絶海学園

浜 タカシ

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第二章 文月の奪還作戦

第四十六話 明衣日記(前編)

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~革命国時間2100年7月13日23:00 NPOC上空~
いよいよ作戦が始まった。私はせわしく拍を刻んでいる心臓の音が部下たちに聞こえないか心配になった。梯子がスルスルと巻き上げられ機内に乗り込んだ。

「お疲れ様です。旺1等航空司令官」
「お疲れ」
「流石橙桜だな。人使いが荒い。急に本部に報告とは驚いたぜ」
「久しぶりねサム。口数が減ってないみたいで安心したわ」
「ふっ、誉め言葉として受け取らしてもらうぜ。にしてこいつは何回見てもでけぇーな」
「そうね…この中に何百という人間が生きてるの。広すぎよ」

私はだんだんと小さくなっていくNPOCに目をやりながら言った。貴文が教えてくれなければ分からなかった母さんの優しさ、最後…。私はきっとこの夜空から見守ってくれている母さんに優芽を助け出すことを誓った。

「まぁ革命国まで2時間弱だ。ゆっくり休みな、敵地だとずっと気を張ってただろうからよ、さすがのお前でも気がめいってるだろう」
「あんたも優しいことが言えるのね」
「ふっ、うるせぇよ」

~革命国時間6:00 RGH内~
ここに来るのも久しぶりだ。私はすさまじい緊張を覚えながら総司令長室へと向かった。

コンコン「失礼します。旺です」
「入れ」

中から低くドスの効いた冷たい声が返ってきた。

「失礼します。ご無沙汰しております総司令長」
「しばらくだな旺。早速だが一つお前に聞きたいことがある」
心臓が跳ね上がった。もしかして革命国を裏切ろうとしていることがばれたのか…表情を保つので精いっぱいだった
「今度の人事異動でお前を1等航空司令官から航空大佐へ昇進させる話がある。どうだ、航空大佐になる気はあるか?」

航空大佐…確か空軍の航空司令長の下に就く実質のNo2のはずだ

「うれしいお話ですがなぜ急に私が?」
「4月のNPOCでの作戦が完璧に近い状態で成功したことがRGH内で高く評価されお前の昇進に待ったなしという状況になった、これに尽きるな」

なるほど…でも航空大佐は管理職…RGHでのディスクワーク中心だったはず

「総司令長、今私の行っているNPOCへの潜入任務はどうなさるのですか」
「そうだな、お前の代わりの者を送り込む。こうなるだろう」
「そうですか…」

私は日本が好きになってしまっている。きっとNPOCの潜入任務が終わってしまう事に耐えられないだろう…

「どうだ?航空大佐への昇進を希望するか?」
ここで昇進を拒めばきっと怪しまれる…
「分かりました。謹んでお受けします」
「そうか、良かった。旺ならきっとそういうと思っていたよ」

私の心には虚しさが残った。
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