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第三章 ようこそ鹿児島!
第五十九話 神座
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~2100年7月16日 深夜~
月は世界中のどこからでも見える。空は繋がっている。そんな当たり前のこと誰も気にも留めないだろう。
月を愛でるものがいれば、月を見ながら憎悪を膨らます者もいる。
~革命国軍総司令部(RGH)総司令長室~
上座は「上に座る」と書くがRGHでは「神座」と呼ぶ。
私たちの目線の先にいるお方、革命国軍総司令部総司令長はそれほど崇められる存在なのだ。
その方が非常に機嫌を悪くしていて、いつ誰が死刑を言い渡されても不思議でない雰囲気だ。
「状況報告をしたまえ」
「はっ、はい!報告します。昨日のサイバー攻撃により現在も全システムの95%がダウンしています。その影響で自動防衛システムも作動しておりません」
「原因は」
「へっ?」
「原因はと聞いているんだ!」
やはり今日の神はすこぶる機嫌が悪いらしい。それもそうだろう、サイバー攻撃を受けた上に連合国に人質を奪還されてしまうという、失態を冒してしまったのだから。
「原因としましては内部からの攻撃の可能性が一番高いかと」
「内部犯か…それで特定の方は」
「それについては現在調査中です」
「まぁいい、すぐに全軍出撃用意だ」
「総司令長、と申しますと?」
「連合国に少しお返しがしたくてな。これだけ盛大な贈り物を頂いたんだ、こっちも何かしないと気が済まない」
「攻撃対象はいかがなさいますか」
「そうだな…ふっ、そうだ、NPOCだ。NPOCにしようではないか」
そういうと神は勢いよく立ち上がりこう続けた
「攻撃対象NPOC、全軍出撃用意!」
「御意」
~6:00 西郷家~
ちゅんちゅん
鹿児島2日目。俺は思いのほか早起きしてしまい、朝ご飯まで特にすることもないので、一人でだだっ広い庭を散歩することにした。
「にしても、相変わらず広いよな」
広すぎてところどころにベンチやテーブルがある始末だ。西郷家、恐るべし…。
少し歩き疲れたので、ベンチに腰を下ろし、雀を眺めていると、家の方から誰かが走ってきた。
この広さだ、使用人の誰かが朝のランニングルートにしていてもおかしくないだろう。
しばらくして、走ってくるのが近藤さんだと分かった。でも様子というか、格好がおかしい。いつものスーツ姿、それも珍しく慌てた様子でこちらに向かってくるのだ。
「貴文坊ちゃん、おはようございます」
「(まだ坊ちゃんって呼び方なんだ…)おはようございます。朝のランニングですか?」
「いえ、坊ちゃんに至急お伝えしなければならないことが」
「俺に?」
「先ほど5:30頃、NPOCが革命国軍からの攻撃を受けた、との一報が入りました…」
「えっ…」
「被害状況はいまだ不明、けが人等も把握しきれていないそうです」
幸せは一瞬だ。ここから始まる、絶望の日々に比べれば。
~9:00 鹿児島空港~
「ねぇ貴君、本当に行くの?」
「まぁ、そんなに心配するなって。すぐに戻ってくるからさ」
あれから2時間。俺はNPOCに戻るため鹿児島空港に来ていた。といってもNPOCIAは閉鎖されているので、自衛隊のヘリコプターで向かうのだが。
「非常事態対策本部長、出発準備整いました」
「あぁ、分かった。じゃあな優芽」
「気を付けてね」
こうして俺はNPOCに向け飛び立った。
月は世界中のどこからでも見える。空は繋がっている。そんな当たり前のこと誰も気にも留めないだろう。
月を愛でるものがいれば、月を見ながら憎悪を膨らます者もいる。
~革命国軍総司令部(RGH)総司令長室~
上座は「上に座る」と書くがRGHでは「神座」と呼ぶ。
私たちの目線の先にいるお方、革命国軍総司令部総司令長はそれほど崇められる存在なのだ。
その方が非常に機嫌を悪くしていて、いつ誰が死刑を言い渡されても不思議でない雰囲気だ。
「状況報告をしたまえ」
「はっ、はい!報告します。昨日のサイバー攻撃により現在も全システムの95%がダウンしています。その影響で自動防衛システムも作動しておりません」
「原因は」
「へっ?」
「原因はと聞いているんだ!」
やはり今日の神はすこぶる機嫌が悪いらしい。それもそうだろう、サイバー攻撃を受けた上に連合国に人質を奪還されてしまうという、失態を冒してしまったのだから。
「原因としましては内部からの攻撃の可能性が一番高いかと」
「内部犯か…それで特定の方は」
「それについては現在調査中です」
「まぁいい、すぐに全軍出撃用意だ」
「総司令長、と申しますと?」
「連合国に少しお返しがしたくてな。これだけ盛大な贈り物を頂いたんだ、こっちも何かしないと気が済まない」
「攻撃対象はいかがなさいますか」
「そうだな…ふっ、そうだ、NPOCだ。NPOCにしようではないか」
そういうと神は勢いよく立ち上がりこう続けた
「攻撃対象NPOC、全軍出撃用意!」
「御意」
~6:00 西郷家~
ちゅんちゅん
鹿児島2日目。俺は思いのほか早起きしてしまい、朝ご飯まで特にすることもないので、一人でだだっ広い庭を散歩することにした。
「にしても、相変わらず広いよな」
広すぎてところどころにベンチやテーブルがある始末だ。西郷家、恐るべし…。
少し歩き疲れたので、ベンチに腰を下ろし、雀を眺めていると、家の方から誰かが走ってきた。
この広さだ、使用人の誰かが朝のランニングルートにしていてもおかしくないだろう。
しばらくして、走ってくるのが近藤さんだと分かった。でも様子というか、格好がおかしい。いつものスーツ姿、それも珍しく慌てた様子でこちらに向かってくるのだ。
「貴文坊ちゃん、おはようございます」
「(まだ坊ちゃんって呼び方なんだ…)おはようございます。朝のランニングですか?」
「いえ、坊ちゃんに至急お伝えしなければならないことが」
「俺に?」
「先ほど5:30頃、NPOCが革命国軍からの攻撃を受けた、との一報が入りました…」
「えっ…」
「被害状況はいまだ不明、けが人等も把握しきれていないそうです」
幸せは一瞬だ。ここから始まる、絶望の日々に比べれば。
~9:00 鹿児島空港~
「ねぇ貴君、本当に行くの?」
「まぁ、そんなに心配するなって。すぐに戻ってくるからさ」
あれから2時間。俺はNPOCに戻るため鹿児島空港に来ていた。といってもNPOCIAは閉鎖されているので、自衛隊のヘリコプターで向かうのだが。
「非常事態対策本部長、出発準備整いました」
「あぁ、分かった。じゃあな優芽」
「気を付けてね」
こうして俺はNPOCに向け飛び立った。
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