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第15話「映画鑑賞」
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カレーライスを食べ終え、俺とアリナは二人で皿洗いを始めた。
カズと夏海は手伝うと言ってくれたのだが、二人には休んでいるように伝え、俺とアリナは皿を運んだ。アリナにも休んでいるように言ったのだが、アリナは「大丈夫ですっ!」と笑顔を見せて俺の手伝いをしてくれた。
俺が皿を洗い、アリナが食器を拭いて食器棚に食器を戻すという分担作業を行った。
皿を洗い終えると、俺とアリナはリビングに戻った。
俺たちがリビングに戻ると二人は呆れ顔で俺たちのことを見ている。どうした? なんか変なことでもあったか?
「どうしたんだ? 何かあった?」
「いや、翔とアリナちゃんが皿を洗っている姿を見ているとね、本当に仲の良い新婚夫婦みたいだなぁと思ってさ」
新婚夫婦?
俺とアリナがそんな風に見えていたのか。なんだか照れちゃうな。確かに思い返してみると、カレーライスを作ってるときも皿を洗っているときも端から見れば新婚夫婦のように見えるかもしれないな。
思い返しているうちに何だか恥ずかしくなって、顔が熱くなってくる。
隣を見てみると、アリナが「翔くん! 新婚夫婦だって! えへへ」と上機嫌でキラキラした目で見つめている。
「新婚夫婦か。なんか照れるんだけど」
「私はこれからこの糖度の高い空間に慣れないといけなくなるんだね」
夏海はやれやれとでも言いたげな様子でため息をついた。
そのため息はなんだ、夏海。……というか、糖度の高い空間って何?
そんなことより、今から何するかな。二人ともまだ帰る様子はないし、どうしようか。
「二人ともまだ帰らないでしょ?」
「「うん!」」
二人は同時に元気よく返事をした。そんなにここに居続けたいのか? 二人は俺と仲も良いし、アリナとも仲良くやっていけそうだからいいんだけど。
「二人とも居続けるのはいいんだけど、これから何する?」
二人とも頭を抱えながら真剣に悩む。そこまで真剣に悩むことなのか? ラ軽く決めてもらっていいんだけどなぁ。
数分後には俺たちは映画観賞を始めていた。しかも、『ホラー映画』である。べ、別に怖いなんて思ってない……よ?
これを提案したのはアリナだった。アリナが「ホラー映画なんかどうでしょうか? 私、見たいホラー映画があるんです!」と目を輝かせながら提案してきて、カズと夏海は俺なら断ってくれると思ったようで、「翔が決めて」と俺に言ってきたが、結局俺はアリナの可愛いお願いに負けてしまったというわけだ。
見始めてから十分も経たないうちに最初の恐怖シーンがやってきた。
主人公の男性は深夜に友達三人と一緒に取り壊されることになった学校に来ていた。
だが、地下に行ったとき、急に主人公の周りから友達たちの足音が聞こえなくなった。主人公の男性は不審に思い、後ろ振り返ると先ほどまでいたはずの友達たちがいなくなっているのだった。
主人公の男性は焦って再び目の前を向いた……が、目の前には地面に着くほどの長い髪で白い服の女性が立っていた。そして、走って追いかけてきたのだ。
「きゃああああああああ!!!」
「うわああああああああ!!!」
「ひゃっ!」
カズと夏海が驚いて叫び声をあげる。そういう俺は、驚きのあまり声が裏返ってしまった。気が付かれていなければいいんだけど……。
というか、アリナは全然驚かないんだなぁ。さすがアリナだなどと考えていたが実際は違うようだった。アリナは震えながら俺の手をぎゅっと握ってきた。表情には出さないあたり、流石だと思う。
*****
「ふぁぁぁ、やっと終わった~」
「怖かったぁぁぁ」
二時間もあるホラー映画を見終わった俺たちは精神的に疲れていた。見終わったというより、耐えきったと言った方が正しいかもしれない。
隣を見てみると、アリナが「怖くなかったですよ?」とでも言いそうな澄ました顔で俺のことを見ている。
俺はアリナに敢えて聞く。
「アリナ、怖くなかったみたいな顔しているけど、本当は怖かったよね?」
「そ、そ、そんなわけないじゃないですか! 全然、怖くなかったですよ」
「じゃあ、なんで映画見ているとき震えながら俺の手を握ってきたのかな?」
「そ、それは……」
「それは……?」
「うぅっ、怖かったです……」
結局、本音を言ってしまうところが本当に可愛いな。俺は今にも泣きそうになってしまっているアリナを抱き寄せ、頭を撫でる。
「からかってごめんな」
「もうっ、意地悪はだめですっ」
アリナは怒っている表情まで可愛い。俺は怒られているはずなのになぜか照れてしまう。
カズと夏海は映画が怖すぎて俺とアリナに何かを言う気力すら残っていないようだった。
二人はしばらく休んだ後、自分たちの家に帰って行った。まあ、夏海に関しては、隣なんだけど。
カズと夏海は手伝うと言ってくれたのだが、二人には休んでいるように伝え、俺とアリナは皿を運んだ。アリナにも休んでいるように言ったのだが、アリナは「大丈夫ですっ!」と笑顔を見せて俺の手伝いをしてくれた。
俺が皿を洗い、アリナが食器を拭いて食器棚に食器を戻すという分担作業を行った。
皿を洗い終えると、俺とアリナはリビングに戻った。
俺たちがリビングに戻ると二人は呆れ顔で俺たちのことを見ている。どうした? なんか変なことでもあったか?
