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第四章 あなたの願いと私の夢
第六十話 NPOCの秘密
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~2100年7月16日 11:00 NPOC上空~
「対策本部長、まもなくNPOC上空です」
そう言われ俺は慌てて外の様子を見た。
そこには…
黒煙が立ち込め、海上に突き出た、あの壁に無残にも穴が開いた、俺の知っているNPOCではない物があった。
「まもなく着陸します」
ヘリコプターが着陸し、俺はNPOCに降り立った。
「貴文君、すまないね」
「親父さん…」
俺を出迎えてくれたのは他でもない優芽の親父さんだった。ひとまず無事で何よりだ。
改めて周りを見渡す。黒煙が立ち込め、建物が無残にも破壊された、そんなNPOCがそこには広がっていた。
と言いたいところだが、いざNPOC内部に来ると、どこも無傷で外からのあの無残な姿が嘘の様であった。
「親父さん、外から見たらひどい有様でしたけど…」
「中は綺麗だろう?」
「はい…」
「NPOCの秘密だよ、案内しよう。ついてきなさい」
そう言われ、連れていかれたのは各層環状線SS駅だった。
「親父さん、どうしてここに?」
「もう少し待っていてくれ、直に来るから」
そう言われしばらく待っていると、見たことのない列車がホームに入線していた。
「これに乗ってくれたまえ」
俺と親父さんが列車に乗ると列車はそそくさと進みだした。
列車は何の変哲もなく、終点のUS3駅に着いた。
「終点着いちゃいましたけど…」
「このままで大丈夫だよ」
言われるがまま乗っていると、しばらくしてドアが閉まった。
「ちょ!」
俺は思わず大声を出してしまった。
なんと列車が壁に向かって走り出したのだ。
ぶつかる、そう思い俺は目を閉じた。
「あれ…?」
いつになってもぶつからない…。俺は恐る恐る目を開けた。
車窓からはトンネルの中をこの電車が走っているのがうかがえる。
「ごめんよ貴文君、驚かせてしまったね。さっきの壁は「Augmented Reality」つまりAR技術の応用で、あたかもあそこに壁があると錯覚させる、いわば偽りの壁なんだ。
だからあそこに本当は壁なんてなくて、このトンネルが続いているだけ。でも一般の者に気づかれてはまずいからカモフラージュしているんだ」
この学園、隠し扉好きだよな…
「それで、この電車はどこに向かってるんですか?」
「このNPOCが作られた原点ともいえる場所だよ」
「ここの原点?」
「さぁ着くよ」
『次はUG4、UG4です。入館証をご準備ください。Next Station is UG4.Please prepare your admission certificate.』
「UG4?そんな階層ありましたっけ…」
「一般の者が知っているのはUG3までだろうね。でもUG3の下にさらにもう一層、UG4があるんだよ。さぁ行こうか」
改札機を通るとそこには大きな機械がすぐに出迎えてくれた。
「これは…?」
「SARと呼ばれている機械だよ」
「SAR?」
「あぁ、『Saigou Augmented Reality Machine』、このNPOCの創設者で私の父である西郷駿が開発した、非装着型ARマシーンだよ。これのおかげで、さっきの壁や…」
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーー
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「NPOCが攻撃を受けたように見せることも可能なんだよ」
「対策本部長、まもなくNPOC上空です」
そう言われ俺は慌てて外の様子を見た。
そこには…
黒煙が立ち込め、海上に突き出た、あの壁に無残にも穴が開いた、俺の知っているNPOCではない物があった。
「まもなく着陸します」
ヘリコプターが着陸し、俺はNPOCに降り立った。
「貴文君、すまないね」
「親父さん…」
俺を出迎えてくれたのは他でもない優芽の親父さんだった。ひとまず無事で何よりだ。
改めて周りを見渡す。黒煙が立ち込め、建物が無残にも破壊された、そんなNPOCがそこには広がっていた。
と言いたいところだが、いざNPOC内部に来ると、どこも無傷で外からのあの無残な姿が嘘の様であった。
「親父さん、外から見たらひどい有様でしたけど…」
「中は綺麗だろう?」
「はい…」
「NPOCの秘密だよ、案内しよう。ついてきなさい」
そう言われ、連れていかれたのは各層環状線SS駅だった。
「親父さん、どうしてここに?」
「もう少し待っていてくれ、直に来るから」
そう言われしばらく待っていると、見たことのない列車がホームに入線していた。
「これに乗ってくれたまえ」
俺と親父さんが列車に乗ると列車はそそくさと進みだした。
列車は何の変哲もなく、終点のUS3駅に着いた。
「終点着いちゃいましたけど…」
「このままで大丈夫だよ」
言われるがまま乗っていると、しばらくしてドアが閉まった。
「ちょ!」
俺は思わず大声を出してしまった。
なんと列車が壁に向かって走り出したのだ。
ぶつかる、そう思い俺は目を閉じた。
「あれ…?」
いつになってもぶつからない…。俺は恐る恐る目を開けた。
車窓からはトンネルの中をこの電車が走っているのがうかがえる。
「ごめんよ貴文君、驚かせてしまったね。さっきの壁は「Augmented Reality」つまりAR技術の応用で、あたかもあそこに壁があると錯覚させる、いわば偽りの壁なんだ。
だからあそこに本当は壁なんてなくて、このトンネルが続いているだけ。でも一般の者に気づかれてはまずいからカモフラージュしているんだ」
この学園、隠し扉好きだよな…
「それで、この電車はどこに向かってるんですか?」
「このNPOCが作られた原点ともいえる場所だよ」
「ここの原点?」
「さぁ着くよ」
『次はUG4、UG4です。入館証をご準備ください。Next Station is UG4.Please prepare your admission certificate.』
「UG4?そんな階層ありましたっけ…」
「一般の者が知っているのはUG3までだろうね。でもUG3の下にさらにもう一層、UG4があるんだよ。さぁ行こうか」
改札機を通るとそこには大きな機械がすぐに出迎えてくれた。
「これは…?」
「SARと呼ばれている機械だよ」
「SAR?」
「あぁ、『Saigou Augmented Reality Machine』、このNPOCの創設者で私の父である西郷駿が開発した、非装着型ARマシーンだよ。これのおかげで、さっきの壁や…」
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「NPOCが攻撃を受けたように見せることも可能なんだよ」
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