私立明進学園

おまめ

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ep.1

2.

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 葵 side





 「綾瀬くん、おはよう
   髪の毛ただでさえ天パなのに
   撫でたらもっとボサボサになるからやめて!」



 「でも葵のふわふわな髪の毛可愛くて
   つい撫でたくなっちゃうんだよね

   でも確かにパーマ大変そうだから
   今日もお詫びにブローさせて?」



 「…どーぞ
   というかダメって言ってもするんでしょ?」



 「正解」



 葵は髪まで可愛いな~と言いながら
 天城くんは僕の髪の毛を梳かしてくれる



 2年Sクラスは多少変動があったとはいえ
 ほとんど生徒の顔ぶれは変わってない

 だから綾瀬くんは出席番号2番なので
 いつも僕の後ろに座っている



 彼は初等部からこの学園に在籍していて
 頭の良さだけじゃなくて家柄の良さからも
 全校生徒から人気を博していて
 2年に上がってから生徒会のメンバー投票の結果
 生徒会副会長になった



 この学園は人気者に親衛隊なる
 ファンクラブみたいなものが存在するんだけど
 もちろん綾瀬くんにも存在する





 部活の朝練でいない隣の席の友人の
 河合拓海(かわいたくみ)いわく
 親衛隊によっては過激で制裁を加えられるかも
 と言われていたけど……



 「綾瀬様と甘木くんの2人素敵…」

 「甘木くんを愛でる綾瀬様のお顔幸せそう…」

 「綾瀬様お慕いしてるけど
   甘木くんなら仕方ないと思える…」

 「二人の世界が出来てる…」

 「梳かしてもらってる甘木くん良すぎるだろ…」



 などと言われてる
 まぁ今のところイジメみたいなのは無いし
 それどころか謎の空気感出来てんだけど…

 ブローしてもらってるだけなのに何が仕方ないんだろう
 みんな人気者の綾瀬くんにブローしてもらいたいのかな?

 こんな風に髪を梳かすこと以外にも
 重いものを持ってもらったり
 勉強を頼まずとも教えてくれたり
 同い年の彼に甘やかされた学園生活を
 1年以上していることが今の悩みだ



 ペシッ

 「おい、陽翔
   クラスがお前らの空気で居ずらいからやめろ」

 「後ろから急に叩くなんて失礼だよ、翔
   葵のブローの途中なんだから」

 「…その甘々な空気の方がよっぽど失礼だわ」

 「大河原くん、おはよう
   綾瀬くんに用事あったんだよね、ごめんね」

 「…陽翔より甘木の鈍感さの方が
   この空気の元な気がしてきた」



 このピリついた空気を作り出したなんて
 絶対大河原くんと綾瀬くんなのに
 僕のせいだなんて心外だ



 綾瀬くんを叩いた張本人
 彼は大河原 翔(おおかわら かける)くん

 この高等部の生徒会長を務めてる優秀な人だ




 「お前らの席1番前でイチャついてるの
 クラスの全員どころか廊下からも見えるんだよ
 陽翔は加減しろ」

 「気のせいじゃない?」

 「んなわけねえだろ
 毎朝1番後ろの席からツッコミにもるこっちの身にもなれ」

 「翔、毎朝おつかれ」

 「てめぇ…」

 「えっと、大河原くんうるさくしてごめんね?」

 「甘木、謝るところそこじゃねぇ」

 「え?」



 これが朝からの賑やかな僕らの日常

 そんな楽しい日常に変化が訪れるなんて
 この時の僕はこれっぽっちも考えてなかった










────





はじめまして、おまめです

基本的には読み専なのですが学園物書きたくて
小説サイトで載せるのは初です!

しっかり書くのは初なので優しい目で見守ってくれると
とても嬉しいです










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