「どうしたんだ? 何かあった?」
「いや、翔とアリナちゃんが皿を洗っている姿を見ているとね、本当に仲の良い新婚夫婦みたいだなぁと思ってさ」
新婚夫婦?
俺とアリナがそんな風に見えていたのか。なんだか照れちゃうな。確かに思い返してみると、カレーライスを作ってるときも皿を洗っているときも端から見れば新婚夫婦のように見えるかもしれないな。
思い返しているうちに何だか恥ずかしくなって、顔が熱くなってくる。
隣を見てみると、アリナが「翔くん! 新婚夫婦だって! えへへ」と上機嫌でキラキラした目で見つめている。
「新婚夫婦か。なんか照れるんだけど」
「私はこれからこの糖度の高い空間に慣れないといけなくなるんだね」
夏海はやれやれとでも言いたげな様子でため息をついた。
そのため息はなんだ、夏海。……というか、糖度の高い空間って何?
そんなことより、今から何するかな。二人ともまだ帰る様子はないし、どうしようか。
「二人ともまだ帰らないでしょ?」
「「うん!」」
二人は同時に元気よく返事をした。そんなにここに居続けたいのか? 二人は俺と仲も良いし、アリナとも仲良くやっていけそうだからいいんだけど。
「二人とも居続けるのはいいんだけど、これから何する?」
二人とも頭を抱えながら真剣に悩む。そこまで真剣に悩むことなのか? ラ軽く決めてもらっていいんだけどなぁ。
数分後には俺たちは映画観賞を始めていた。しかも、『ホラー映画』である。べ、別に怖いなんて思ってない……よ?
これを提案したのはアリナだった。アリナが「ホラー映画なんかどうでしょうか? 私、見たいホラー映画があるんです!」と目を輝かせながら提案してきて、カズと夏海は俺なら断ってくれると思ったようで、「翔が決めて」と俺に言ってきたが、結局俺はアリナの可愛いお願いに負けてしまったというわけだ。
見始めてから十分も経たないうちに最初の恐怖シーンがやってきた。
主人公の男性は深夜に友達三人と一緒に取り壊されることになった学校に来ていた。
だが、地下に行ったとき、急に主人公の周りから友達たちの足音が聞こえなくなった。主人公の男性は不審に思い、後ろ振り返ると先ほどまでいたはずの友達たちがいなくなっているのだった。
主人公の男性は焦って再び目の前を向いた……が、目の前には地面に着くほどの長い髪で白い服の女性が立っていた。そして、走って追いかけてきたのだ。
「きゃああああああああ!!!」
「うわああああああああ!!!」
「ひゃっ!」
カズと夏海が驚いて叫び声をあげる。そういう俺は、驚きのあまり声が裏返ってしまった。気が付かれていなければいいんだけど……。
というか、アリナは全然驚かないんだなぁ。さすがアリナだなどと考えていたが実際は違うようだった。アリナは震えながら俺の手をぎゅっと握ってきた。表情には出さないあたり、流石だと思う。
*****
「ふぁぁぁ、やっと終わった~」
「怖かったぁぁぁ」
二時間もあるホラー映画を見終わった俺たちは精神的に疲れていた。見終わったというより、耐えきったと言った方が正しいかもしれない。
隣を見てみると、アリナが「怖くなかったですよ?」とでも言いそうな澄ました顔で俺のことを見ている。
俺はアリナに敢えて聞く。
「アリナ、怖くなかったみたいな顔しているけど、本当は怖かったよね?」
「そ、そ、そんなわけないじゃないですか! 全然、怖くなかったですよ」
「じゃあ、なんで映画見ているとき震えながら俺の手を握ってきたのかな?」
「そ、それは……」
「それは……?」
「うぅっ、怖かったです……」
結局、本音を言ってしまうところが本当に可愛いな。俺は今にも泣きそうになってしまっているアリナを抱き寄せ、頭を撫でる。
「からかってごめんな」
「もうっ、意地悪はだめですっ」
アリナは怒っている表情まで可愛い。俺は怒られているはずなのになぜか照れてしまう。
カズと夏海は映画が怖すぎて俺とアリナに何かを言う気力すら残っていないようだった。
二人はしばらく休んだ後、自分たちの家に帰って行った。まあ、夏海に関しては、隣なんだけど。
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