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8章 付与の商会の準備
8-7. 親友
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サネバの街を出て、王都へと向かう。
途中にある、僕のお気に入りの温泉街であるホオチカヤにはもちろん寄った。温泉も入った。まだ暑い季節だけど、そこは外せないよね。
「王都は遠いのか?」
「ああ、カザナラからサネバまでと同じくらいの距離だな」
「モクリークでかいな」
モクリークは大きいというよりも、東西に長い。モクリークの西側、カザナラのあたりは南をドガイと接しているが、サネバや王都ニザナのある東側はソント王国と接している。といっても間に山があるので、道は限られる。
僕とアルが出会ったのはソント王国なので、カリラスさんがソント王国はどんなところかと質問してくるが、僕のスキルをバラされて逃げ出したという記憶しかない。でも、オウル君のいるあの宿は良かったな。ウルドさんとオリシュカさんは元気かな。
「ソント王国は、国王の力が強いから冒険者ギルドでは抑えられずにユウが取り上げられるだろうと言われて、モクリークに来てからは行けてない」
「そんなことあるんだ」
「ドガイだって教会が動いてくれなければ、薬箱ダンジョンの攻略のために国がユウを奪いに来るだろう」
「たしかにな。ユウくん大変だな」
「でも、モクリーク内では自由にさせてもらってるので」
モクリークの王様は、僕がこの国を出て行っては困るからと、僕の希望に沿うようにしてくれているらしい。本当は王様に会ったほうがいいんだろうけど、王様と謁見とか一般市民の僕には荷が重すぎるので、遠慮している。ブランのほうが偉いんだろうけど、僕にとってブランは食いしん坊の優しい狼だ。
モクリークを出ても、モクリークのように快適に過ごせる国は今のところ他にないけど、でも本当に行くところがなくなったら、僕についてくるブランのために教会の人たちが国を作りそうな気もする。そんな迷惑をかけないように、モクリークとは上手くやって行きたい。
護衛の冒険者を雇うのに起点とするといい街や、冬でも比較的通りやすい街道などを説明しながら、王都へと向かって進んだ。
僕たちは国内をよく移動しているが、例えば目的のダンジョンがあったとしても、その道中にあるダンジョンも攻略することが多い。こんな風に移動自体が目的の旅行は初めてだ。
屋台でブランの鼻が嗅ぎつけた美味しそうなものを買って、その土地の名物を買って、景色のいいと聞いたところに寄って、完全に観光だ。冬になる前にカリラスさんをドガイに送り出さないといけないが、逆に言えば秋の間は楽しめる。カリラスさんのドガイでの仕事は信頼できる人に任せて来たそうなので、秋の間は旅行を楽しもう。
王都ではやはり外せない、観光の定番である中央教会の大聖堂と王宮前の広場を案内している。
「その、ウルフの出迎えがあったりするのか?」
「ないな。ブランの正体は明言はしてないから、こちらから言わない限り接触はない」
「教会はなんで気付いたんだ?」
「初めてドガイに行ったときに、ブランが怒って神気を隠さなかったからバレちゃったんです」
「ユウが子犬扱いしてブランを怒らせてしまったんだ」
カリラスさんの笑顔がひきつっているけど、あれは門を通るために仕方がなかったんだ。
ブランも一緒に見学がてらお祈りのために大聖堂に入ると、従魔連れということに驚いた周りの人がさりげなく道を開けてくれる。ブランを見て氷花だと、アイテムボックス持ちだとバレているのかもしれない。
モクリークの教会は、ドガイの教会と違って質実剛健だなと思っていたが、カリラスさんも同じように感じたようだ。
「モクリークは建物が頑丈だな。やっぱりあふれの影響か」
「だろうな。救助が来るまで教会に立てこもることもあるようだ」
