。僕が不器用なわけじゃない。
そして翌日、料理教室開催だ。チャララッチャッチャッチャラ~♪
作るのは、サンドイッチ。先生は、なんと料理長だ。
「ユウ様はアイテムボックスがありますから、具材をすべて用意しておいて、ダンジョンでお好きなものを挟んでお召し上がりなるといいでしょう」
目の前に並ぶのは、後は挟むだけになった、パンと具材だ。具材は全て切ってあるし、お肉は焼いてある。
これは、完全にダメな子扱いされているな。
アルとふたり、料理長に教わりながら、といってもパンが水分を吸わないようにバターを塗りましょう以外に教わることはないけど、パンに具を挟んでいく。量が多すぎてこぼれたり、ブランの要望に応えるとお肉しかなくて色合いがよくないと料理長にダメだしされたりしながら作っていく。調理実習みたいで楽しい。
挟んだものを料理長が切ってくれるけど、料理長が作ったものは断面がとても綺麗なのに、僕たちが作ったものは具が偏っていたりといかにも素人が作りましたって感じになる。サンドイッチ、実は奥が深いんだな。
楽しく料理と言っていいのかは微妙な料理をして、出来上がったサンドイッチはそのまま僕たちの昼食になって、美味しく食べた。
今後のために、料理長が今日僕たちが気に入った具材を大量に用意してくれるらしい。カークトゥルス攻略中の気分転換になりそうだ。
「あのお肉を簡単に焼くことはできますか?」
「コンロを持って行って、焼くということですか?」
「持ち運べるコンロがあるなら、できるかなと思って」
アルが苦笑しているけど、目の前で焼けるのを見るのは楽しいと思うのだ。切るのは危ないにしても、焼くのは大丈夫でしょう。何かあってもブランが全部まとめて凍らせてくれるだろうし。
料理長が考えてみますね、と言ってくれたから、できるかもしれない。楽しみにしておこう。
そして数日後、コンロが用意できたからと、料理教室2回目が開催された。
「こちらのコンロは魔石が燃料になっていまして、炎が出ないので安全です。王宮のガーデンパーティーでも使われるものです」
そういえばこの料理長、王宮の料理人だったんだ。こんなことさせていい人じゃない気がする。
コンロは、魔石をセットすると上に置いた鉄板が熱くなるという、僕の知識でいうとホットプレートだ。
そこで焼くのはピザである。薄く広げた生地の上に、ソースを塗って、具材を載せていく。もちろん具材はすべてカット済み。お肉はすでに火が通っている。お肉を生から焼くのはお腹を壊す可能性があるから許可が出なかったのか。やっぱりかなりダメな子だと思われてる。
でも、自分の好きなピザを作るのはとても楽しかった。生地がぷくっと膨らむのを見るのも、ぐちゃぐちゃの具ののせ方に笑いあうのも。
これは是非ともダンジョンで作りたい。
「ユウが気に入ったようなので、このコンロをいくつかと、生地と具材をたくさん用意してほしい」
「かしこまりました」
「あの、いつも美味しいお料理ありがとうございます」
王宮から冒険者の料理人って本人は納得しているのか不安になるけど、美味しいご飯を食べることができるのはとても嬉しい。ブランもここの料理は気に入っている。
いろいろ研究するのが楽しいので、何か食べたいものがあったら作ると言ってくれたので、待遇に満足してくれているといいな。
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