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第12話「カズの優しさ」
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様々な色の花火が夜空に打ち上げられる。
祭り会場にいたすべての人が打ち上げられている花火に目を向けていた。まるで、夜空に花が咲き乱れるように綺麗な光景。
ヴヴヴヴヴ ヴヴヴヴヴ
花火を眺めていると俺のスマホが震える。
俺はスマホをポケットから取り出し、確認すると、そこにはカズからのメッセージが送られてきていた。
ん?
カズなら隣にいるはず――
俺が隣を振り向くと、そこにカズの姿はなくなっていた。
不思議に思いながらも俺はカズのメッセージをタップし、確認する。
『俺からのプレゼント。楽しめよ』
カズからはその一言だけが送られてきていた。
プレゼント? どういうことだ?
少しの間、困惑したが、周りを見回してすぐに気が付いた。
俺とアリナの周りで花火を眺めている人たちはほとんどがカップルだ……!
なるほど。プレゼントっていうのは恋人同士で花火を楽しめよってことか! カズ……お前は本当になんてできたやつなんだっ。今度、何か奢ってやるよ。
「アリナ……」
俺は自然とアリナの手を握る。
すると、アリナは驚いたようで目を丸くして俺を見る。
「どっ、どうしたんですか?! 今はだめですよ?! だって今は和也さんもいるんですから……ってあれ?」
アリナもようやく、カズがいなくなっていることに気が付いたようだ。
俺はカズからのメッセージをアリナに見せる。が、アリナは理解できていないようだった。可愛い。
「アリナ、周り見て」
俺が今の状況を伝えようとアリナに周りを見るように促すと、アリナは眉をひそめて不思議そうに周り見る。
そして、今、自分がどんな状況なのか理解したようだ。
アリナは少しもじもじしながらも、普通に握っていた手を恋人つなぎに変える。
俺とアリナはその後、カズの提案に甘え、二人で花火を鑑賞し、祭りを楽しんだ。
「花火、綺麗だったな」
「うんっ! また一緒に来ようね」
「うん」
祭りを存分に楽しみ終えた後、俺とアリナは帰路についた。
久々の祭り。しかも、彼女と一緒に。
これ程の幸福は中々味わえるものではないと思う。
「明日からまた学校だけど、頑張ろうな」
「ふふっ、翔くんがいれば学校も楽しいですよ」
「なっ……!」
アリナはこういうとこがある。
恐らく狙って言っているわけではないだろうが、急にこういうドキッとすることを恥かしげもなく言ってくる。
「アリナは俺と一緒にいるの、楽しい?」
「当り前じゃないですか。翔くんと一緒にいる時が一番楽しいし、幸せです」
「そ、そっか。ありがとう」
「翔くんは楽しくないですか?」
「楽しいに決まってる」
「私たちは相性が最高に合ってますねっ」
「そうだな」
自分で聞いたが、アリナが本当に幸せそうに答えるから俺はなんだか照れてしまい、目を逸らしてしまった。
鏡を見なくてもわかる。
確実に今の俺は耳まで赤くなっていることだろう。
そんな俺を見て、アリナはからかってくる。
普段は天然なのにこういう時だけはすぐに気づく。恥ずかしい……。
「照れているんですか? 可愛いですね」
「やめてくれ。恥ずかしい……」
「それじゃあ、寒いですし急ぎ目に家に向かいますか」
「……うん」
俺とアリナは少し急いで帰宅した。
*****
「先にお風呂に入っていいですよ」
「いいの?」
アリナは自分も寒いはずなのに俺に先に風呂を済ませるように伝えた。
ありがたいけど、いいのかな?
俺は不安気な顔でアリナに視線を送るが、アリナは笑みを浮かべるだけだ。
俺は少し躊躇いながらも風呂場に直行した。
「あああ~、あったけぇ」
俺は髪と身体を洗い終えると、湯を張った湯船に浸かる。
湯船に浸かりながら目を閉じていると、風呂場の外からアリナの声が。展開は理解できていた。なんせ、これ、二度目ですから。
「入りますね~」
大きめのタオルを巻いたアリナが何の躊躇いもなく風呂場に侵入してくる。
「もう、入っていいですかじゃなくて、入りますねになってるじゃん」
「それくらい、翔くんのことを信頼しているってことですよ。そういう翔くんも全然嫌そうじゃないですね」
「俺も信頼しているからね」
俺は本当にアリナのことを信頼している。
それよりも、やっぱり寒かったんだな。我慢できなくて入ってきたのだろう。
髪を洗っているアリナに尋ねる。
「やっぱり、寒かったの?」
「先に済ませていいですよ、なんて言っておきながら恥ずかしいですけど、寒さに負けました」
「ははっ、アリナらしいな」
「私らしいってなんですか! あっ! でも、褒めてほしいこともあるんですよ?」
アリナは「えっへん」と胸を張りながら言う。
「褒めてほしいこと?」
「はい! 私、もう夕飯を作り終えたんですよ!」
「……マジ?」
「マジです」
アリナ、凄いな。
この短い時間の間に夕飯の準備まで済ませてくれたのか。これは褒めないといけないな。
「アリナ、ちょっとここに来て」
「……? ……はい」
アリナが俺の方に近づく。
俺は手を伸ばし、アリナの頭をぽんぽんとしながら褒める。
アリナは顔を真っ赤にしながら、「えへへ」と嬉しそうな声を漏らす。
「ありがとうな、アリナ」
「いえいえ、翔くんが喜んでくれてよかったです」
俺とアリナは風呂を済ませると、アリナが作ってくれた夕飯を食べた。
夕飯はシチューでした。
次からは手伝います。
祭り会場にいたすべての人が打ち上げられている花火に目を向けていた。まるで、夜空に花が咲き乱れるように綺麗な光景。
ヴヴヴヴヴ ヴヴヴヴヴ
花火を眺めていると俺のスマホが震える。
俺はスマホをポケットから取り出し、確認すると、そこにはカズからのメッセージが送られてきていた。
ん?