建物の頑丈さもだが、モクリークに比べるとドガイのほうが装飾が繊細な気がする。作っても壊されてしまう可能性が高いと、あまり繊細な装飾を施したりしないのかもしれない。
この世界の神様に、新しく始める事業が上手くいくように、カリラスさんの移動が安全なものになるようにお祈りした。
ブランとアルと会わせてくれてありがとうございます。どうか、新しく始める事業が上手くいって、辛い思いをする子が1人でも減りますように。カリラスさんが安全にモクリークとドガイを行き来できますように。
教会を出て、王宮前の広場で王宮を眺めていたら、王宮への門の前の衛兵さんが明らかに僕たちを見ている。氷花だと気付いているようだが、ブランを連れていたらバレるのは仕方がない。王都に住んでいた時も王宮には極力近づかなかったので、ここに来るのは始めてだ。テレビで見るイギリスの衛兵さんのような高い帽子を被ったりはしていないけど、カチっとした服はカッコいい。あふれで会った軍の人たちはもっと実戦用の服だったので、新鮮だな。
「ユウくんは王様に会ったことあるの?」
「ないです。王様や貴族とは会いたくないって伝えてあるので、冒険者ギルドが会わなくていいようにしてくれました」
「王宮に入ってみたくないの?」
「建物は面白そうですけど、緊張するので」
世界遺産の観光の気分で王宮は見てみたい気がするが、絶対にそれだけでは終わらないので、入りたいとは思わない。あふれの対応で軍の施設に入ったことはあるが、あそこは王宮の敷地内ではあるが、裏というか端っこだったので、ノーカウントでいいだろう。
衛兵さんの視線に居心地が悪いので、早々に切り上げて王宮前から冒険者ギルドへと向かいながら、目に入る建物や、カリラスさんが来た時に泊まるのによさそうな宿を紹介していると、ブランからリクエストが入った。
「屋台に行っちゃうと遠回りになるから、ちょっと待ってよ」
「ウルフはなんて?」
「屋台のお肉が食べたいって。ブランのお気に入りのお店があるんです」
「へえ、旨いところなら知っときたいな」
カリラスさんの気遣いで、ギルドは明日にしてまずはブランのお腹を満たすことになった。食いしん坊め。
屋台広場のブランお気に入りのお店に行くと、すでに僕たちが王都に来たことが伝わっていたようで、多めに準備してくれている屋台もあった。ブランが食べたいという屋台を片っ端から周り、少しずつ僕たちも食べているが、食い倒れツアーみたいだ。アイテムボックスに収納しておくための大量注文も忘れずに、ウロウロしていると、ユラカヒ名物の魚を小さく切って串にさして焼いているお店を見つけた。ユラカヒは、潜っている最中にあふれたタペラがある街だ。
「4本ください」
「はいよ!あ、氷花の……」
「ユラカヒで食べ損ねたんです」
僕たちはダンジョン攻略後に名物を食べようと思ってたので、名物を味わうことができなかったのだ。店主さんはユラカヒの出身で、この魚はユラカヒから運ばれてきたものを使っているらしい。
焼きあがったものを受け取って食べると、ハーブが効いている鮭だった。白いご飯が欲しくなるな。ブランも気に入ったみたいなので、次にユラカヒに行ったときは、魚を丸ごと買っておこう。
故郷を守ってもらったからお代は受け取らないという店主さんに、その代わりに正規の値段で大量の注文をして、3日後に取りに来ることを約束した。
「いつもこんな買い方してるのか?」
「ブランは旨いものしか食べないんだ」
「宿といい食事といい、贅沢な生活してるな」
「ブランが稼いだ金だし、他に使う所もないしな。それにダンジョン内でユウが快適に過ごすためだ」
ダンジョンは快適さを求めるところじゃないだろうとカリラスさんがツッコんでいるが、快適じゃないと僕が帰りたくなるから仕方ない。ただでさえお風呂に入れないというマイナスポイントがあるのだから、他のところはせめて快適にしたい。
王都で大量の料理を買い込んだら、カザナラに向けて、今度は海沿いの街を通って戻って行く。
