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独立

息抜き

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王城にある今は使っていない古いすり鉢をトネが雇った料理人から借りた。自室に倉庫から硝石と硫黄をお椀に入れて、焼き終えたばかりの木炭は二つ持ってきて、近くに誰もいないのを確認して作業にかかった。
「まずはそれぞれ粉にするのか。」
硝石をすり鉢に入れて縁側のような場所で擦り始めた。
「やっと火薬を作れるのか…ここまで何日かかったんだろう。一週間かな…」
午前中は伝令用の塔の建設の指示をしていてとても疲れたため、何も考えずに居られるこの時間を噛み締めていた。王都に来て、ずっと働いていたというのもある。残りの硝石をすり鉢に入れてまた続けた。視界がぼんやりとして一切の単語が考えから消える。ただ、手が動いているだけだった。
ポツリ
目の前の地面の色が変わって徐々に脳の働きが再開される。雨だ、と認識した時には本降りになっていた。
作業を止めて道具を庭から離れた場所に移動させた。
必要以上に粉砕された硝石を大皿に移し、今度は硫黄をすり鉢に入れる。
「雨だけど塔の建設は大丈夫かな…」

ーその頃西の森の中ー
「櫓から離れろー!雷が落ちるかもしれない!」
リーダーのレオが叫んだ。集まっていた人達は櫓の上で作業していた人達は急いで梯子を降りていた。最初の櫓、という事で、後で同じものが作れるように5つの建設班という明らかに過剰な人員で取り組んでいた。しかし、それが仇となって全員が雨を凌げる場所が近くに無かった。一番近い櫓で、館や兵舎から見えるとはいえ、余程の用事がない限り歩きたく無い距離だ。今回、重要な任務だということで特別になんとか全員乗れる数の幌馬車が割り振られたが、道も無く大雨の中進めるものでは無い。
「レオ、とりあえず馬車に乗り込んだが、このまま数時間いるのは嫌だぞ。」
顔の向きを変えるだけで誰かに当たってしまう密度だ。押し付けられる他の人の濡れた体が不快だった。
「ああ。今考えているが、この辺りの低い山には洞窟が殆ど無いからな。テントも狭すぎる。」
『パシッ、ゴロゴロ…』
近くの落雷に一同がピクリと動く。
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