カズなら隣にいるはず――
俺が隣を振り向くと、そこにカズの姿はなくなっていた。
不思議に思いながらも俺はカズのメッセージをタップし、確認する。
『俺からのプレゼント。楽しめよ』
カズからはその一言だけが送られてきていた。
プレゼント? どういうことだ?
少しの間、困惑したが、周りを見回してすぐに気が付いた。
俺とアリナの周りで花火を眺めている人たちはほとんどがカップルだ……!
なるほど。プレゼントっていうのは恋人同士で花火を楽しめよってことか! カズ……お前は本当になんてできたやつなんだっ。今度、何か奢ってやるよ。
「アリナ……」
俺は自然とアリナの手を握る。
すると、アリナは驚いたようで目を丸くして俺を見る。
「どっ、どうしたんですか?! 今はだめですよ?! だって今は和也さんもいるんですから……ってあれ?」
アリナもようやく、カズがいなくなっていることに気が付いたようだ。
俺はカズからのメッセージをアリナに見せる。が、アリナは理解できていないようだった。可愛い。
「アリナ、周り見て」
俺が今の状況を伝えようとアリナに周りを見るように促すと、アリナは眉をひそめて不思議そうに周り見る。
そして、今、自分がどんな状況なのか理解したようだ。
アリナは少しもじもじしながらも、普通に握っていた手を恋人つなぎに変える。
俺とアリナはその後、カズの提案に甘え、二人で花火を鑑賞し、祭りを楽しんだ。
「花火、綺麗だったな」
「うんっ! また一緒に来ようね」
「うん」
祭りを存分に楽しみ終えた後、俺とアリナは帰路についた。
久々の祭り。しかも、彼女と一緒に。
これ程の幸福は中々味わえるものではないと思う。
「明日からまた学校だけど、頑張ろうな」
「ふふっ、翔くんがいれば学校も楽しいですよ」
「なっ……!」
アリナはこういうとこがある。
恐らく狙って言っているわけではないだろうが、急にこういうドキッとすることを恥かしげもなく言ってくる。
「アリナは俺と一緒にいるの、楽しい?」
「当り前じゃないですか。翔くんと一緒にいる時が一番楽しいし、幸せです」
「そ、そっか。ありがとう」
「翔くんは楽しくないですか?」
「楽しいに決まってる」
「私たちは相性が最高に合ってますねっ」
「そうだな」
自分で聞いたが、アリナが本当に幸せそうに答えるから俺はなんだか照れてしまい、目を逸らしてしまった。
鏡を見なくてもわかる。
確実に今の俺は耳まで赤くなっていることだろう。
そんな俺を見て、アリナはからかってくる。
普段は天然なのにこういう時だけはすぐに気づく。恥ずかしい……。
「照れているんですか? 可愛いですね」
「やめてくれ。恥ずかしい……」
「それじゃあ、寒いですし急ぎ目に家に向かいますか」
「……うん」
俺とアリナは少し急いで帰宅した。
*****
「先にお風呂に入っていいですよ」
「いいの?」
アリナは自分も寒いはずなのに俺に先に風呂を済ませるように伝えた。
ありがたいけど、いいのかな?
俺は不安気な顔でアリナに視線を送るが、アリナは笑みを浮かべるだけだ。
俺は少し躊躇いながらも風呂場に直行した。
「あああ~、あったけぇ」
俺は髪と身体を洗い終えると、湯を張った湯船に浸かる。
湯船に浸かりながら目を閉じていると、風呂場の外からアリナの声が。展開は理解できていた。なんせ、これ、二度目ですから。
「入りますね~」
大きめのタオルを巻いたアリナが何の躊躇いもなく風呂場に侵入してくる。
「もう、入っていいですかじゃなくて、入りますねになってるじゃん」
「それくらい、翔くんのことを信頼しているってことですよ。そういう翔くんも全然嫌そうじゃないですね」
「俺も信頼しているからね」
俺は本当にアリナのことを信頼している。
それよりも、やっぱり寒かったんだな。我慢できなくて入ってきたのだろう。
髪を洗っているアリナに尋ねる。
「やっぱり、寒かったの?」
「先に済ませていいですよ、なんて言っておきながら恥ずかしいですけど、寒さに負けました」
「ははっ、アリナらしいな」
「私らしいってなんですか! あっ! でも、褒めてほしいこともあるんですよ?」
アリナは「えっへん」と胸を張りながら言う。
「褒めてほしいこと?」
「はい! 私、もう夕飯を作り終えたんですよ!」
「……マジ?」
「マジです」
アリナ、凄いな。
この短い時間の間に夕飯の準備まで済ませてくれたのか。これは褒めないといけないな。
「アリナ、ちょっとここに来て」
「……? ……はい」
アリナが俺の方に近づく。
俺は手を伸ばし、アリナの頭をぽんぽんとしながら褒める。
アリナは顔を真っ赤にしながら、「えへへ」と嬉しそうな声を漏らす。
「ありがとうな、アリナ」
「いえいえ、翔くんが喜んでくれてよかったです」
俺とアリナは風呂を済ませると、アリナが作ってくれた夕飯を食べた。
夕飯はシチューでした。
次からは手伝います。
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