海沿いの街は魚料理が美味しいし、今まで通ってきた山側とは街の雰囲気も変わって陽気な感じで、カリラスさんとの旅を楽しんだ。
「俺、ドガイに帰って仕事に復帰できるかな」
「いつから始まるか分からないが、教会の手伝いもあるんだ。今の仕事をちゃんと引き継いでおけよ」
カリラスさんは、前回僕たちがドガイに行くために通った馬車の通れない山道を越えて行くことになった。そのための護衛も冒険者ギルドで依頼済みだ。
山の手前の街までアルと送って行くつもりだったが、今後の行き来もそのルートになりそうなので、試しにひとりで帰ると断られ、カザナラの別荘で見送りをしている。
「カザナラに来たら、僕たちがいなくてもここに泊まってくださいね」
「ユウくん、いい子だねえ。泊まらせてもらうよ。ありがとう」
僕と握手をした後、アルとハグをして、じゃあまたねと言って借りた馬車に乗り込み、あっさりと旅立って行った。未だに僕が慣れない冒険者スタイルの別れだ。
この2か月ほどで、カリラスさんの面倒見の良さが、育ちのせいで世間知らずだったアルを支えていたんだろうなと垣間見えることが何度もあった。カリラスさんも面白おかしく昔のアルの失敗を語ってくれたし、その失敗はカリラスさんがフォローしてくれていたことをアルが教えてくれた。まさに親友というか戦友という感じのふたりは、ちょっと妬けたけど、見ていて胸に柔らかい光がやどるような、そんな優しい気持ちになれた。
「ユウ、大丈夫か?」
「寂しくなるなあ」
「また会える」
そうだね。また会える。
一緒に教会の付与のお店を作っていくのだ。これからは年に何回かは会えるだろう。
アルがカリラスさんの存在に助けられたように、次は僕たちが見知らぬ誰かの助けになれるように頑張ろう。
「ところで、カリラスがいるからと言って断ったんだから、今夜は相手してくれるんだよな?」
「……うん」
僕もそれはちょっと思ったけど、まだ明るいのでそういう話は日が落ちてからにしてほしいかな。あ、ブラン、置いて行かないで。
途中にある、僕のお気に入りの温泉街であるホオチカヤにはもちろん寄った。温泉も入った。まだ暑い季節だけど、そこは外せないよね。
「王都は遠いのか?」
「ああ、カザナラからサネバまでと同じくらいの距離だな」
「モクリークでかいな」
モクリークは大きいというよりも、東西に長い。モクリークの西側、カザナラのあたりは南をドガイと接しているが、サネバや王都ニザナのある東側はソント王国と接している。といっても間に山があるので、道は限られる。
僕とアルが出会ったのはソント王国なので、カリラスさんがソント王国はどんなところかと質問してくるが、僕のスキルをバラされて逃げ出したという記憶しかない。でも、オウル君のいるあの宿は良かったな。ウルドさんとオリシュカさんは元気かな。
「ソント王国は、国王の力が強いから冒険者ギルドでは抑えられずにユウが取り上げられるだろうと言われて、モクリークに来てからは行けてない」
「そんなことあるんだ」
「ドガイだって教会が動いてくれなければ、薬箱ダンジョンの攻略のために国がユウを奪いに来るだろう」
「たしかにな。ユウくん大変だな」
「でも、モクリーク内では自由にさせてもらってるので」
モクリークの王様は、僕がこの国を出て行っては困るからと、僕の希望に沿うようにしてくれているらしい。本当は王様に会ったほうがいいんだろうけど、王様と謁見とか一般市民の僕には荷が重すぎるので、遠慮している。ブランのほうが偉いんだろうけど、僕にとってブランは食いしん坊の優しい狼だ。
モクリークを出ても、モクリークのように快適に過ごせる国は今のところ他にないけど、でも本当に行くところがなくなったら、僕についてくるブランのために教会の人たちが国を作りそうな気もする。そんな迷惑をかけないように、モクリークとは上手くやって行きたい。
