10年越し、2人の恋

夢国

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あの日の記憶

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「なぁ、お前のその顔、なんとかならねぇの?(笑)」 

高校卒業式の日、誰もいない教室の中、好きな人と一緒。
このあいだ、妹が話していた夢見る彼氏とのシチュエーション。
そんなシチュエーションを今、僕は絶望と悲しみの心で味わっている。夢だったらいいのに。

「え?、、」

僕は間抜けな返事しかできなかった。

「だからな?お前のその顔。どうにかなんないの?って、もうさ、その顔見て話すの、キツイんだよね」

彼はなんでこんなことを言うのだろうか、、今まで普通に過ごしていたはずなのに。
確かに僕は中の下のような顔をしている。男にしては色の白い肌に、薄い眉、三白眼、少しそばかすの散った顔に、薄い唇。
でも、この顔を好き。と言ってくれたのは紛れもなく、今僕の正面にいる、彼が言った言葉だった。

「で、も、僕の顔、、好き、って言ってくれた、よね?」

心なし、言葉が片言になる。頭にとある考えがよぎったからだ。
でも彼はそんな僕をよそ目にし、淡々と言った。

「あぁ、、それ、ウソ」

、、ぼくの考え、いや、予感は的中した。

「それと、あの告白も嘘ね?」

やっぱり、か、、、なんでだろう。ショックなはずなのに、、涙や悲嘆な言葉が出てこない。どこか、受け止めている自分がいる。

「罰ゲームだったんだよ」

彼の言葉で自分の考えに答えが出た。あぁ、僕は気づかぬうちに、このことを予感していたのかもしれない。思ってみれば、こんな中の下の僕に、クラスの中心にいるような子が振り向いてくれるはずもなかったのだ。

「ショックで言葉が出ない??」

彼は淡々と言ってくる。彼の言う通りショックは受けている、でも僕の口から出てくる言葉は、自分でも予想していないものだった。

「うん。今までありがとう」

あれ、、これでいいのだろうか、、自分でも驚いているが、さらに驚いているのは彼の方。ポカン。としている。恐らく泣いて悲しむと思ったのだろうか、、、そんなことを頭の片隅に思いながら、僕は1人、教室を出た。











「っっうぁああああああ!!」
僕はその日の夜声を枯らすほど泣いた。放課後は数ミリしか心に刺さらなかった刃が、今は大剣の一撃がごとく心を引き裂いていた。
僕は、、彼が好きだった。
思ってみれば、付き合っていたのに互いの進路の話すらしなかったし、進学してからの話もしなかった。
ほんとは同じ進路に進みたかった。一緒に住みたかった。

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