護衛の冒険者を雇うのに起点とするといい街や、冬でも比較的通りやすい街道などを説明しながら、王都へと向かって進んだ。
僕たちは国内をよく移動しているが、例えば目的のダンジョンがあったとしても、その道中にあるダンジョンも攻略することが多い。こんな風に移動自体が目的の旅行は初めてだ。
屋台でブランの鼻が嗅ぎつけた美味しそうなものを買って、その土地の名物を買って、景色のいいと聞いたところに寄って、完全に観光だ。冬になる前にカリラスさんをドガイに送り出さないといけないが、逆に言えば秋の間は楽しめる。カリラスさんのドガイでの仕事は信頼できる人に任せて来たそうなので、秋の間は旅行を楽しもう。
王都ではやはり外せない、観光の定番である中央教会の大聖堂と王宮前の広場を案内している。
「その、ウルフの出迎えがあったりするのか?」
「ないな。ブランの正体は明言はしてないから、こちらから言わない限り接触はない」
「教会はなんで気付いたんだ?」
「初めてドガイに行ったときに、ブランが怒って神気を隠さなかったからバレちゃったんです」
「ユウが子犬扱いしてブランを怒らせてしまったんだ」
カリラスさんの笑顔がひきつっているけど、あれは門を通るために仕方がなかったんだ。
ブランも一緒に見学がてらお祈りのために大聖堂に入ると、従魔連れということに驚いた周りの人がさりげなく道を開けてくれる。ブランを見て氷花だと、アイテムボックス持ちだとバレているのかもしれない。
モクリークの教会は、ドガイの教会と違って質実剛健だなと思っていたが、カリラスさんも同じように感じたようだ。
「モクリークは建物が頑丈だな。やっぱりあふれの影響か」
「だろうな。救助が来るまで教会に立てこもることもあるようだ」
建物の頑丈さもだが、モクリークに比べるとドガイのほうが装飾が繊細な気がする。作っても壊されてしまう可能性が高いと、あまり繊細な装飾を施したりしないのかもしれない。
この世界の神様に、新しく始める事業が上手くいくように、カリラスさんの移動が安全なものになるようにお祈りした。
ブランとアルと会わせてくれてありがとうございます。どうか、新しく始める事業が上手くいって、辛い思いをする子が1人でも減りますように。カリラスさんが安全にモクリークとドガイを行き来できますように。
教会を出て、王宮前の広場で王宮を眺めていたら、王宮への門の前の衛兵さんが明らかに僕たちを見ている。氷花だと気付いているようだが、ブランを連れていたらバレるのは仕方がない。王都に住んでいた時も王宮には極力近づかなかったので、ここに来るのは始めてだ。テレビで見るイギリスの衛兵さんのような高い帽子を被ったりはしていないけど、カチっとした服はカッコいい。あふれで会った軍の人たちはもっと実戦用の服だったので、新鮮だな。
「ユウくんは王様に会ったことあるの?」
「ないです。王様や貴族とは会いたくないって伝えてあるので、冒険者ギルドが会わなくていいようにしてくれました」
「王宮に入ってみたくないの?」
「建物は面白そうですけど、緊張するので」
世界遺産の観光の気分で王宮は見てみたい気がするが、絶対にそれだけでは終わらないので、入りたいとは思わない。あふれの対応で軍の施設に入ったことはあるが、あそこは王宮の敷地内ではあるが、裏というか端っこだったので、ノーカウントでいいだろう。
衛兵さんの視線に居心地が悪いので、早々に切り上げて王宮前から冒険者ギルドへと向かいながら、目に入る建物や、カリラスさんが来た時に泊まるのによさそうな宿を紹介していると、ブランからリクエストが入った。
「屋台に行っちゃうと遠回りになるから、ちょっと待ってよ」
「ウルフはなんて?」
「屋台のお肉が食べたいって。ブランのお気に入りのお店があるんです」
「へえ、旨いところなら知っときたいな」
カリラスさんの気遣いで、ギルドは明日にしてまずはブランのお腹を満たすことになった。食いしん坊め。
屋台広場のブランお気に入りのお店に行くと、すでに僕たちが王都に来たことが伝わっていたようで、多めに準備してくれている屋台もあった。ブランが食べたいという屋台を片っ端から周り、少しずつ僕たちも食べているが、食い倒れツアーみたいだ。アイテムボックスに収納しておくための大量注文も忘れずに、ウロウロしていると、ユラカヒ名物の魚を小さく切って串にさして焼いているお店を見つけた。ユラカヒは、潜っている最中にあふれたタペラがある街だ。
「4本ください」
「はいよ!あ、氷花の……」
「ユラカヒで食べ損ねたんです」
僕たちはダンジョン攻略後に名物を食べようと思ってたので、名物を味わうことができなかったのだ。店主さんはユラカヒの出身で、この魚はユラカヒから運ばれてきたものを使っているらしい。
焼きあがったものを受け取って食べると、ハーブが効いている鮭だった。白いご飯が欲しくなるな。ブランも気に入ったみたいなので、次にユラカヒに行ったときは、魚を丸ごと買っておこう。
故郷を守ってもらったからお代は受け取らないという店主さんに、その代わりに正規の値段で大量の注文をして、3日後に取りに来ることを約束した。
「いつもこんな買い方してるのか?」
「ブランは旨いものしか食べないんだ」
「宿といい食事といい、贅沢な生活してるな」
「ブランが稼いだ金だし、他に使う所もないしな。それにダンジョン内でユウが快適に過ごすためだ」
ダンジョンは快適さを求めるところじゃないだろうとカリラスさんがツッコんでいるが、快適じゃないと僕が帰りたくなるから仕方ない。ただでさえお風呂に入れないというマイナスポイントがあるのだから、他のところはせめて快適にしたい。
王都で大量の料理を買い込んだら、カザナラに向けて、今度は海沿いの街を通って戻って行く。
海沿いの街は魚料理が美味しいし、今まで通ってきた山側とは街の雰囲気も変わって陽気な感じで、カリラスさんとの旅を楽しんだ。
「俺、ドガイに帰って仕事に復帰できるかな」
「いつから始まるか分からないが、教会の手伝いもあるんだ。今の仕事をちゃんと引き継いでおけよ」
カリラスさんは、前回僕たちがドガイに行くために通った馬車の通れない山道を越えて行くことになった。そのための護衛も冒険者ギルドで依頼済みだ。
山の手前の街までアルと送って行くつもりだったが、今後の行き来もそのルートになりそうなので、試しにひとりで帰ると断られ、カザナラの別荘で見送りをしている。
「カザナラに来たら、僕たちがいなくてもここに泊まってくださいね」
「ユウくん、いい子だねえ。泊まらせてもらうよ。ありがとう」
僕と握手をした後、アルとハグをして、じゃあまたねと言って借りた馬車に乗り込み、あっさりと旅立って行った。未だに僕が慣れない冒険者スタイルの別れだ。
この2か月ほどで、カリラスさんの面倒見の良さが、育ちのせいで世間知らずだったアルを支えていたんだろうなと垣間見えることが何度もあった。カリラスさんも面白おかしく昔のアルの失敗を語ってくれたし、その失敗はカリラスさんがフォローしてくれていたことをアルが教えてくれた。まさに親友というか戦友という感じのふたりは、ちょっと妬けたけど、見ていて胸に柔らかい光がやどるような、そんな優しい気持ちになれた。
「ユウ、大丈夫か?」
「寂しくなるなあ」
「また会える」
そうだね。また会える。
一緒に教会の付与のお店を作っていくのだ。これからは年に何回かは会えるだろう。
アルがカリラスさんの存在に助けられたように、次は僕たちが見知らぬ誰かの助けになれるように頑張ろう。
「ところで、カリラスがいるからと言って断ったんだから、今夜は相手してくれるんだよな?」
「……うん」
僕もそれはちょっと思ったけど、まだ明るいのでそういう話は日が落ちてからにしてほしいかな。あ、ブラン、置いて行かないで。
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